失踪したことがある⑮

愛の消防団って…知ってるかな?今日は…そのことについてお話しします…。それは…甲奴町に数十年前から存在する結婚式での余興で…親しい人の結婚の際には幸せな門出を祝うために欠かせない儀式なんだって…。

素敵だねえ…。先輩方が考案した余興が次の世代に交代しながら数十年も続いてるって…。これって、繋いできたみんなの勲章ですよ?

昨日は親しい先輩の娘さんに向けて、何年かぶりに愛の消防団をやらせて頂いた。地元では何度も見ている、もしくは出演している方も多いが、やるからには全力でやらないと格好悪い。体格的にバランスが良いという理由で指揮者の役を承った。指揮者は出演者全体の最初の動きの号令をかけるため、慣れていないとなかなか難しい。もちろん他の役もそれぞれ見せ場があって、全体のテンポが悪くなるので各々失敗は許されない。

僕は久しぶりの愛の消防団で動作の細かいところがキビキビ出来ず、自己採点は70点という感じだったが、祝福の気持ちは本当だ。2人に届け、この想い。

僕たち以外の余興もそうだが、出席者のみんなが和気あいあいとして、素敵な時間を過ごさせてもらった。ありがとうAちゃん、ご両親のKさんご夫婦。出席者はみんなあなた達が大好きです。Yくん、みんなのアイドルを射止めた責任は大きい。お幸せに。

そして今日は地元の同級生たちと牡蠣パーティーだ。飲み会という名の戦場は毎週の様に回りながら続く。今朝は昨日の片付けをした後、牡蠣の買い出しに行った。昨日は三次会の前に帰らせてもらったおかげで、今日も気持ち良いお酒だ。

そのまま息子のお誕生日祝いをみんなでやった。みんなが集まるいいタイミングで誕生日を迎えた息子のヒキの強さに乾杯だ。最後にやった同級生でのマリオカート勝負で負けたのがめっちゃ悔しい…ビクンビクン!!リベンジマッチが待ち遠しい。

そんなこんなの楽しい事が続いた週末だった。ここしばらく安定してきている躁状態の反動が来ないことを祈る。

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地元では僕の所属する消防団で大規模な捜索がなされていた。僕が当日行くはずだった打ち合わせ場所までの道のりや、河川沿いの道、どこかで事故に巻き込まれていないかを皆さん必死で捜索してくれていた。

そんな中、嫁さん達が警察に駆け込んで失踪届けの手続きをしていた時、最初の対応はまあ、良くあることですので様子を見ましょう、的なしょっぱいものだったらしい。そこにS先生が乗り込んで来て、こう言われた。

「よろしく、お願いします!」

あっという間に通常の初期の失踪者には使われない秘密のシステムが使用され、僕の大まかな行動は把握された。どうやらまだ生きてて、移動しているらしい、その旨が消防団にも連絡されて、失踪初日の僕の捜索は打ち切られたとのことだった。

S先生は今でもこう言う。

「わしは川に落ちとらんかと思って、その後も近所の川の堤を棒でつついて回りよったんじゃ!」

みんなは言う。

「ほんまに事故か何かあったんじゃと思って、何度も何度も同じ道を行ったり来たりしよったわ!」

これを言われる度、みんなに本当に心配かけてしまったことを思い知る。今でも同じ事を言われる度に、僕は、

「すいません…」

と一言返す。

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