不穏な熊

刀禅のお稽古
今日は熊になる日でした。

我々は、熊になるべく床を転げ回ったのです。


むっくり起き上がって、窓ガラスに映る自分の姿を
見たら、

不穏なオーラを発する熊がいた。

(うわ! こいつヤバイ奴じゃん)

満腹でお昼寝してる熊さんとかじゃないよ。

ある〜日、森の中、出会うタイプじゃない

お腹空かせて、こっちを餌認定してロックオンして
近づいてくる熊さんだよ。


窓ガラスに映っている歩く熊は、私なんだけどさ

怖い。

こんなの近寄って来たら嫌だ。


先生に教えていただいたところを動かしているだけなのに、何でこんなに動きの質感が変わるんだろう?

先生に言われたところを動かそうとしていると、
全体の雰囲気とか、自分の身体が醸(かも)し出す
空気感が変わるんだ。

身体の一部分だけ、身体の形状だけが変わるんじゃなく。


演技において、雰囲気が変わるって難しいんだよ。
(センスのある人は簡単にやってのけます)

演出家に
「もっと危険な香りをさせてほしいんだよ」なんて言われて

一生懸命 怖い顔をしたり、手を振り上げたりしてみても どんどん安っぽくなっていくの。

(手を振り上げてはいけないとか、表情つくるな
という話ではありません)

B級映画のモブゾンビみたいになる。

(これはこれで大好きです)


でも、今窓ガラスに映っているのは モブゾンビじゃない。

観客に(フェーズが変わったな)と感じさせる
ボスゾンビだ。

(こいつ…強い…)

そう思わせる空気感を身に纏(まと)っている。


(動いてなかったということか、今までの私は)

身体の中は、全然動かせていなかったの。

身体の外側とか、浅い表層部分を ちょこっと動かして、大きく動いた気になっていたの。


「お嬢さん、ここを動かせなきゃ話にならないぜ」

窓ガラスの中の 不穏な熊は そう言っていた。


(どこを動かすのかは刀禅の先生にお尋ねください)


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