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夜逃げしてもらった事があります。

賃貸業をやるにあたって様々リスクが有りますが、代表的なリスクとして入居者の家賃滞納があります。
一つの解決策として、こんな事をやりましたというエピソードを書いてみようと思います。
その昔ですが、弊社が管理していた賃貸マンションの入居者が家賃滞納をした時の話です。
滞納が、2ヶ月を超えてこれ以上滞納すると滞納状態を戻すには厳しくなるので、本人が在宅している夜に話をしに行きました。
その人は阪神大震災の時に解体した建物などをダンプで運ぶ仕事をするために福岡から単身神戸に来た人でした。
震災特需に沸いていた神戸ですけど、元請けの、孫請けの、ひ孫請けの、ブローカー挟んでの、、、みたいな構造は多々あった中で、この人はやった仕事のお金をもらえなかったと。
貯金も底をついて、中古のダンプも売って建設作業員で仕事もしたけど借金の支払いなどもしたら追い付かなかったと項垂れるばかりです。
6畳のワンルームに確か40台中盤の男性が、カーテン無しで、段ボール箱をテーブル替わりに缶ビール一本がありました。
このままだとこちらとしても居座られるのも困る。だからと言って、家賃滞納も容認できない。
そして、荷物を置かれたまま夜逃げされても、その荷物の処分をするのに裁判して、動産の一時保管、競売手続きもお金と時間がかかり過ぎるということも考えて、結局こうしました。
その方に、福岡まで帰るのにいくらかかるのと聞きました。
確かバスに乗って帰ると1万円しないくらいと。じゃあ、明日までに必要なもの持って夜逃げしてくれないか?と。
少しは小遣いもいると思うので1万円にプラス2万円足して3万円現金を手渡しました。
夜逃げの後に、残していった荷物に関して、一切処分しても異議申し立てしない事を約束してもらう一筆を入れてもらいました。
その人は、泣いて喜んでくれましたねえ。
これで福岡に帰れると。
私の方も、家主に対しては、このタイミングなら敷金も余裕があったので実質的な損害は今なら発生しませんし、あの人夜逃げしましたし、私の責任で次の入居者をすぐに入れますからという事で納得してもらいました。実際にすぐ次の入居者も決まりましたので、とても喜んでくれましたねえ。

結果的に夜逃げのサポートをしたのですが、両方にとっていい塩梅の解決策になったと思いました。
私のポケットマネー3万円は無くなりましたが(笑)。

不動産の仕事をしていたら、いろんなドラマを目の当たりにします。

※今の時代では賃貸保証会社がありますので、管理会社が滞納督促に行くということは殆どなくなりました。
しかし、こういうある意味人間対人間のやり取りで解決するということは少なくなってしまったと思います。

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