16.こだわりのお道具 水着

スイマーの3種の神器といえば、水着*帽子*ゴーグル 。朝出かける前に、ハンカチ*携帯*鍵と同じリズムで、水着帽子ゴーグルと確認してから家を出ている元少年少女や私!も今日も素晴らしいスイミングライフが待っているだろう。

最近では試合に出ないが、練習水着でも、レース水着でも、私は断然Speedoだ。背中が動きやすいこと、肋骨の動きを邪魔しないこと、骨盤のホールド感、太腿の適度な締め付け、腸腰筋サポートで足を浮かせてもらうなど、ターン時の素早い収縮、あげればキリなく、私の泳ぎのサポートをしてくれること、FS(ファーストスキン)の頃から大好きでレーザーレーサー含めて30枚程度所有していた。

もちろんそのうちの何着かは仲間に里子に出してをしてきた。最近でこそゴールドウィンさんの取り扱いだが、昔はミズノさんだったので、練習がオフの月曜日に、下校後神保町のエスポートに出向き、お小遣い握りしめて、練習用の水着を買いに行ったことを覚えている。当時は、レース水着と練習水着の区別がなく全てレース水着であるが、1枚1万円以上する当時流行った腰骨上までのハイレグカットが泳ぎやすかった。カットが同じ柄違いを3枚買って、今日はこれで昨日うまくできなかったあの練習頑張るぞ!合宿には全部持っていくぞ!データ取りの日などは特に新品に近い撥水の効いた一張羅で気合をいれたものだ。

水着の歴史や思いを話し出せばキリがないが、ミズノさんにせよ、アシックスさんにせよ、時代のルールに翻弄されたことは言うまでもない。どれが早いと言う時代は終わったように感じる。どのレース水着もそれぞれの特徴があり、使いこなすことが大切でそれはあくまでも水着が主役ではなく、泳ぐあなた、つまり、私が主役だ。補正機能が泳ぎを教えてくれたり、弱点克服に合わせて求めれば良いと思うし、それは試着や試泳でフィット感や取り回しを理解すれば良いし、とても良い時代が来たと感じる。

レーザーレーサーなどは良くも悪くも水着のルール(規定)を変える名作であったし、繊維業界やパターン取り、縫製などの技術の粋の結集であり人類の終わりなき探究心の極みだと思う。
裏事情としては水泳を支えるメーカーのスピード社と世界水泳連盟(FINA)との関係性を考えなくてはならないけれど、何はともあれ私達がプールに行き、スイマーとしてまず思うことは、昨日より上手に楽に早く泳ぎたいわけで。欲求は底を知らないし、いつの時代も変わらない。

最速最先端のデザインからは学ぶものがとても大きい。開発者の思い、流体力学の研究、進むための水流と抵抗となる渦、それを味方につけて泳ぐ泳者の思い、涙なくしては語れない。

爪の先程の数ミリの時間(1/100秒)をつめる工夫と反復と失敗の連続の世界にいた私からすると、この研究や開発が水着にとどまらず、例えば陸上のアンダーウェアや、血流の悪くなった高齢者の身体機能改善など、汎用性があるといいなぁと感じる。

いっとき膝下水着のルールに変更となった際に、練習水着に下ろすために、膝上で水着を切ったことがある。その残りはレッグウォーマーとして
とても優秀であった。寒さ凌ぎにも優れていた。
後に違った形で商品化された。

必ずや頂点から見下ろす景色の中には、声をあげられずに隠れてしまった需要も見つかるのではないかと。きっと誰かの役に立っている。

最近買ったフェルプスのコーンビーフチャンスの練習水着をいつ着ようかとワクワクしている私。
この気持ちはまだまだ変わりそうもないな。

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