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第18回ショパン国際ピアノコンクール特集(ピティナ)

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ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)広報部が、2021年にワルシャワで行われた第18回ショパン国際ピアノコンクールをレポートした特集記事のアーカイブです。
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2021年10月の記事一覧

飯田有抄のショパコン日記〜エピローグ:音楽で世界を元気で平和にするために

第18回のショパン国際コンクールが幕を閉じてから、早くも1週間が経ちました。結果発表日以降は、この日記を読んでくださっている方はもうほとんどいないかもしれません。けれど、3日前に帰国して、まだポーランド時間(=時差ボケ)で過ごしている私が、深夜にこっそり書きたくなったことを、この日記のエピローグとして、そっと置いておこうと思いました(その割に長文御免!)。 「伝統ある○○」といったとき、私たちはつい、その○○が長年変わることなく、ずっと古き良き形で残されてきた、とイメー

第4位クシュリックさん&入選エヴァさんのインタビュー公開!~2021ショパンコンクール

最終結果発表翌日の記者取材会、すでに公開したピアニストたちのほかに、もう2人、お話を伺うことができました。 第4位に入賞したヤクブ・クシュリックさん。もういかにも「気は優しくて、力持ち」そのまま(あくまで想像)という感じの方ですが、飯田有抄さんも彼の「あったかい音」を絶賛していました。「3次予選に残ることが目標だった」と謙虚に語る彼の人柄にも魅了されるインタビューです。 もう一人、お話を伺うことができたのは、ファイナリスト17歳トリオのひとり、ロシア/アルメニアのエヴァ・

飯田有抄のショパコン日記60〜審査員の海老彰子先生に聞く。国際舞台で求められるもの

今年のショパン国際コンクールの全てが幕を閉じました。このコンクールを通じて感動できたこと、発見できたこと、学んだこと、みなさんそれぞれにあると思います。 現地からのショパコン日記のフィナーレとして、予選から長きにわたって審査を務められた日本からの審査員、海老彰子先生に伺った素晴らしいお話をみなさんと共有したいと思います。 今回のコンクールを振り返りながら、これからの音楽と音楽家のあり方について、考えさせてもらえる内容です。じっくりとお読みください。 ——まずは今年のコンクー

飯田有抄のショパコン日記59~日曜日の旧市街

コンクールの全日程も終わり、いよいよ明日には帰国というタイミング。のんびりと旧市街を散歩してみました。観光客であふれるスポットですが、広場ではデモなどもあって、石畳の旧市街は大変賑やか。しばしお散歩風景にお付き合いください。 午後3時頃。かなりの人出でした。 観光地なのでたくさんのお土産屋さんがならびます。こちらは琥珀が有名。 ポーランド食器! かわいいですよね。 巨大シャボン玉生成の男性。 日本では街の本屋さんが減っていたりして寂しいですが、ワルシャワは旧市街に限ら

飯田有抄のショパコン日記58~ワジェンキ公園でショパンからの声が?!

ワルシャワの観光スポットとしても人気の高いワジェンキ公園。日本国大使館のすぐ横に広がる、広大な敷地の公園です。この中に、とても有名なショパン像があります。 大使館の方から歩いて行くと、ショパン像まで美しい景色を楽しむことができました。 曇天の中、小さなカメラとiphone(古め)で撮影した写真です。荷物の関係でこの日は諦めた大きなカメラを、やっぱり持ってくればよかった!と大後悔(カメラ好きあるある)でしたが、記録したくなる瞬間の数々でした。 さて、公園内のやや山道っぽい

飯田有抄のショパコン日記57〜小林愛実さん、大使公邸にて

こちらの記事にて、ほぼ全貌をお伝えいたしました在ポーランド日本国大使公邸での宮島大使と反田さん・小林さんのお話は、とても和やかな雰囲気で、なおかつ核心に迫る言葉の数々もうかがえて、すばらしいお時間をご一緒させていただきました。 大使との懇談後、とてもリラックスした表情を見せてくれた小林愛実さん。その胸にはとても可愛らしい「♪」の形のネックレスが光っていました。いつも、演奏の前にそっと触れている、あのネックレスとのことです。 「もう15年ほども前に、当時習っていた先生からも

鼎談:反田恭平さん・小林愛実さん・宮島昭夫大使、ロングトーク全文~2021ショパンコンクール

結果発表後、入賞者ガラコンサート第三夜が行われる10月23日(土)の昼間、入賞した反田恭平さん・小林愛実さんが、在ポーランド日本国大使公邸にて、宮島昭夫・駐ポーランド特命全権大使に今回のコンクールの入賞を報告しました。宮島大使ご自身も今回のコンクールに注目し、熱心に聞いていたこともあり、大使がまるでインタビュアーであるかのような充実の鼎談となりました。いち早く日本の皆様にこの会談の模様をお届けしたいと、飯田有抄さんが渾身の編集。7000字余り、少し長いのですが、充実のトークを

飯田有抄のショパコン日記56〜オペラ座での入賞者ガラコンサート

55の日記に書きましたとおり、にわかに固めた「黒くしときゃ大丈夫」コーデでお出かけしたポーランド国立オペラ劇場(ワルシャワ大劇場)と入賞者ガラコンサートの1日目。それはそれは華やかなことでございました。 表彰式やコンサートの模様はYouTubeの配信からも、その雰囲気が伝わったことと思いますが、ここでは会場の内部を少しお写真でも。外はこの通り、宮殿のような劇場入口がライトアップされてドーン! テレビ局の中継車などもピタッとついておりました。 さて、内部です。チケットとワ

飯田有抄のショパコン日記 55〜入賞者ガラコンサート、まさかのドレスコードで焦るの巻

3日間の入賞者ガラコンサートも昨晩終了し、第18回ショパン国際コンクールの全日程が終了しました。これから入賞者たちはヨーロッパを巡り、日本でもきっと素晴らしいコンサートを展開してくれることでしょう! さて、入賞者は記念コンサートとして、結果発表の翌日から3夜連続のガラコンサートに出演しました。こちらもYouTubeで全貌が配信されていましたね。授賞式やスピーチ、そして入賞者たちのリラックスした華やかな演奏シーンをご覧になった方も多いでしょう。 例年はその3日間のコンサート

入賞者ガラ第三夜、感動的に終演~2021ショパンコンクール

現地時間の10月23日(土)夜、ショパンコンクールの長い日程を締めくくる入賞者ガラコンサート第三夜が行われ、10月2日のオープニングコンサートから始まった約3週間の祭典は無事に幕を閉じました。 ◆入賞者ガラコンサート第三夜の配信アーカイブ 第6位のJ J Jun Li Buiさん、第5位のLeonora Armelliniさん、第2位のAlexander Gadjievさんが、第二夜までとは異なる曲を演奏。反田恭平さんは、マズルカ風ロンドに加えて、思い入れたっぷりの「ラル

第2位アレクサンダー・ガジェヴさんインタビュー到着!~2021ショパンコンクール

反田恭平さんとともに第2位に入賞した、イタリア/スロヴェニアのアレクサンダー・ガジェヴさんのインタビューを公開します。すでに浜松やシドニーなどの大コンクールで優勝している実力者ですが、自らの芸術的信念を貫きながら「音という現象を使って何ができるか」を極限まで追求していくスタンスは感動的でした。 記者取材会でのインタビューが入ってきましたので、お届けします。非常に示唆に富んだ、ガジェヴさんらしいお話で、必見です。 ◆ソナタ賞を受賞した第2番を含む3次予選の演奏を改めて 飯

飯田有抄のショパコン日記54〜ワルシャワの自然の一コマ

本日はミッションにより、ポーランドの日本国大使公邸を訪問いたしました。そちらの取材記事は後日(といってもそう遠くないうちに)がっつりとお出しするとして、ここでは閑話休題ほっこり自然風景を。 ワルシャワの秋は本当に美しい! マルタさんによれば、前回のショパンコンクールの時は、天候に恵まれず本当に寒い日が多かったのだとか。でも今回はコンクール中はとても晴れた日が続き、なぜかお休みの日になると、雨が降ったり曇ったり。 今日は朝のうち雨、そして曇り空。グレーな空の下でしたが、それ

第3位ガルシア・ガルシアさんインタビュー&写真特集~2021ショパンコンクール

今回のショパンコンクールの大きな話題となった、スペインのマルティン・ガルシア・ガルシアさん。終始、音楽する喜びをいっぱいに表しながら、前向きでオープンなショパン像を提示し、見事に第3位に入賞されました。 記者取材会でのインタビューが入ってきましたので、お届けします。 1次予選からの写真を改めて整理すると、楽屋での演奏前のガルシアさんは、驚くほどシリアスな表情ばかりを浮かべていることが見えてきました。ステージに1歩踏み出す瞬間、意識的に、「音楽で幸せを共有する」ためのスイッ

(番外編)ついついまとめてしまうアルメリーニさん特選写真~2021ショパンコンクール

2010年の前々回大会以来の参加となったイタリアのレオノーラ・アルメリーニさん。見事に第5位に入賞されました。 演奏前後にも、終演後のインタビューでも、いつもニコニコ、明るくてチャーミングな魅力を振りまくその姿に、われわれスタッフの中ではいつのまにか「アルメリーニ姐さん」⇒「姐さん」と呼ばれていたことは秘密です。 そんなアルメリーニ姐さんの魅力爆発の写真を、ついつい集めてまとめてしまいました。連日連夜、睡眠不足で見守った皆様に、癒しと元気をお届けします。 以下、一部、脚