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演技と驚き◇Wonder of Acting #1(Jan. /2020)
【はじめに】<演技>についての言葉を集める場所を作りました。人が誰か別の人を、時にはこの世にいないかもしれない人を<生きている>不思議、それを観て心を揺さぶられる不思議、を一緒に味わったり、考えられる場所になれば良いなと考えています。ゆっくりと、けれど、遠く・深くを目指します。
立ち位置は受け手の側です。観客の立場から、演技という驚きをもっと味わいたい。私以外の誰かが演技から受けた驚きについても聞いてみたい。それが最初の発想です。
第1号は1月のTwitterから集めました。探した範囲、対象ジャンルとも、さほど広くはありません。今お読みの方も、演技をめぐって書かれた言葉を是非お寄せ下さい。自薦・他薦は問いません。連絡先は末尾に記載しております。この記事への感想など、それ以外のコメントも大歓迎です。
なお事前の引用許可はとっておりません。記事公開の後に引用した旨連絡しています。アカウントご本人からのご要望がありましたらできるだけ速やかに削除します。(このやり方自体に違和感のある方もいるかも知れません。また、私が気が付かない著作権の問題や、公序良俗の問題があるかもしれません。その場合、ご連絡下さるとありがたいです。)
それでは第一号です。お納めください。
01.今月の演技をめぐる言葉(2020/01)
万引き家族を絶対見ると決めたキッカケは、カンヌの審査委員長ケイト・ブランシェットが「もし私が他の映画で「あの泣き方」をしたら、それはサクラの真似をしたと思って欲しい」と言ったから。何その泣き方って!見たい!!と思わせる絶妙なコメントだったし、重ねるならあのシーンは現場の即興だった
— poetly (@poetly) January 15, 2020
(小林啓一監督について)
— 桜井日奈子bot (@bot54132710) January 14, 2020
監督からは、「この作品(殺さない彼と死なない彼女)で一皮剥けた女優さんになってほしい」と。そして、「演じる前から感情を作らなくていい。人って動いた後から感情が湧いてくるものだから」と言われたことが印象深かったです。
『ラストレター』を観た。劇場で観るべき物語なのでネタバレを最大限に避ければ、天に八物くらい与えられた福山雅治と、演技力の魔物たる松たか子、正直付き合ってほしい神木隆之介、敬称略で呼べない役者第1位の広瀬すずさんに並び、森七菜さんまでもが敬称略で呼べない役者一覧に躍り出てしまった。
— 田 (@kori_sat) January 18, 2020
みんな年取ると「味のある芝居」を意識しすぎる
— 丙ウマ・サーマン (@hinoeumathurman) January 19, 2020
『ラストレター』、大抵の映画の日常会話&受け身の反応は当然芝居的でセリフ的で脚本的だけど、岩井俊二の描く日常会話と受け身の反応はリアリズムそのもの。特に“受け身”の芝居で圧倒的に百点の反応を繰り出す松たか子の凄味。
— いちろー (@shimesabaclub) January 18, 2020
『散歩する侵略者』と『寝ても覚めても』と舞台『豊穣の海』の東出はとても良かったので、演出によって化ける役者であってただの「棒」ではないよね。『寝ても覚めても』は共感とは全く離れたところにある恋愛映画の傑作。
— 丙ウマ・サーマン (@hinoeumathurman) January 23, 2020
佑さんの演技って知識と技術があって、いつも「いつかの誰かに似ている感じ」の演技をする。そして何処かプログレな感じに仕上がる。サクラさんは誰かにも似てない珍味みたいなはずなのにキャビアみたいに高級感が出てくる。お互いにあまり影響を受けてないんだと思う。それはプロとして正解だと思う。
— 土曜日のマチ (@machi_sat) January 23, 2020
より現実に近い自然な演技だけをしないサクラさん好きだ。不自然なアクションも取り入れても、役を現すことができる。はじめ舞台俳優になりたかったらしい。メソッド演技法と、古典的な表現主義を融合させたようなワンアンドオンリーなお方だと思う
— 土曜日のマチ (@machi_sat) January 23, 2020
わりと驚いたのが「東出昌大は棒読みで演技が下手」という評価が結構あることで、一般的に演技といえば台詞回しの上手下手で評価されるのだなということを改めて確認した。私にとって東出は「立ってるだけで怖い」稀有な才能の持ち主なので、あの世代ではトップ3くらいに好きな俳優です。
— Amin -open mode- (@drchickengeorge) January 24, 2020
山縣さんの「一つの基準ではなくて、それぞれの俳優について上手さの基準をもつ」というの本当に分かるな。 #ゲンロン200113
— アイスカハラ (@kuhonnouji) January 13, 2020
しかし戸田恵梨香は本当に上手いな。
— いろは猫 (@iroha_cats) January 24, 2020
窯の温度が上がらない焦りと苛立ちと、あの場面を見てしまった動揺と嫉妬を炎を見つめるだけの演技の中に全部詰め込んでいた。見ているこっちが辛くて胸を描き毟られる思いがした。すごい。 #スカーレット
柳田國男の踊りに関する文章で、少年時代、旅芸人の一座が毎年やって来て、その期間だけ一座の少年が同級生になり、見栄を張るところをやって見せてもらうという話が出てくる(うろおぼえ)。この旅芸人が播州歌舞伎。となりの加西市あたりからやって来る。柳田の故郷辻川は交通の要衝で田舎ではない。
— overQ (@overQrevo) January 14, 2020
エル・ファニングのナチュラルボーンナチュラルさに比べると今日一本目(というか観た映画多分全て)の佐藤江梨子のアンナチュラルさ。ただ彼女は外側から演出されている内に、なぜか役を(どんな破綻し整合性のない設定でも)生きていてしまっているという稀有な才能があってそれが継続できてるのがすごい
— pulpo ficción (@m_homma) January 11, 2020
#アップリンク渋谷 #アップリンク吉祥寺 勝手に3本立ての3本目#アンダーユアベッド
— klein-2 (@klein2_def) January 17, 2020
とにかく良い。とにかく幸せ。
にしても、違ってるけど繫がっている佐々木千尋と浜崎千尋を演じきった西川可奈子さんに、なぜ賞が出ないのか?変じゃない?
02.こういう基準で言葉を選びました(初回なので少し長い)
対象は、舞台、アニメーション、映画、テレビドラマ、そのほか、人が<演技>を感じるもの全てについての言葉です(夢は大きく)。選択基準は、演技について書かれていること。肯定的もしくは記録的または分析的であること。というか、とにかくネガティブオンリーではないこと。また単に「すごい」「すき」というだけではなく、その演技固有の何かについて書いてあること。あ、でも、すごいすごいすごいすごいすごいすきすきすき。みたいなのは多分記録すると思います。
媒体は、Twitterから始めましたが、要は、ほっておくと流れて消えてしまう言葉をとどめておきたいということです。チラシの一行とか、街の看板とか(看板に演技のこと書かれてたら、ぐっときますね)、そんな言葉を探しています。逆に言うと、ブログなどにまとめて書いてあるものは、今月の「Wonder of Act」で紹介することはあっても「今月の演技をめぐる言葉」では引用しないというのが大まかな方針です。(このあたりも難しくて、全然別の話題について書かれた記事の中で、一か所演技についてハッとする言葉が書かれていたら記録するだろうとも思います。)
また当初、「観客の」言葉に限ろうと考えていましたが、これは少し考えて、取り下げました。観客にとっての場所でありたいと考えていますが、そのことと観客の言葉だけを集めることとは違うと感じたからです。
それから、私が観ている/観ていない、共感できる/共感できないは判断基準にしません。ですから、私が観たこともない演技について、100人のうち99人(私も含む)が賛成できないような言葉が載っているかも知れません。それも含めて<驚き>、という理解をしていただけるとありがたいです。
また、同じ対象(作品・俳優)、同じ言葉の出どころ(書き手)、についてどれくらい気にするかは、あまり気にしないことにしました。基本その月(に見つけた)言葉を集めようと考えていますので、かぶることを気にかけすぎるのも変だろうという判断です。とはいえ、10も20もかぶることはないと思います。そのあたりは編集人のバランス感覚で。
03.今月の「Wonder of Act」(編集人の一押し)
ー映画『殺さない彼と死なない彼女』パンフレット(1月3日入手)より
間宮(祥太朗) 「原作もそうですけど、扱っている感情としては、非常にミニマムだと思うんです。基本的に俺は桜井さんとしか関わっていないし、他のパートの出演者もそれは同じだったはずで。二人というのは人間関係の最少人数ですけど、SNSの友だちやフォロワー、いいね!の数で人間関係が数値化されるいまの世の中で、たった一人の相手がいれば成立するということが描かれている。その人さえいれば自分を肯定して生きていけそうな勇気を持てる。そんな人間関係の原点に立ち返れる映画だと思います。」
厳密に言えば、演技についてではなく、俳優による映画・配役解釈の言葉ですが、こうした認識をもって、あの演技を見せてくれた間宮祥太朗氏に敬意を込めて。
04.予告、お願いと連絡先
第2号は2月28日発行予定。2月に書かれた言葉を中心に集めます。できれば日数と同じ29以上の言葉を集めたいものです。
よろしければ、ご自身の言葉、あるいは、ご自身がぐっときた言葉をご紹介下さい。取り立てて焦っているわけではありませんが、もっと舞台、アニメーション、テレビドラマの演技について言葉が集められれば良いなと考えています。今月もっと大河ドラマの話題が集まるかと思いましたが、存外演技について書かれているものはなかった印象です。
連絡はコメント欄のほか、以下もお使いください。
Twitter: @m_homma 、@WonderofA (このマガジン専用)
Mail: pulpoficcion.jp@gmail.com
ツイッターのDMは開放しています。
そうそう。マガジン、および、各月の記事タイトルの画像は、乏しい私の画像フォルダから選んでいますが、何かしら演技を感じさせる画像(撮影・作成問わず)をご提供いただけますとありがたいです。公表して良いお名前(アカウント名)もお知らせいただけますと、明記いたします(それくらいしかお礼できませんが)。
それでは、また一月後にお会いできますことを!
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▼ 最後に
99.編集人について
pulopo ficción。pulpoはスペイン語で章魚(たこ)、ficciónはそのままフィクションの意味です。呼びかける際はpulpoさん、章魚氏などでどうぞ(編集人の本名を知っている方は本名でもかまいません)。
1965年生まれ男性会社員。高校生の頃に小説好きが高じて戯曲を読むようになり、大学で生の舞台の面白さに目覚め、演出をし、戯曲を書き、俳優でもありました。映画を集中的に観だしたのも大学の頃です。noteに、昔(大学卒業後)書いた戯曲と演出ノートが載っています。
30代後半から観客サイドに移り、舞台よりも映画を観ることの方が多くなりました。テレビはほとんど観ません。嫌いなのではなく、習慣を失い、苦手になってしまった感じです。劇場アニメも割と観るほうだとは思いますが、ファンの人にはとてもかないません。とはいえ演技が好きという点でつながれると信じて、このマガジンを作っています。
編集人からは以上です。これからもどうぞよろしくお願いします。
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