卒業アルバム

小学校の卒業アルバム

"パティシエールになって4人で同居"

ある生徒の将来の夢の欄に書かれていた言葉だ。
当時の仲良しグループの何人が今も変わらず仲良しなのかと思うと、胸につかえるものがあった。
それは当然のことだし、悪いことじゃない。けど当時の情景を思い出し、温かさを覚えるのと同時に、その裏にある暗いものも思い出した。卒業アルバムという祝福のパッケージには入らない部分である。学校という小さな社会には、写真には映らない"社会"がある。派閥もあれば、格差もある。子供ならではの悩みや疑問、嫉妬もある。それはある程度の年齢になると取り留めもないものだったりするが、本質は変わらない場合が往々にしてあると思う。人との違いや人への好意なんかが人々の間に溝を産む。人間の黒い部分を引き出す。その黒い部分は伝染する。特に学校なんていう小さいコミュニティでは尚のことだ。子供は学校以外に居場所がない場合が多いと思う。家族との時間などあるかもしれないが、家族はあくまで家族である。人は生きる上で家族以外の人に影響を受けることが多いと思うし、思春期の子供は家族に言えない本音なんてものは山のように抱えている。伝染した黒い部分によってさらに増幅した黒い部分に自分の人格は飲み込まれ、本来の自分ならやらないことまでやってしまったり、言わないことまで言ってしまったりする。その行動が、ある人の生涯にわたる傷にもなり得る。そんな黒い影に覆われた学校という社会を、幸せのパッケージに詰め込んで、あたかもオールオッケー感を出す。将来の夢を書くコーナーなんて何人の生徒が本当の夢、渇望を書いているだろうか。周りの大人の子供の夢を聞くという娯楽の道具にされている。それは言い過ぎか?卒業アルバムとはそんな偽りの産物なのではないか。そんな気持ち悪さを感じた。卒業してから連絡を取らない人が多いなんて当たり前だし自然なことだ。ただ家が近いという共通点だけで集まった40人が全員と気が合って仲が良いなんて、絶対思想統制されてるだろ。急に集められた人々なんて、大体めちゃくちゃ権力ありそうな出自のよくわからないオジさんに殺し合いを命じられるパターンでしょ。

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