失踪したことがある④
令和である。いい響きの元号だ。清涼感がある。令和初日の5月1日が僕の誕生日だった。
よく遊びに来る後輩たちが祝いに来てくれて、勢い任せでひさびさにカラオケに行った。ノリノリで歌うアナ雪は最高である。
最後は懐かしのうどんそば自販機に寄って帰った。夜のうどんそば自販機には趣がある。酔っ払いの真っ暗な夜の世界を照らす灯台だ。
どちらかと言えばそばが食べたかったが、連休で利用者が多いためか売り切れであった。うどんもいい。ラーメン、そば、うどん、スパゲティ、麺類は何でも好きだ。
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お巡りさんに車から降りるように言われて素直に従う。仕事柄国家権力には弱い。ましてや失踪者という弱みがある。こうなればまな板の上の鯉である。身長は190センチ、体重100キロを超える大鯉だ。
僕は巨漢である。お巡りさんが5人、逃げられないように僕を囲む。警戒レベルは高い。逃げられない。
「捜索願いが出ています。あなたをここで確保して、警察署まで護送してから、迎えがくるまで待機してもらいます。所持品を見せてください。」
手際がいい。こういう事件に慣れていらっしゃる。言われたとおりに所持品をバットに並べていく。危険なものは持っていなかったので、特に何も没収されなかった。
パトカーの後部に座らされ、両サイドをお巡りさんに挟まれた形で護送される。僕の乗っていた車は他のお巡りさんが警察署まで運転していくようだ。
警察署までは30分程で到着するらしい。再び海岸沿いの道路を走りながら、うっすらと日の出の気配がしてきた日本海を眺めていた。
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