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うちの店は軽犯罪の温床だった

昔レンタルビデオ屋でフリーターをしていたことは何度か書いた。そしてうちの店のセキュリティはガバガバだった。
2週に1度くらいは何かパクられていて、確変で週に3回ほど派手にやられることもあった。ある週の1回目は新品のゲーミングヘッドホンの中身が雑に抜かれていた。おそらくトイレに持ち入って中身だけ引っ張り出し、外箱だけ売場に戻している。2回目はps4のモーションコントローラ的な棒(Wiiリモコンみたいな)が同様に中身を抜き取られていた。そして3回目はレンタル落ちAVが大量に中抜きされていた。

明らかにうちの店はナメられていた。それもそうで、cctvは半分以上がダミーで、アホなことにダミーにダミーと書いてあったのだから。まあ生きてるカメラも確認しないし、ましてや警察への届出など有り得ない。店の誰にもそんな対応してる暇がないのと、そもそも現行犯でしかタイーホできないのとで、結局なにか盗られても皆でクソーとか言うだけで何も手を打つことはなかった。

正直自分は店が何をパクられようと時給は変わらないしどうでもよかったのだが、うちの店が泥棒と転売ヤーの得意先になっている構図は社会倫理的にどうかと思っていた。そういった道徳の底辺にいる人間の排除に正面から取り組もうともせず、イキイキウキウキ悪質転売できる機会を提供しつづける会社も、もはや社会悪じゃねえかと思った。

人間は暮らしている環境によって見える世界が全く異なる。自分もそこでフリーターを始める前、というか大学生の頃は転売ヤーのテの字も知らず、そんな下層の世界の存在を露ほども想像していなかった。しかし毎週そっちの世界で働くようになると、泥棒や転売ヤーだらけの世界がまるで世の全てかのような錯覚がうまれていた。

毎週えらい教授先生と話す生活から毎週エロビデオ泥棒の相手をする生活へ。一見えらい堕ち様であるが、どちらも偏っていたことに違いはない。今後もあくまで色んな世界を知ったうえで生きていきたい。

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