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クライバーンコンクール、いよいよ開幕。全体スケジュールと課題曲紹介

6月2日(木)からアメリカ・フォートワースで、第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールが開幕します。日本の辻井伸行さんの優勝でも知られるこの伝統あるコンクールは4年に一度開催され、膨大な課題曲と入賞後の手厚いサポートで知られるアメリカを代表する世界的なピアノコンクールです。今回は2021年度の実施が1年延期され、満を持しての開催となりました。いち早くストリーミングライブ配信等を取り入れるなど、常に世界の国際コンクールをリードしてきたこのコンクールは、開催期間中、巨大なフェスティバルとして展開されていく一大音楽イベントです。

早速、今回のコンクールに向けた選考とスケジュールをご紹介します。

◆選考の段階
事前選考 2021年末 388名が応募
予備予選 2022年3月 72名がフォートワースで演奏
本大会  2022年6月2日~18日 いよいよ30名が競演

この栄えある本大会出場者に、日本からは、亀井聖矢さん、吉見友貴さん、田所光之マルセルさん(フランス/日本)の3名が選ばれています。

明日6月2日から始まる本大会は、以下のようなスケジュールの長丁場です。

◆スケジュール概要(日程は現地時間。時差は14時間)
6/2(木)1次予選(1)
6/3(金)1次予選(2)
6/4(土)1次予選(3)
6/5(日)2次予選(1)
6/6(月)2次予選(2)
6/7(火)
6/8(水)セミファイナル(1) ※夜の部から
6/9(木)セミファイナル(2)
6/10(金)セミファイナル(3)
6/11(土)セミファイナル(4)
6/12(日)セミファイナル(5)
6/13(月)
6/14(火)ファイナル(1)
6/15(水)ファイナル(2)
6/16(木)
6/17(金)ファイナル(3)
6/18(土)ファイナル(4)/表彰式

全体は4つのラウンドから成っています。30名⇒18名⇒12名⇒6名と選抜されていきます。

◆本大会の選抜段階と課題曲

(1)1次予選 PRELIMINARY ROUND
内容 30人の出場者が40分のリサイタル(新曲委嘱作品含む)
日程 6/2(木)~6/4(土)午前10時/午後2時半/午後7時半(現地)の3部制
会場 Van Cliburn Concert Hall at TCU

(2)2次予選 QUARTERFINAL ROUND
内容 18人の出場者が40分のリサイタル
日程 6/5(日)~6/6(月)午前10時/午後2時半/午後7時半(現地)の3部制
会場 Van Cliburn Concert Hall at TCU
※「Quarterfinal」=「準々決勝」は日本のピアノコンクールではあまり聞きなれないので、シンプルに2次予選と呼ぶことにします。ご了承ください。

(3)セミファイナル SEMIFINAL ROUND
内容 12人の出場者が以下の2つの演奏を行う
 (ア)60分のソロリサイタル
 (イ)課題一覧から選択したモーツァルトのピアノ協奏曲(オケと共演)
日程 6/8(水)~6/12(日)
会場 Bass Performance Hall

(4)ファイナル
内容 6人のファイナリストが(1群)(2群)の一覧から1曲ずつ協奏曲を選択し、オーケストラと計2曲を演奏する
日程 6/14(日)15(月)17(水)18(木)
会場 Bass Performance Hall


ファイナルの課題とスケジュールを見るだけでも、このコンクールがいかに巨大な課題曲を課しているかがお分かりになるでしょう。

今回の大きな変更点は、クライバーンコンクールの名物のひとつでもあった弦楽四重奏団との室内楽(ピアノ五重奏)がなくなったことでしょう。以前は、セミファイナル=室内楽、ファイナル=2つの協奏曲でしたが、2017年は、セミファイナル=モーツァルトの協奏曲、ファイナル=室内楽1曲と協奏曲1曲となり、今回はセミのモーツァルト協奏曲はそのままに、ファイナルの室内楽が2曲のピアノ協奏曲に戻りました。このあたりは、試行錯誤を続けているといえるでしょう。

前回のファイナルから、優勝したソヌ・イェゴンの室内楽

いずれにせよ、40+40+60分のソロとコンチェルト3曲をすべて準備した30人の猛者たちが、フォートワースに集いました。


1次予選で課された新曲委嘱作品も、毎回話題となります。前回2017年は、ピアニストとしても著名なマルカンドレ・アムラン作曲の「Toccata on "L'Homme arme"」でした。こんな曲です。

2017年委嘱課題曲(作曲者による自作自演)

今回も同じくピアニストとしても活躍しているイギリスのスティーブン・ハフ作曲の「Fanfare Toccata」という作品を全員が1次予選で演奏します。こちらにも注目です。

6月18日の最終結果発表まで、ピアノファンにとって目が離せない2週間が、いよいよ始まります。

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