見出し画像

第三話 ソーン二ャ 自分を守るということ

ソーン二ャはいじめっ子猫でした。元々はそんなことする子ではありませんでした。
どうしていじめっ子になっちゃったんでしょうか?

今日も小さい猫たちをいじめています。だけどいつもと違うところがあるようです。
それはウルニャンでした。
いつもはいじめるとすぐに泣いてしまうけど、今日はなんだか違います。

「ウルニャンのチビスケ。やあい🎶」
どんなにはやしたててもウルニャンは向かってきません。
それどころか、他の子達と楽しそうに遊んでいます。
他の子をいじめようとするとすぐにウルニャンが来て連れて行ってしまいます。

「ちぇっつまんねぇやつだな」
ソーン二ャはそうつぶやくと足元の石をウルニャンに向かって蹴りました。
「いてっ」
石はウルニャンの背中に命中。

ウルニャンは痛みを感じながらも、背中に当たった石に驚きました。
ソーンニャの攻撃に怒りがわき上がりますが、自分の心に抑え込みました。
その代わりに、ウルニャンは静かに立ち上がり、ソーンニャの前に立ちました。

「なんでそんなことをするんだ?」
ウルニャンの声には驚きと優しさが混ざっていました。

最初は怒っていたソーンニャもウルニャンが優しくしてくれたので、びっくりしていました。ウルニャンの目を見ると、怒っているわけではなくて、優しさと思いやりがあふれているのがわかりました。

ソーン二ャの目から不思議と涙が出てきました。

「ソーン二ャ、ボクには話しにくいかもしれないけど。。そうだ!ソーン二ャ良いお店がある。一緒に行こう」
ウルニャンはそう言ってソーン二ャの手を取ってライスのお店に向かいました。


ライスのお店

二人はほのかなハーブの香りが充満しているライスのお店に入りました。

「いらっしゃい。ウルニャン、今日はお友達を連れてきたのね」

「まずはどうぞ♡」
フェオニャンが二人にハーブティーを出しました。

「あ、この前のミルクティーじゃないんだね」
「今日はバレリアンとパッションフラワーのハーブティーなんだって」

「イライラやストレスにはこのハーブティーがピッタリなんだ。あったかいうちにどうぞ」
奥からライスが出てきました。


バレリアンとパッションフラワーの
ハーブティー


「美味しい」
ハーブティーを一口飲むとソーン二ャの表情が柔らかくなりました。

「ソーン二ャ、君は本当は辛かったんだね。」
ソーン二ャはうつむきました。
「お父さん仕事が忙しくてあんまり遊んでくれないみたいだね。お母さんもお父さんの仕事が忙しくて寂しい思いをしているみたい。それがわかっているから家では我慢しているみたいだね。」
ソーン二ャはうつむいたまま泣くのを我慢しているようでした。ウルニャンとフェオニャンはライスの話を聞いて驚いています。

「ボクがいけないんだ。ボクがママの事笑わせてあげられないから」
「そっか。ソーン二ャ、もうわかっているよね?だからってお友達をいじめて良いことにはならないって。」
ライスが優しく話を続けます。
「ソーン二ャこの文字わかる?」


ソーン

「何?この記号みたいなの」
ソーン二ャが不思議そうに眺めます。
「これはᚦソーンっていうルーン文字なんだ。ソーン二ャと同じだね。」
「うん。。。」
「これはね、トゲを表してるんだ。バラの花にトゲがあるのは知ってるよね?」
ソーン二ャの顔をのぞき込みながらライスが話し続けます。
「なんでバラの花にトゲがあると思う?」
「わからないよ」
ちょっと怒ったようにソーン二ャが答えました。

「そうだよね。ハハっごめんごめん。バラのトゲは自分の身を守るためにあるんだよ。でもさ、そのトゲがたくさんありすぎたらどうだろう?虫も近づけなくて受粉ができなくなっちゃう。人も近づけないからバラの花は子孫を残せないよね。だけど、トゲをなくしちゃったら自分のことを守れなくなっちゃう。」

「じゃあどうしたらいいの?」
ソーン二ャだけではなく話を聞いていたウルニャンとフェオニャンも声を出しました。
「トゲはあっても良いんだよ。ただ、そのトゲはほどほどでなくちゃいけないし、自分に向けてもいけない。全くなくしてもダメ。」
「うん。。ちょっとよくわからない」
「ソーン二ャはここにくる前、家ではトゲを自分に向けてさらに外ではトゲを外に向けすぎてたんだよ。」
優しくライスが話続けます。
「トゲは上手に使うんだ。自分は自分。人は人。その境界はきちんと分ける事。自分がツラいからって誰かをいじめて良いことにはならない。でもツラい時にはツラいって言って良いんだ。寂しい時には寂しいって言って良いんだ。言う相手は誰だかわかるよね?」
「パパとママ?だよね。」
「そうだね」

ライスはソーン二ャに背を向けました。
「他にも誰かに言いたい事があるんじゃないかな?」
「あ。。。」
少し戸惑ったようにソーン二ャはウルニャンの方に向き直りました。
「さっきはごめん。ここに連れてきてくれてありがとう」
ウルニャンはその言葉を聞いてとても優しくソーン二ャに笑いかけました。
「うん。もう誰かをいじめたりしちゃダメだよ。明日みんなに謝ろう。」
「うん。そうするよ。ママとも話してみる。すぐには難しいかもしれないけど」

「そうだね。良い事だと思うよ。」
ニッコリ笑いながらライスは二人に話しかけました。
「ライスさんありがとう」


ソーン二ャ

じゃあ二人におまじないのルーン文字を教えよう

ライスが一つのルーン文字を持ってきました。
「これはᛉエオローっていうんだ。友情を表すルーンだよ。これを二人で持つといい。友情の証だ」
「ありがとうございます」
二人は喜びました。

「じゃあその文字をアクセサリーにしてあげる♡」
話を聞いていたフェオニャンが何かを作り始めました。
「できた♡」
二人にキーホルダーを渡すフェオニャン。
「カッコいい。ありがとうフェオニャン。」

フェオニャンの作ったキーホルダー

二人は仲良く店を出ていきました。
「良かったね。」
ホッとしたように椅子に座るライス。
「たまには私がハーブティー淹れようか?」
フェオニャンが優しい笑顔でライスに話しかけました。
「ありがとう。じゃあお願いしようかな?」

ライスのお店に優しい時間が流れました。

さて、次はどんなルーン猫が登場するでしょう?
お楽しみに♡

最後まで読んでくれてありがとう💞
あなたも幸せでありますように💓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?