輸送コストを把握することって大事だなと思ったという話
書店員さんの嘆きと怒りのNoteをいまさら読んだ。もう2か月も前のポストだ。
ざっくり言えば、お客さんに注文された商品が入荷するまで時間がかかりすぎる! というお話。
ぶっちゃけ、正直に一般的な商売の視点で見ると、使えない取次(卸業者)変えれば? という話になるように思う。
そして、Amazonが翌日配送を実現するためにどれだけの投資してるのか、宅急便があの速度でものを運ぶのにどれだけの企業努力があるか、この人は知らんのか? とも思った。きっとそんなことはないんだろうけど。
Amazonはその巨大な取引量にともなう利益に埋没して送料が見えないが、Amazonの桶川倉庫とか見ればわかる。相当なシステム化をして人の数を大分減らし自動化していて、配送スピードを上げるために相当な工夫を凝らしていることがわかる。
宅急便は使ってみればそれなりの料金が取られている。それでも結構カツカツの料金でしのぎを削っているからこそ、宅配ドライバーが足りないとか、宅配ドライバーの報酬が悪いとかって話がたまに出てくる。
元来、物流にはそれなりのコスト、言い換えれば手間暇がかかるもので、本だって同じことだ。
私は小さい商売の営業もしたことがあるが、問屋さんから注文があったって、ある程度注文がまとまらないと、とても出荷できなかった。それは、物流費をペイできるくらいの売上が無ければ売れば売るほど赤字になるからで、どうしても欲しいと言われた場合は、送料先方持ちでよければといった形で出荷していた。もちろん問屋もそんなことはわかっていて、基本的にはまとまってから注文してくれていたけど……。
本屋さんだって小売店だ。問屋が使えないと思うなら変えるべきだし、直接仕入れるにしても、ある程度まとまった商いにならなければ門前払いされるのは当たり前で、1点から売買が成立するなら、ユーザーが直接メーカーから買えばいいということになってしまう。
客注品情報の信頼度の無さ
私は昔、出版社側で営業をやっていたことがあるので、客注伝票は結構見てきた。その中にはあからさまに客注じゃないだろう(あくまで推測。だが、書店の棚担当の同じ名前の客注が十冊以上あれば、まぁ、ほぼほぼ本来の客注ではないだろうと思う。)というものも多かった。
新刊配本の無かった(少なかった)書店が、客注であるというテイでなんとか新刊を確保しようとして注文してきているのがすごく多かった。これは決して珍しい事態ではなく、完全に常態化している。
もちろん人気の商品ほどそういったものが多く、千件単位で来る注文をすべて確認することは不可能で、怪しいものは怪しいものとしての判断をするしかない。
本来は、客注などの注文出荷商品は返品不可であることが多い。だが、そういったものも当たり前に返品されてくる。なんだったら客注スリップ付きのままで。
悪貨は良貨を駆逐するという。ウソ情報を混ぜられた注文が繰り返された結果、返品リスクを避けるために冊数の多い客注出荷は調整されてしまう。もしかしたらその中には本当にお客様が注文したものもあるのかもしれないが、そこまで1件ずつ確認はできない。
結果、現在の客注はあんまり意味のない情報になってしまっている。
本当に消費者のことを考えるのであれば、出版社や取次は客注の注文で出されたものは満数出荷して、簡単には返品できないように工夫するべきだったし、客注が返品されてきたら、その書店に何らのペナルティを課す(次回から客注でも出荷しないとか)ような努力をして、その信頼の精度を保つべきだったと思う。
また、書店側も言うまでもなく、客注を偽装した注文など出すべきではない。
だが、もうすでに遅い。
既存の客注情報は汚染されてしまっていて、信頼できる情報ではない。
そもそもの輸送コストは可視化するべきだと思う
自分が通販で商品を買おうと思うとき、輸送コストは気になるポイントであるのは間違いない。
だから、ネット通販は送料無料をうたう。
だが、どんなものであっても物理的なものを動かす以上、必ず発生するコストであることは間違いない。
だれかが、何らかの形でそのコストを請け負っている。多くは消費者の商品価格に転嫁されているはずだが、そうではない誰かが泣きを見ているケースもそれなりにあって、だからこそ輸送問題とか、トラックドライバー不足とかって問題にもなる。
そして送料がかかることが明記されていると、細かいものは小売店で買おうかという気持ちも湧き上がってくる。
どうだろう。そろそろ日本では通販時に商品価格とは別に、送料も明記するべきじゃないかなと思う。
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