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女1人北インドの記録 ⑦コルカタのおじさんちでパン食べる

1年前くらいにダラダラ書いていたインド放浪記が完結してなかったので、とりあえず終わらせようと筆を(指を)とりました。

さようならバラナシ

バラナシでの生活を始めて数日後、常に39℃くらいの熱と目眩に苦しみながらも(2日前に現地で出会った友人に「身を清めろ!」と下半身をガンジス川に突っ込まれてから体調が最悪だった)、いつも通り現地の友人の家に集まり、ビリヤニを食べていた。

ビリヤニ会もお開きになったところで突如バラナシの青年1人に愛の告白をされ、取り乱した(単純に相手がタイプではなかった)私は彼の手を振り払いそそくさとゲストハウスに戻り、skyscannerで次の朝のバラナシ→コルカタ行きの航空券を予約した。

便利な世の中!

こんにちはコルカタ

乗ったのはspicejet というかなりインドっぽい名前の航空会社のプロペラ機で、予定より3.4時間ほど遅れてコルカタに到着した。
バックパックを受け取り、ホテルへ向かおうとOLA CABS(インドのUberみたいなやつ)で配車を頼み、ホテルに着いた。

エ?
デリーから入国した時は即詐欺トゥクトゥクに捕まり、日が変わるまで偽旅行会社に計3回連れて行かれ怒鳴り合い助けてくれと泣きつき、やっとのこさ到着したホテルはお湯が出ないしベッドは湿ってたのに、

コルカタではちゃんと車が来てちゃんと適正価格で真っ直ぐホテルに連れて行ってもらって、そのホテルもそんなに高くない所なのに清潔で天井は高く、テラスで食べる朝食は美味しくお風呂はお湯が出た。

最初コルカタから入国すればめちゃくちゃ楽だったのでは?

もちろんトゥクトゥクではなくOLAを使ったとか、OLAに乗った場所が国内線の出口の近くだったからというのも理由の1つだと思うが、コルカタはデリーよりも入国時の苦労はだいぶ少ないだろうと感じた。

コルカタの街

コルカタの街並みは美しかった。
イギリス統治時代の名残が強いからか、区画整理がしっかりされていて建物も洋風のものが多く道を歩くと欧州にいるような錯覚が時折あった。

もちろん沢木耕太郎の小説に出てきたようなカオスな地帯が無いことはないが、総じてこれまで訪れた街よりはこざっぱりとした印象を受けた。

街の中心には巨大な博物館があり(1日かけても回りきれないほど広いし展示はかなり面白い)、その側には広大な公園がある。新宿御苑をめちゃくちゃ縦に伸ばしたような公園で、どこまで歩いても芝生と並木路がある。

アイスクリームの屋台が出ていたり、クリケット(インドではみんなあちこちでクリケットをしている)をする少年たちがいたり、ピクニックをする家族がいたり、この日は日曜日だったのでみんなそれぞれ休日を楽しんでいた。なんて平和なんだ。

おじさんには着いて行かない

私のコルカタでの目標はただ一つだった。
「インド人のおじさんには絶対ついていかない」

これまでのインド滞在では現地の人と話し行動を共にする事で、1人で旅をしていては行かなかった所に連れて行ってもらい、1人ではできない体験をたくさんすることができた。

大体話しかけてくるのは普段何やってるか謎なおじさんかお兄さんである。

まあ、この旅の主な目的は行き当たりばったりでプランを決め偶然の出来事を楽しむ事だったので、インドの暇なおじさんたちに話しかけてもらうのは大変ありがたかったのだが、コルカタにいたこの日は旅の最終日だったので深夜には日本に帰る飛行機に乗らなくちゃいけないのだ。

台風みたいに人の行き先も予定も、さらには事実さえ捻じ曲げてぶっ飛ばしてしまうインド人の皆さんに捕まると冗談抜きで日本に帰れなくなってしまう可能性さえある。

てな訳で私は話しかけてくるインド人全員を華麗に避けながら歩いた。

「ねえねえ!君はチャイニーズ?」
「ウン、バイバイ」

こんな感じ。

でもやっぱ捕まる

歩いていて偶然見つけた寺院に入り、1人で楽しく観光し、さて次はどこに行こうかな〜と近くの川辺で休憩していたところに子供たちが話しかけてきた。

12歳と8歳くらいの女の子と5歳くらいの男の子。まあ、子供だし、おじさんじゃないから、そんなにめんどくさい事にはならないだろうと思い会話する。

1番年上の女の子は英語が話せた。

「ハロー、何してるの? 韓国人?」

「日本人だよ。ただ休憩してるだけ」

「日本人に初めて会った! 私たちのお寺でタリーを食べるんだけど一緒に来ない?」

寺院の奥の広間に連れて行ってもらって、タリーをご馳走になった。

途中2歳くらいの可愛らしい女の子が錫のコップに入った冷たい水を持ってきてくれて、ありがたく頂いた。歩き疲れた体に沁み渡る(多分これ水道水か井戸水だったと思う…おそらくこれのせいで帰国後も2ヶ月くらい腸内環境最悪だった)。

タリーやサンドイッチをモリモリ頂いていると、川辺で話しかけてきた女の子たちの父親がやってきて「日本人!うちに遊びにおいでよ!」なんて言う。

はい、インド人のおじさんに捕まってしまいました。

GAME OVER

ここで断れば大丈夫だよ、て思うでしょ?
無理なんです、インドのおじさんの誘いを断ると駄々をこね終いには怒り出すのでめんどくさいのです。

「今日こそはおじさんと関わらずに観光しようと思ったのに…」と心の中で呟きながら、言われるがままおじさんのスクーターに2ケツでおじさん宅に向かった。

土壁の2階建ての小さな家。天井は低いけれど壁が黄色やピンクに塗られ、インドっぽい刺繍の布が壁とか棚の上とかとにかくあちこちを飾っていて華やかだ。

小さな庭にはガネーシャの像が飾られ、「俺たちインド人は神様を大事にするんだ」と像を撫でながらおじさんは笑う。

おじさんよりかなり若い奥様がニコニコ出迎えてくれて2階に上がる。キングサイズのベッドの上でおじさんの従兄弟やら弟やらが窮屈そうにゴロゴロしながらテレビを観ていた。

奥様が持ってきてくれたバタートースト(めっちゃバターが塗ってあって美味い)を食べながら一緒にテレビを観た。

でもなんだかおじさんと従兄弟たちの様子がちょっとヤな感じなのだ。
やたら一緒に写真を撮りたがったり、喋る私を動画で撮ったりする。

あー。これはアレだ。
人を家に呼んだ、というよりは、「なんか顔が平たい珍しい生き物捕まえたぜ(私の顔はかなり平たく、ゆで卵に似ています)、面白いから見てみろよ」みたいな感じなんだろうな。

それに気付いてなんだか冷めちゃったので、「もうホテルに帰らなきゃ」と嘘をついておじさんにさっきの寺院の近くまで送ってもらった。

インド以外でも、比較的田舎に行けば似たような扱いを受けることはよくあるけど、あんまり良い気持ちはしない。
別に良いけど、うざー。

そんな感じでコルカタ観光は終わった。

でも帰りの空港で食べたビリヤニが美味しかったので、OKです(またビール飲んでる)(モリモリ食べてたら日本に帰る飛行機乗り遅れそうになった)。

オワリ!

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