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一年間の「自然環境リテラシー授業」を通して

2022/12/24 リテラシー最終発表会
 今回のnoteでは、自然環境リテラシー最終発表会で、教授や他の自然環境リテラシーのメンバーの前でプレゼンテーションをしました。その時の原稿をここに残しておきたいと思います。
 川コースのしずくです。このスライドでは、銚子川を知らない、もしくは自然とあまり触れ会う機会がない子ども達を対象に考え、少しでも銚子川ってどんなに素晴らしいのか、自然はどれほど面白いものに満ちているのかを伝えられるように作りました。リテラシーメンバーには、銚子川の魅了を伝えるとともに、私がリテラシーの授業で感じたことが伝わればよいなと思っています。

 実習は、主に銚子川で行いました。私は、このリテラシーで銚子川が大好きになりました。みてください!この透明度!!!日本には清流と言われている川は様々ありますが、上流から下流まで一貫して透明な川は銚子川だけ。銚子川は清流の中の清流なのです。前半は、銚子川で私の中に浮かんだ疑問やもっと知りたいと思ったことに基づき、話を聞いたり、自分で調べたりして答えを導いたものをお伝えします。私は銚子川に出会ってすぐ、どうしてここまできれいなのか疑問に思いました。 

 一つ目の要因は、花崗岩の塊によるろ過作用です。上流全体には花崗岩でできた11kmにも及ぶ広大なV字谷が広がっています。まず、花崗岩でできているV字谷の壁が風化によりどんどんボロボロになっていきます。それにより、壁から剥がれた花崗岩がV字谷の下で徐々に積もります。そうすると、花崗岩の塊ができ、それがろ過装置として機能します。その塊を、濁った水が通過するうちにろ過され、約8年後に、透明の水となって再び顔をだします。 

 二つ目の要因は、伏流によるろ過作用です。濁った水が、一度地下にもぐりこみ、再び水の中に顔を出すとき、透明な水に変身しています。この他に、微生物によるろ過作用もあるといわれています。  この銚子川の透明度があるが故に、汽水域で見える現象があります。それはゆらゆら帯と言われるものです。  

 海水と淡水の比重の違いによって光の屈折が、入り乱れるために発生する現象で、ガムシロップのような揺らめきがあります。普通の川なら、生活排水などが流れ込み、一番汚れるのが汽水域。別の川にもゆらゆら帯は存在していますが、抜群な透明度を持った銚子川だからこそ見られる現象です。 ゆらゆら帯はそこに住む生き物に影響を与えています。

 その一例として「ボウズハゼ」がいます。川コースの皆さん、覚えていますか?ボウズハゼは川で生まれて、すぐ海に下り、3か月ほど海で過ごし、川に戻ってきます。そして、汽水域で半月ほど過ごします。彼らは、海水では体を横にして泳ぎますが、淡水に入ると逆立ちをして泳ぐようになります。川を流れる小枝に似せて、敵の目を欺こくことが目的です。

 スジエビについても述べます。体には7条の黒褐色帯模様があり、名前もこれに由来しています。生きている時は、体がほぼ透明で内臓が透けて見えますが、死ぬと体が白く濁ります。食性はほぼ肉食性で、動物の死骸にもよく群がり、餌が少ないと共食いもします。実際に自分でスジエビを捕まえてみて、不思議に思ったのは、どうして体が透明なのかということです。調べてみると、最も天敵に見つかりにくい色が透明でした。自然界ではエビはとても弱く、魚の餌として生きている存在です。食物連鎖において弱い立場の生き物はなるべく捕食者に見つからないように進化してきまたことがこの例からも分かります。さらに、足にある、黄色もしくは青色の斑点模様を見つけて、体の透明な色に比べて、なぜこのような色が発色しているのか、不思議に思いました。実際、スジエビの色素胞に含まれる赤色の色素顆粒、特にアスタキサンチンが関係していることが分かりました。

アスタキサンチン


 アスタキサンチンは特有のタンパク質と結合することで,黒っぽい青灰色(せいかいしょく)を呈します。これらの理由から、足の模様が黄色に見えたり、青く見えたりします。 

 さらに、みんなで網を使って捕獲したエビを焼いて食べるときに、透明だった体色が加熱されたとたんに赤くなったのを見て、これは不思議だ、と思いました。調べてみると、またしても、アスタキサンチンが関係していました。エビを加熱するとタンパク質が変性してアスタキサンチンが遊離し,赤い色が強調されます。 

 自然の中にいると、どうして?不思議!と思えることがポンポン浮かんできます。学校で座って授業を受けているだけでは、味わえない感覚です。自分が実際に、見て触って体験することを通してこそだと思います。銚子川で二回ほど実習をして見つけた、そこでアウトドアをする魅力はまだあります。 

 見てください。これは、銚子川での夜空です。真っ暗闇の中、心地よく、優しい銚子川の音だけが鳴り響いています。満点の星空の下で、川の傍に座って友達と語りつくす時間は最高です。

便石山の頂上からの景色

 次にこの写真を見てください。銚子川の近くには、便石山 びんしやま という山があります。やっとのことで登りきった後には、壮大な景色が私達を迎えてくれます。これが頂上からとった動画(ここのnoteでは画像になっています。)です。私的には「君の名は。」などの新海誠映画などに出てきそうな景色だなと思っていました。そう思ったと同時に、私は、じわじわ迫ってくる興奮感を味わっていました。

 銚子川では、ターザンをして川に飛び込んだり、テントサウナをしたり、先輩とクロール対決をしたりしました。大学生になった今でも、こうして美しい自然の中で思いっきり遊べる機会は非常に貴重でした。すごく楽しかったです。 
 今回主にお子供たちを対象に設定して、今までのリテラシーのnoteを読み返しながら、どんなことを最も伝えたいかについて考えました。最終的に、何よりもまず自然を好きになることが重要であるという結論を出しました。

 好きになればなるほど、もっと自然について学びたい、知りたいという感情がおのずと芽生えてきます。また、自然を好きになればなるほど、楽しさの反面に存在しているもの、いわゆる川で言う水難事故や、今自然に起きている環境問題に関心を向けずにはいられなくなるし、自然を、生態系を、守っていきたいという思いも次第に強くなると思いました。


 スジエビをみんなで捕獲して食べたときに、ガイドの田上さんが根こそぎとらない精神について語っていたことが印象に残っています。私は食いしん坊なので、獲ったエビを全部食べたいと内心思っていました。しかし、田上さんはすべて食べてしまった場合の生態系への変化を考えて、当然だという態度で獲ったエビのほとんどを逃がしていました。大好きな自然を、銚子川を自分たちで汚してはいけない、何事も過剰は良くないとその時改めて思いました。 

 最後になります。今回このプレゼンテーション内では述べ切れなかったものの、今年のリテラシーで学んだことは本当にたくさんありました。最高のメンバーに囲まれ、かけがえのない時間を過ごせました。本当にありがとうございました。以上で発表を終わります。      


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