画像1

小さいころ握りしめていた物(朗読ver)

莉奈
00:00 | 00:00
4/20の日記を朗読しました。


「小さいころ握りしめていた物」

お父さんの膝くらいの身長の女の子が、アンパンマンのぬいぐるみを右腕で抱えていた。

普段アンパンマンのぬいぐるみを見ても、「アンパンマンだなぁ」としか思わないけれど、女の子の腕にぎゅっと守られているアンパンマンは、顔だけがひょっこり出ていてそれはそれはかわいかった。


街で見かける小さい子の手には、何かしらが握られている気がする。
すきまがなくなるくらい、指先を手の平にぎゅっと丸めて。

握られているものは、おかしだったり、ぬいぐるみだったり、おもちゃだったり、本だったりする。

自分が小さい頃、ぎゅっとそっと握りしめていたものを思い出してみる。

丸くてツルツルした石、ガラスみたいにキラキラしているエメラルドグリーンの石、帽子をかぶったどんぐり、四葉のクローバー、セミのぬけがら、シジミらしき小さな貝殻、庭で摘んだ水仙。

気づいたら手の平からなくなっていて、心の底から悲しくなったこともあった気がする。

忘れていた思い出って、思い出そうとすればちゃんと出てくるんだな。
わたしの中にちゃんと残っていてよかった。
小さいころ感じていたことはずっと覚えてたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?