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世界一早いDesktop Postflop v0.2.4レビュー

※本記事で紹介するソフトウェアは、2024年現在開発を停止しています。現行のバージョンを自己責任の範囲にてご利用いただくようご留意ください。


▼Desktop Postflop とは?

 ばいなり氏(@b_inary)が開発した、完全無料(2023年4月現在)のGTOソルバーです。GTOソルバーとは、PioSOLVERやGTO+などの有料ソフトがよく知られていますが、ポーカー(主としてNLHEノーリミットテキサスホールデム)の均衡戦略を計算してくれるソフトウェアです。均衡戦略・GTOの詳細説明はここでは省きますが、付け入る隙がなく、すげー強い戦略くらいに覚えておいてください。
通常、GTOソルバーは高額なのでこれが無料なのはバグっている可能性が高いです。

▼Bunching effect って何?

 さらに只、既存のGTOソルバーを模倣しただけではなくDesktop PostflopではBunching effectに世界で初めて対応しています。Bunching effectとは、一言でいえば自分より前のプレイヤーがfoldしたことの及ぼす影響のことです。直感的に、foldするということはAxやKxよりも72oや84oなどのゴミハンドで降りている可能性の方が高そうですよね?つまり前の人がfoldした場合、残ったデックにAやKといった強いカードの濃度が極わずかながら上がるはずです。ただこの効果は全体でみると軽微と考えられてきたこともあり、既存のソフトウェアでは、開発の難しさもあり、実装されてきませんでした。
無料なのに、有料のソフトより理論的には厳密な計算が出来てすげーってことです。

▼画面プレビュー

 以下では、実際の画面のスクリーンショットを掲載します。PioSOLVER等のソフトを使ったことがある人であればおなじみの機能です。UIユーザーインタフェースも美しいですね。

プリフロップのレンジ指定画面


ボード選択画面


計算設定画面


Bunching Effect設定画面

現在Bunching effectの前計算中…


317秒で前計算が終わりました。速い。


計算実行開始です!

現在計算中…


僕のよわよわPC、i7、RAM32GBでも…
1065秒(17~18分)で3bpの計算ができました!

 なお一般にGTOソルバーでの計算には、多大な計算リソースを使うので一定以上のPCスペックが求められます。特にCPUとRAM(メモリ)のスペックが重要ですが、高額なソルバー買いたいけど自分のPCで動くか不安だ…という方は、まずDesktop Postflopを試してみるのも良いかと思います。


計算結果。GUI神すぎんか…


ターン選択画面
ダイナミクスわからんマンに嬉しい機能が見えます。


全てのアクションが終わるところはこんな感じ。


Strategy+EV表示や


EQ分布


OOP・IPの比較までいろいろできます。

すごい(小並感)

▼Bunching effectの有無による計算結果の差

 Desktop Postflopでは、Bunching effect無しでの計算も可能です。そこでどの程度の差異が生まれるのかトライアルで計算し本記事を閉じたいと思います。

BB vs. BU 3bpにおけるBB側のCB戦略やEVに変化は現れるのでしょうか。
A-highレインボーのドライボードを見てみます。

▽Bunching effectなしの場合

▽Bunching effectありの場合


EQ分布や各指標全体を比較すると大きな差はないのですが、Bunching effectありの方が大きなCBサイズを使う割合が2.4%増加し、checkも微増。メインの33%pbが5.4%減少しています。

お試しで回しただけなので、詳細は不明ですが、有意差が現れてくるシチュエーションは存在しそうです!



これまで「何万円もの大金をかけてまでポーカーのことを知りたい…!」という人だけが使ってきたGTOソルバーを気軽に使えることは、本当にすごいことです。しかも技術的に開発難易度の非常に高いソフトウェアを作ってくれたのは、心から尊敬します。みんなも使ってみてね。

いただいたサポートは、自分以外の誰かの幸せに使いたいと思います。