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プロを名乗るための条件


先日、ツイッター上で「ライターと名乗る人の半分は素人」という投稿があり、ライターさんの間で物議を醸していました。




「実績やブログ公式ページがないと(ライターとして)アウト」、などと書かれており、「じゃあ私はライターじゃないのね」と傷ついた方も多かったようです。

実際、「プロ」を名乗る条件とは何なのでしょうか?

これはライターだけではなくあらゆる職業に通じる問題と感じています。特に今のようにネットで簡単に金儲けができる時代では「プロ」と「素人」の垣根がなくなってきている状況もあるでしょう。


今回はプロを名乗るための条件とはどのようなものか、考えてみましょう。

1.私が考えるプロの条件


端的にまとめると、私としては以下のようなことがプロの条件と感じます。
1-1.スキル
どのような職業にも専門スキルがあってこそのプロと思います。ライターはさまざまな活動分野があり一概に「このスキルが必要」と言いにくい面もありますが、ウェブならSEOを意識した文章力、コピーライターならキャッチーなコピーを作る能力が必要でしょう。また読み手にわかりやすく伝える文章力はどのライターにも必須です。

また弁護士なら最低限の法律知識とコミュニケーション力、裁判や示談に対応するスキルなどが要求されるでしょう。

1-2.プロ意識
次にプロ意識。「いい加減な仕事はしない」「不当に安く買い叩こうとする依頼は受けない」「違法な依頼、グレーな依頼は高額報酬であっても断る」などが必要と思います。

「面倒くさいから、忙しいから、しんどいから仕事を適当に済ませる」人は素人です。
高額な報酬に目がくらんで違法・グレーな仕事を受けるようではプロとはいえません。
また自分の価値を正当に評価すべきです。不当に安く買い叩こうとする依頼を断固として断るのもまたプロ意識ではないでしょうか。

1-3.クライアントにコミットする能力
クライアントにコミットする能力はプロとして必須です。自分の都合よりクライアントの都合を優先する、できるだけ返信は早くする、相手の意向を汲んだ制作物を作成する、結果を出すなどです。
ただし単にクライアントの言いなりになれという意味ではありません。クライアント自身が自分に有益なことをわかっていない可能性もあるからです。プロであれば、もっと大きな視点から「何がクライアントにとって本当に必要か」「クライアントが今必要としているモノは何か」を見極めてアドバイスするくらいの能力を持っていたいところです。

1-4.提案力
単にクライアントの言いなりに仕事をするだけではプロとして進歩がありません。自分から「このようにしてはいかがでしょうか?」という提案を行える人は、同業者より1歩先んじることができるでしょう。
的確な提案をするためには、常にクライアントの希望やおかれた状況、市場などを見極める力と想像力、現実的な企画力なども要求されます。

1-5.コミュニケーション力
クライアントワークのプロといえるには、コミュニケーション能力が必須でしょう。
クライアントからの新規問合せ、条件設定のやり取り、スピーディな納品、納品後の的確なやり取りや次回に引き続いての依頼の交渉など、どういった場面でもスムーズなコミュニケーションが必要です。
相手にストレスをかけず、なるべく自分の希望する方向へと誘導していけるならプロに近づいているといえるでしょう。

1-6.お金に振り回されない
プロといえるには「お金に振り回されないこと」も必要です。ときどきネット上で必死になって「いくらもうけたか自慢」をしている人がいますが、そうした人は「いくらお金を稼いだか」だけで自分を評価しているのでしょうか?クライアントが見たらどう思うのか考えているのかな?結局は自慢したいだけでは?と思いさもしい気持ちになります。

お金はプロとして働いた仕事への正当な報酬であり誇りにして良い部分ですが、お金儲けだけが目的となるともはやプロとしての姿勢としてどうかと感じます。
金儲けばかりを追及すると、いつしか違法なことやトラブルに巻き込まれてしまう危険も高まるでしょう。常に節度を持って仕事に取り組みたいものです。

1-7.見極める目
正しい情報を見極める目も必要です。みなが正しいと言っていても矛盾を見つけて「違う」と判断できる力、洞察力、また周囲と異なることを言える勇気など。
ライターはネット上に大量に溢れているいい加減情報の中から数少ない正しい情報を拾い集めないといけない仕事ですから、周囲に流されているようではいつまでもプロとはいえないでしょう。

少し話がそれますが、最近では盲目的に「インフルエンサー」をあがめ奉ったり、みんなが「良い」というnoteや商材に群がったりする向きも多く、プロかどうか以前に世の中の人々の一方的な傾向を心配しています。


たとえばこちらは、私が数年前から気になっていたことです。あるインフルエンサーへのリプ欄を見て「新興宗教のようだ」と気味悪く感じていました。ライター界隈でもときどきそういうの、ありますよね。最近は同じように感じる方が増えているみたいでよかったです。少しずつでも現状が変わっていけばと思います。

また以前、悪質インフルエンサーの詐欺のパターンなども書いていますので、よければお読みください。




2.実績やブログ、サイトについて


私としては、プロを名乗るために必ずしも実績は条件ではないと思います。実績がないとプロでないなら、経験の浅い人はプロでないことになってしまいます。しかしサラリーマンであっても弁護士であってもライターであっても、クライアントから依頼をいただいてお金をもらっているならプロですし、「私は初心者だから」などという甘えは許されません。

ブログやサイトも条件ではないと思います。そのようなものは本人が作るか作らないかだけのことで、必ずしも実力を反映しません。初心者や仕事を始める前の段階の方でもサイトを作り込むことは可能であり、プロかどうかの判断にはあまり役に立たないでしょう。

3.最後に


今回でこのマガジンを終了させていただきますが、最後に「プロとはどのようなものか」を書かせていただきました。
これまでお読みいただいたみなさま、本当にありがとうございました。
はじめてこのマガジンをお読みになった方、よかったらバックナンバーなどもご覧ください。
体調が悪いときもあるのですが、今後も取り上げてほしいテーマなどがありましたらお気軽にご連絡いただけますと幸いです。気に入ったらスキや拡散、サポートなどもお待ちしていますね。

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17歳で重度の拒食症(摂食障害) 25年間苦しみ続けてきました。 必死で勉強して弁護士になりましたが病気が悪化して廃業 その後、在宅ライターになりましたが命の危機もあって入院中です 毎日入院日記を投稿中 よかったら闘病生活のサポート、お願いいたしますm(_ _)m