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上部が裁断されない製本方法:天アンカットのこと

東京インターナショナル・ギフトショー2022春の会場で、藤沢製本の藤澤さんとお話をさせていただきました。そのときに製本についてお話をお聞きした後、次のような記事をたまたま見つけました。

文庫本の上部が裁断されておらず、がたがたのまま製本されているものを見かけることがあります。「天アンカット」と呼んでいるそうです。

岩波書店のTwitterアカウントが以下のような書き込みをされています。「天アンカット」は「フランス装風の洒落た雰囲気を出すため」なのだそうです。

新潮文庫のTwitterアカウントでも同様の書き込みがありました。こちらも「フランス装というおしゃれな造本」ということです。

ハヤカワ文庫のTwitterアカウントでもありました。

最初に引用した記事には、「本は紙の束であるという原点を、より感じられるものだと思っています」という理由であると記載されています。

創元文庫のTwitterアカウントでもありました。こちらもフランス装の本を目指しているようです。

天アンカットはアンカットしない製本に比べて手間がかかると言われているそうです。こちらのサイトによれば以下のような記載があります。

印刷データの作成から(昔なら組版の段階から)印刷~折加工までをきっちり仕上げないとまともな本に仕上がりません。

https://printing-and-binding.blog.jp/archives/uncut-binding-bunkobon.html

しかし、フランス装という言葉がわかりませんでした。調べてみると、「中身の本に対して表紙を少し大きくする製本様式で上製本の表紙が柔らかくなったイメージです。 一枚紙の四方を折りたたみ表紙の強度を確保します。
ミシン製本と同様に希少な製本加工になります。」とありました。

しかし、私にはこれだけだとフランス装風に見せることがなぜお洒落で、わざわざ手間をかけて天アンカットにするかの理由まではわかりませんでした。

どなたか、背景お分かりの方、ご教示ください。

なお、本記事を書くきっかけをいただいた、藤澤さんをインタビューさせていただいた記事はこちらです。こちらもご覧ください。


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