失踪したことがある⑩

夏も終わりが見えてきた。セミ兄貴たちが毎日残り少ない青春を謳歌している。長い年月を土中で暮らし、一夏の思い出を残して死ぬ。セミの身になってみたい様な、なりたくない様な。

僕たち某青年部の夏祭りは、危ぶまれていた通り中止となった。「なんとかやれるんじゃない?」との声もあったが、当日の暴風ぶりをみる限り、やはり中止にして良かったと思う。用意した景品等はまた何か面白い形で有効活用していきたい。準備をしてくださっていた各団体の皆さん、誠にすいませんでした。

最近息子(3)が大分人間らしくなり、外の催事にも遊びに連れて行くことが出来る様になり、今年の自分たちの祭りが出来なかったこともあって、お隣S町の祭りに遊びに行ってきた。

祭りや行事は主催する側になってから、あまりよそのイベントに行かなくなっていたので、最近は息子を連れて遊びに行くのが楽しくなってきた。自分たちが企画する祭り等は、毎年同じ様な内容になりがちなため、よその祭りの出店やステージ等を見ると大変勉強になる。

色々な屋台が出ている楽しい祭りだった。イカ焼き、ビール、たこ焼き、ベビーカステラ、焼きラーメン、ビール、ケバブ、栄養士さんが見たら卒倒しそうなメニューをガブガブ食べ、飲んだ。祭りの屋台のメニューは栄養学から見たらマイナスかもしれないが、心の栄養はタップリだ。

花火も見れたし大満足、のはずが、帰りに通り雨にやられてびしょびしょになった。残しておいたケバブをひっくり返して濡れた路面に落としてしまって泣く泣く帰りにゴミ箱に捨てた。これで今年の祭りは今のところ一勝四敗。嵐を呼ぶ男となっている。そんな属性はいらない。

>>>>>

少し広い部屋に移ってから、今度は眼鏡さんが話し相手になってくれた。

「ご家族の方が来られたら、とにかく平謝りするんですよ。僕が見た中で一番ひどかったのは、迎えの人と殴り合いのケンカになったことがあって…」等と、今後のアドバイスをしてくれた。勉強になります。

その他T市の色々な事を話した。砂丘ばかりが有名だけど、缶詰の加工場なんかも結構面白いらしい。住宅地図を持ってきてくれて、おすすめの観光スポットも教えてくれた。もはやお客さんである。

仕事柄、地図を見るのが得意だから、持ってきてもらった住宅地図を端から見ていって、T市の街並みと地名を眺めながらあれこれしゃべった。やはり潮風の影響か、僕たち山間部の田舎と違って田んぼの面積が少ないのが興味深い。

再びトイレ休憩をお願いし、一服させてもらった。署内に戻ると、次はお巡りさんたちの普通の事務室の奥の応接間に連れていかれた。完全にお客さんになっていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?