身の置きどころ
身の置きどころが定まってきた。
刀禅で教わる内容って、
ちょっと磔(はりつけ)にされていく感があるんだ。
ロープの端と端を持ってピンとさせていくような。
身体の中を通る線が張られていく。
引っ張られて引っ張られて、ふらふら動けなくなる。
でさ、ここが本当に不思議なんだけど
動けなくなると、身の置きどころが定まるんだ。
身体の中に不動な場所がある状態で動いていくと
自由に動ける。
禅問答かよ?って感じだけど
動けなくなると動ける。
身体の中の線が張れていない状態は、
糸が長すぎる糸操り人形だ。
遊びや弛(ゆる)みがあり過ぎて、人形が言う事を
聞いてくれない。
余談だけど、今人形劇のフェス中で
ゲストの糸あやつり人形劇団の方々の仕込みを拝見する機会があった。
入念に最後まで糸の具合を確認調整されていて
(棒遣い人形や片手遣い人形と違って、全てが糸だもんな)
(糸の張りが生命線なんだろうな)と
袖から見るともなしに見ていた私は、勝手に思った。
でも、私も糸操り人形なんだろう。
今までは、糸がデレンとたるんでいたダメダメ人形。
だけど、刀禅の先生方や、他ジャンルの先生方のおかげで、少しずつ糸の長さが丁度よい長さに近づいてきた。
糸のバランスが丁度良くなると
身の置きどころが定まる。
昨日の自劇団の上演中、本当に嬉しかったんだ。
(こんなに自由に人形って遣えるんだ)
(こんなに自在に台詞って操れるんだ)
当社比だから、凄い方達と比べたら全然たいしたことないんだけど、
でも喜びをかみしめていたんだ。
身の置きどころが定まると、
今まで身体にまとわりついていた重りが取れる。
自由になれる。
自由に人形を操るのって、本当に楽しかったんだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?