見出し画像

先天性内反1

先天性内反足について

1 どんな病気?
出生時に前足部の内転、後足部の内反、 足全体の尖足の3つの変形要素を持った足部の変形拘縮です。この拘縮は徒手的な矯正に抵抗を示します。出生時に内反足様の変形があっても、容易に徒手的に正常可動域まで矯正されるものは、 子宮内の肢位によるもので、放置しておいても変形がなくなり、 真の先天性内反足ではありません。また前足部のみに内転変形がある先天性内転足との鑑別も必要です。

2 どんな子どもがかかるのですか?
発生率は約 0.1% (1000 の出生に約1人) で男児 (女児の約2倍の発生率)に多いようです。 両側性の方が片側性よりやや多いようです。

3原因は?
未だに明らかになっていません。 胎生期の子宮内における機械的圧迫説、成長障害説、筋不均衡説、局所形成異常説などがあります。 他に異常を合併しないいわゆる特発性先天性内反足と、先天性多発性関節拘縮症や、二分脊椎、下肢の奇形などに合併する難治性の先天性内反足があります。

4 どういう病態ですか
後足部の形態は主として距骨、 蓮骨、 舟状骨、立方骨の4つの骨から構成されていますがが、先天性内反足の変形は、主として距骨に形態異常があり、さらに睡骨が距骨の内側にもぐり込む(roll in)異常により4つの骨の配列が悪くなり、 変形をきたしていると考えられています。

5診断はどうするのですか
新生児では足部の臨床所見のみで診断可能です。またこの時期では徒手矯正操作による矯正の程度から軽症、中等症、重症に分けられます。 新生児以後の陳旧例では麻癖性の内反足との鑑別が必要ですが、病歴などを聞けば、鑑別は容易です。 重症度、遺残変形などを調べるためにはX線検査、 MRI などの画像診断が行われます。

6治療はどうすればよいのですか
先天性内反足の治療はなるべく早期に変形を矯正し、それをいかに長く維持していくかということになります。治療開始時期は早ければ早い程良いですが、児の全身状態また母の状況を考えると生後1~2週以後に本格的矯正を開始することが多いです。当センターでは平成18年よりポンセッチ法を導入いたしました。矯正を徒手的に行い、その矯正位にてギプス固定するギプス包帯法がまず行われます。最初は週2回の集中的な矯正を2週程度行い、 以後は週に1回ギプスを更新します。 この矯正ギプス包帯法を約6から8週間行います。 まず前足部の凹足をその後内反、内転を矯正し、尖足は最後に(生後8週から10週ごろ)アキレス鍵を手術的に切ることで矯正します。これは10分程度の簡単な手術ですが、当センターでは安全、 確実に行うため麻酔科管理で行っています。 アキレス腰切りを行い、ギプスを3週間巻いた後に手術時に採型したデニスブラウン装具にてその矯正を保持します。これは3から4歳ごろまで装着が必要です(最初は全日、 その後は主として夜間装具として使用します)。ポンセッチ法導入前に行っていた広範囲の解離手術はほとんど行なわれなくなりましたが、重症度の強いものは、年長例、再発例ではこの解離手術、腰移行術などが必要となることもあります。手術のタイミングと手術方法は様々な意見があります。内反足は再発傾向が強く、 手術をしてもしなくても、靴や夜間装具など装具治療の継続が重要と考えています。

サポート、noteの記事購入して頂い金額の一部はえんとつ町のプペルの購入、その他クラウドファンディングの支援をさせて頂きます