2nd EP 不毛戦争セルフライナーノーツ
はい、前回のnoteと併せてお読み頂けたらと思います。
完全にベーシスト目線なマニアックセルフライナーノーツとなっております。
ほとんど自画自賛です笑
興味がある方だけ、読んでみて下さいな。
読んでからまた聴くと違った捉え方、発見があったりするかもしないかも◯
M1.はっぴーえんどろーる
最初に言っておく、この曲、構成が秀逸!
すごい!Gt.中山君、天才かっ!笑
イントロの繰り返しコード進行である
Am-Dm-G-CM7
(ダイアトニックコードでいうとⅥm7-Ⅱm7-V7-ⅠM7、そう、ロク、ニー、ゴー、イチね)
という、おそらくバターチキンカレー並みに世界中で愛される定番コード進行の1つなんだけど、乗っかってるメロディー、ギターリフも最高だと思ってる。
僕自身も、このコード進行でこのテンポ感でこれ以上この曲にハマるベースラインは無いだろ!って思えるベースラインが降りてきた曲。
コード進行になぞってルート音だけを普通に弾くと、定番コード進行感が前面に出てしまいつまらないベースラインになってたと思う。
分析してみると、装飾音としてコードトーン(3度と5度)を少し使っていて、4小節目のCM7でメジャー7thもしくは9thの音を使ってたりしてますね。
この曲のどこが秀逸かって、Aメロに入って二つ目のコードでいきなり王道コード進行から外れてBbメジャーが一瞬出てくる。
個人的胸キュンポイントその1です。ずるい。王道コード進行のループに耳が慣れてからの突然のBbメジャー。
あのちゃんの歌詞の世界観に見事にハマっているよね。
いや、歌詞先行でできてる曲なはずだから、あのちゃんの歌詞の世界観に、このコード進行とメロディーをハメたのか。
自分も、子どもの頃に感じていた人生に対する虚無感の様なものが湧き上がってきた。そんなAメロ。
そしてBメロに入る前に、なんとイントロのコード進行Am-Dm-G-CM7がまた出てくる(歌詞:見なきゃよかった 夢)で、Aメロが終わる。
僕はこのAメロで3杯は酒が呑める。
驚くことに、この曲には2Aが無い。この秀逸なAメロ、一度しか出てこないんですよ。
でも、確かに一度だけで、いい。センス良いな、このバンド笑
Bメロのうね君のドラムは地球を蹴っ飛ばしてる感があってとても良い。
そして、サビの開けた感じがとても気持ちいい。この曲のサビのビートはうね君の疾走感あるドラムと、キッチン前田のポケットの大きなノリのベースの掛け合わせが独特なドライブ感を生み出しているっぽい。
サビの後半、またもAm-Dm-G-CM7の登場ですよ。コイツがこの曲の主導権を完全に握っています。
「ハッピーエンドに振り落とされても手を伸ばすのさ〜」の歌メロがあった上で僕のベースラインも生まれたんだなぁと感じるほどに噛み合っていると思う。お気に入りだ。
使用楽器:62年製Fender Jazz Bass
アンプ:ampeg B-15 多分70年製
DI:ALBIT ALL TUBE D.I ATDI pro
一曲目でこんなに書いちゃった。こりゃ大変だ。ちょっと自粛しよう。
※2023.4.14 MV公開したのでリンク追加
M.2不毛戦争
これは、もう、待望の音源化なんじゃないでしょうか?ねっ!?僕もです!!
もう一年以上前、スタジオで初めてこの曲を合わせた時の鮮烈な体験は今でも忘れられない。
その時はまだイントロのシンセのテーマメロディーもなかった。
Aメロに入ってあのちゃんが歌い出した瞬間、スタジオ内の空気の色がガラリと変わった。無色なはずの空気がしっかりと色づいたように感じた。
サビに入って、曲が進んで、どんどん空気が染まっていった。
演奏を終えた瞬間の、全員一致の「これだ」感。中山君なんて声を上げて笑い出していた。それがなんか嬉しかったな。
この曲の世界観ってとても日本的だと思っていて、海外からも評価される邦楽やアニソン的な魅力を含んでいる曲だと思う。
日本人ならではの感性、美的感覚、曖昧さ、アンニュイさ、etc…
僕、好きな邦楽って少ないんだけど(自分のバンドを除く笑)、不毛戦争には好きな邦楽に感じる胸キュンがある。
初めてのスタジオでこの曲を合わせた時、ぼくは、「このバンド本当にやりたい!」と心底思った。あと、この世界観に共感できるメンバーが集まって良かったなと思った。
多分、みんな隠キャだ笑
僕、なぜか、陽キャだったんじゃないんですか?って良く言われる。陽キャに憧れていてそうなりたいと思っていた子ども時代だったので、そうなれてるのならよかったのかな。
はっぴーえんどろーる歌詞の引用だけど、幾度も向き合った孤独と劣等感がこのバンドのバックボーンにはあるような気がする。
僕は見てなかったので詳しくは知らないんですが、不毛戦争はあのちゃんが昔ツイキャス配信中にギターの弾き語りで即興で作った曲なんだとか。
なんていうか、非の打ち所がないほどに、あのWORLD全開ですよね、この曲。
他の追随を許さない感じある。
ベースに関しては曲に身を委ねて、ただベースを鳴らしているだけ。良い曲は自然とベースラインが降りてくるし、楽曲の中での自分の役割も見えてくる。
「いい音色でベースを録る」
それだけをとにかく意識してレコーディングに臨んだ。
62年製ジャズベのコシのあるボトム感、ヴィンテージの良い楽器鳴りを生かす。下手な加工はせず原音忠実に録れて満足。
これ、本当にいいベースだなあ。僕の師匠の形見でもあります。うちにある何にも変え難い2本のベースのうちの一本だ。
あとこの曲のRecで使ったD.I(ダイレクトBOX)も本領発揮した。
宅録でも使ってるんだけど、とにかくクリアで楽器の鳴りを余すことなく録ってくれるのに温かみもある感じ。コントラバスやヴィンテージ楽器との相性がすごく良い。文化庁の補助金で買っておいて良かったもの第一位!
使用楽器:62年製Fender Jazz Bass
アンプ:ampeg B-15 多分70年製
DI:Pueblo Audio OLLA - Hybrid Direct Injection Box
M.3アンダーすたんど--You!
ライブであのちゃんがハンドマイクで歌い、会場のボルテージも最高潮に上がる曲の一つ。
ちょこざい一切無し、シンプルなパンクソング。あーだこーだ書くことが何も無い。
ライブの疾走感をいかにパッケージングできるかを大事にしました。気合いで録った。
パンク最高!ロックンロール最高!イェーイ!
この曲の歌の危機迫る感じがすごい。頑張りました。きっと今しか歌えない歌を残せたので、本当によかったなと思う。
使用楽器:Fender Precision Bass(詳細不明)
アンプ:ampeg B-15 多分70年製
DI:ALBIT ALL TUBE D.I ATDI pro
M.4 背中
個人的に待望の音源化!ずっとレコーディングしたかった曲。
ひたすら四つのコードをループするだけという、I'sには珍しい曲。
こういうループしてフツフツと渦巻いて、じわじわと熱量が高まりピークに向かう音楽、大好き。ライブで、ある意味1番疲れる集中力使う曲かも知れない。
音楽ジャンル的にちょっとダブっぽいところがあるなと思っている。
僕とうね君のレゲエ&ダブとか、ブラックミュージックが好きな側面が現れちゃっている曲かも知れない。リズム隊だけ聴くと結構黒っぽいです。
サウンド面で、あのちゃんが雨がシトシト降っているような雰囲気が欲しいと言っていたのが印象的で、そんな雰囲気出ているんじゃないかなと思う。
リズム録りの日、不毛戦争の後に録ったんだけど、不毛戦争で使ったPueblo AudioのD.Iがとても良かったのでそのまま使って録ろうと思ったんだけど、前半(Cメロまで)のミュートしながら親指奏法での倍音成分の残響が気になっちゃって、ALBITの真空管D.Iに変えたらめちゃ馴染んだ。音像がクリアであれば良いと言うもんでもない。エンジニアの馬場さん、ナイス判断でした。
使用楽器:62年製Fender Jazz Bass
アンプ:ampeg B-15 多分70年製
DI:ALBIT ALL TUBE D.I ATDI pro
8月31日で無事、バンドは1周年を迎えられました。
1年前と同じ、今年も8/31は下北沢シェルターでライブ。
1年前とは全く違う景色に感動しました。そしてステージから知っている顔も沢山でなんだか安心感。
どこまで行けるのか、いつ終わるのかわからない、とにかく身体に鞭を打って我武者羅に走り出した1年目。もう若くないんだなと実感…苦笑
スタッフとして手伝ってくれてる友人たち、ライブに来てくれるお客さんたち、沢山の人の応援、協力のお陰で続けて来れました。
明日はリリースツアーファイナル。
来れる方は楽しみましょう!!
そしてリリースした大切な4曲、もっともっと沢山の人に届きますように。
サポートして頂けたらとても嬉しいです! 日々の音楽活動費、機材費、キッチン前田の設備投資代として使わせていただきます。