排痰法
排痰方の基本原則
・具体的には、まずは十分に加湿を行って痰の粘稠度をコントロールします。次に体位ドレナージなど重力によって痰を中枢気道まで移動させ、さらに喀痰するために十分な呼気量・速度を得るために、咳嗽介助やスクイージングといった方法で排痰を補助します。
・これらを実施しても喀出を得られない場合にはじめて吸引となる
体位ドレナージのメカニズム
・重力を使う排痰と聞くと難しそうですが、要は体位ドレナージのことを指します。
このことは、マヨネーズにたとえて考えてみると理解が進むことでしょう。肺がマヨネーズの容器で、痰がマヨネーズ容器の中で少し残った中身に相当するとします。この時、中に残ったマヨネーズを出そうと容器をいくら潰してもうまくいきません。これがいわば排痰できない状態です。
このようなとき、マヨネーズ容器に空気を入れてからいったん逆さにし、出口付近まで落ちてきてから容器を押すと、うまい具合にマヨネーズの中身が外に出てくるものです。これが、重力を使った体位ドレナージによる排痰のイメージです。
このように、痰が溜まっている部位を確定したら、そこを上にし、重力を利用しながら痰を末梢気道から中枢気道へと移動させ、排痰を誘導します。この方法を修正排痰体位法と呼びますが、特に痰が次第に肺の下部に溜まり無気肺を形成した下側肺障害などのケースで有効です。
治療的体位
・適切な体位ドレナージでは、治療的体位として少なくとも60度程度の側臥位が求められますが、実際には肩が浮く20 ~ 30度程度の側臥位にとどまっているという状況がよくみられます。こうした体位では痰はほとんど移動せず、効果的な排痰は期待できません。クッションなどを使ってしっかり60度を保持することがポイントです。
・実施する際は、身体損傷がないように側臥位の下側になってしまう手足の位置を確認することが安全上大切です。
アセスメントが大事
・体位ドレナージを行う前には触診や聴診などによって痰がどの部位に貯留しているかを確定させなければなりませんし、また、実施中の効果を評価するアセスメントも欠かせません。
・実施時間については明確なエビデンスのある時間はないものの、3~ 15分程度保持することが推奨されます。特別な状況で、長時間(15分以上)かけて体位ドレナージで排痰を誘導する場合は、圧迫によるトラブル(皮膚や神経)や、事故抜管などのリスクにつながりやすいので要注意です。
・大事なことは、予測して仮説を立てた痰の貯留部位が体位ドレナージでどのように変化したのかを間欠的にアセスメントし、変化を確認することです。可能ならば5~10分おきにアセスメントを行いましょう。それが難しければせめて実施前後に行うことは必須です。
ケアのポイント
●排痰体位の60度程度をしっかり保持する
●実施中のアセスメントは間欠的に
https://knowledge.nurse-senka.jp/204630/
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