急ぐから遅れるの

「急ぐと遅れるよ」

なんて言ったら、頭のおかしい人だと思われるだろうな。

遅いから遅れるんでしょう?
急がなきゃ余計遅れるじゃない

私も、そう思うもの。


でも、刀禅同好会のお稽古で

急ぐから遅れていく現象を目の当たりにした。

相手より早く有利な場所を取りたい

有利な場所に早く着かねば

焦ると歩の速度にムラがでる。


なんかね、スルスル進んでいた動きに
自分でブレーキをかけて、ガバッと飛びつくみたいな動きになってしまう。

この瞬間、自分の体勢が崩れているんだ。

ガバッと飛びつく瞬間は、速い動きに感じるから、
自分では (こうしないと間に合わない)(私は速く動いているぞ)って感じている。

でも、その前のブレーキをかけて止まってしまう瞬間で、時間をロスしてるから

普通にスルスル進んでいるのよりも、遅くなるんだ。

それに加えて、崩した体勢を立て直す時間もいるから
益々遅くなる。


遅くなるから、余計気が急く。

(私遅い)
(もっと急がなきゃ、もっともっと)

ブレーキとガバッが どんどん大きくなる

(なんで間に合わないの!?)


動きのムラが激しさを増す。


観ていて、私、速いテンポの歌を歌う時に
毎回この沼に はまっていることに気づいた。

遅れているという現象しか見えていないから

「急いでいるから」遅れていることが、わからないんだ。

自分で自分の首を締めながら

(く、苦しい〜)ってジタバタしてるの。

自縄自縛状態

滑稽なんだけど、私は大真面目。
猫派、頑張れ。

いや、頑張って急ぐから遅れるんだな。

猫派、頑張るな。

う〜ん、でも、頑張るなって言うと
歩を進める事自体やめちゃったりするから

猫派、頑張らないで 頑張れ?

なんのこっちゃ?


表現の場合はね

実際の速度を速くすることよりも

この人は急いでいるんですよという
登場人物の気持ちの変化を見せてあげる必要がある。

だから、ムラがあっていいんだ。

むしろ、ムラがないと退屈なんだ。

(ただし、ムラのない身体でムラを見せてあげる必要があります。そうじゃないと ただの雑な動き)


でも、リアルに速くしたい時はね

ムラはいらないの。

そのやる気が邪魔をするの。


呼吸を変えずに、淡々とやるべきことだけをやっていればいいの。

私の頑張りって、自分に対する崩しなんだよ。

頑張ってもいいんだけど

自分を崩そう崩そうと頑張るんじゃなくて

自分を崩さないようにすることを頑張るべきなんだ。


自分を崩さないように頑張っていると
外見上は、何もしていないように見える。

だから上級者は言うんだ。

「何もいらない」
「何もするな」

身体の中で、ものすごい力とコントロール力を働かせているくせに。

嘘つき!

(できる人は自然にこの状態になってしまうので、
御本人は嘘をついているとは思ってないです)


同好会の先生の説明のおかげで、
急ぐから遅れることと
そのからくりがわかった。

私は、もう騙されない

上級者の「何もいらない」には。


いるやんけ。


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