私は水準器

(私は水準器だったのかもしれない)

刀禅同好会の お稽古をしていたら、そんな気分に
なってきた。

なんかさ、「動く」の定義の改変を迫られている気が
してきたよ。

「動く」って、私の中では

『バランスを崩し、その後、崩したバランスを立て直す営み』だったんだけど、

刀禅が要求してくることに応えようとすると

「おめーは動くな」って言われてる気がする。

(気がするだけで言われてないですよ)

「ああん? いつから自分が動く物だと錯覚していたんだ?」
「バッキャロー、おめーはただの水準器なんだよっ
水準器風情が動くんじゃねえっ」

って言われてる気がするの。

(言われてないですからね)


足裏を持ち上げる、そんな単純な動きでさえ、
自分が動いてしまったら刀禅の要求する動きには
ならない。

水準器に徹するんだ。

私は水準器だったんで〜す。
人という生き物では ありませんでした〜。


そうすると、身体の中で何かが集まってくる。

膨張感のある身体になるんだ。

するとね、

動きが終わらなくなる。

句点の「。」がつかない動きになる。


動きが始まりました。終わりました。また始まりました。

こういう動きじゃなくなるんだ。

動きが始まりました。始まりました。始まりました。

こんな感じになっちゃうの。

(なんか この動き、始まってばっかりだよ)

私という水準器は、そう思いながら歩を進めていた。



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