箱になったり樽になったり

揺腕で、手の指先が通る軌跡が船底形を描く時

腕は柱時計の振り子みたい。

身体は真四角の箱みたい。

箱から突き出た振り子が揺れて
私は、直線で構成された世界にいる。

四角い箱な私の外側で、指先が曲線を描いている。
身体の外に円があり、身体の中は直線だらけなんだ。


揺腕で、手の指先が水平ラインを通るようにしようと
すると

箱から突き出た振り子の運動が違うものになる。

箱と振り子じゃなくて
振り子と振り子みたいな感覚がしてくる。

先生に「アーチとアーチの支え合い構造なんですよ」
と教えていただいたら

動かないもの(四角い箱)から
飛び出たもの(振り子)が動いてますって感じじゃなくて

え?どっちも動いてる?

そんな感触がしてきた。

さっきまで真四角な箱だった身体が たわませられ
ちゃうんだ。

たわませられて、身体がウィスキー樽になる。

側板が膨らもうとしているのを帯鉄(胴輪みたいな
やつ)で抑えこまれている樽になるんだ。


身体の外側にしか存在しなかった円が、
外側を直線にさせることで、身体の内側に押しこまれてくるっていうのかな。


そうすると、直線しかなかった世界がぐんにゃり
変容してくる。

ダリの絵の中の時計みたいに
身体の中が蠢(うごめ)きだす。

不思議だった。

指先が曲線を描くことを許していると、
身体は直線になってしまうのに

指先に直線しか描いちゃダメよって言うと
身体が曲線になっていくのが

なんだかとても不思議だったな。




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