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自費リハビリの表現方法ー法律や誤解ー

はじめまして。現在は訪問看護ステーションの所長をしているNと申します。こちらの記事は、ちょこちょこと購入いただいており...ブラッシュアップさせました(R2/10/13)。せっかくなので、自費リハを流行らせるためのビジネス要素も書いておきますね。

Nの経歴
2010~総合病院
2014~フリーランスとして出張整体&パーソナルトレーナー
2016~活動拠点を大阪→東京とし、訪看で働いたり、医療ベンチャーの立ち上げをしたり、事業のアドバイザーをしたり、アドバイザーにコンサルしてもらったり。
*2018には自分でビジネスを立ち上げようとし、ビジネスコンテンストにて何度も賞をとっています(1000件以上の応募があった行政主催のもの〜医療者×ベンチャー支援家みたいなものまで)。その中身が自費リハに関するものなので、まぁまぁしっかり調べています。

今、少しずつ自費(保険外)リハビリを行う施設が増えてきました。
また訪問看護事業所からのリハビリで、介護保険の制限がかかった人が自費でリハビリを行うケースは実は結構あります。

みなさんに知っておいて欲しいところなのであとで詳しく書きますが、表現的に「リハ」はダメで「リハビリ」ならオッケーって知っていました?

さて、まずは自費リハと法律の関係を整理していきたいと思います。

自費のリハビリは違法かグレーか白か

まず結論ですが、これの答えは「違法ではない」です。
この自費のリハビリという文化が出てきたのはつい最近のことで、それを規制する法律はないといっていいでしょう。

医師の指示があれば法律上問題ないとの意見も聞きますが、実は理学療法に関する医師の処方は医療機関内のみ有効となります。なので保険外サービスで処方をもらっても法律面には関与しないんです。もらう理由は適切な情報が欲しいからで、法律的な観点は存在しないんですね。

つまり、医師の指示があろうとなかろうと、自費で行う場合はグレーゾーンに入ります。(法律を考えると、本当は黒or白のどちらか。グレーっていうのは法律のことではなくイメージですね)

このグレーという表現で否定的な反応をする方が多いのですが、それは間違いです。先にも挙げましたが、これは「自費リハビリを規制する法律がない」という状態です。

そもそも理学療法士法は昭和40年に出来たもの。何十年前か…今の時代にはマッチしていません。法律的に白となる表現は今のところ存在しないわけです。

その中で、黒、つまり法律違反になるものは「理学療法士が医師の指示なく理学療法を行う」こと。

言葉の違いで結構変わってきます。きちんと理解しておきたいところで、リハビリという表現は「全人間的復権」と翻訳され、「リハ栄養」「リハビリ体操」「リハビリエクササイズ」など、いろんな表現があり誰でも使えるものになっています。
…全人間的復権ってこれもまたわかりにくいですね。笑

国のこれからの方針

自費リハビリや保険外のリハビリについて、行政ではこのように語られています。

我が国では、健康維持、疾病予防、フレイル予防、保険外の個々のニーズに応じたリハビリテーション等に関するサービスの充実が期待され始めている。いたずらに公的保険による医療、介護サービスに頼るのではなく、こうしたサービスの利用を通じ、避けられる疾病やフレイルを遠ざけ、健康を積極的に守り、結果として、公的保険の医療、介護サービスへの需要も少なくなることが理想である。
内閣官房 H28健康・医療戦略室アジア健康構想に向けた基本方針より

「保険外の個々のニーズに応じたリハビリテーション等に関するサービスの充実」って…これが直接「自費リハビリ」のことを述べている訳ではありませんが、それも含めているのではないでしょうか!?

また興味深い記事もあります。

知人の厚労官僚は「診療報酬を抑制し続けなければならない昨今、自費リハビリは厚労省にとっても有り難い」と言い切る。今後、リハビリ難民が増えた際の批判を逸らすために、応援しているといっていい。
理学療法士及び作業療法士法では、「医師の指示の下、理学療法を行う」ことが原則だが、「侵襲性のない行為については、医師の指示のもとにない理学療法士等がリハビリを行うことは、法令上は名称独占であるので違法とは言えない(前出の厚労官僚)」と解釈を緩和している。
「リハビリ難民」の救世主となるか 自費リハビリの可能性

こういった社会情勢も考えていくと、自費リハビリは白に近いグレー、今後白に変わっていくグレーだと私は考えています。そもそも、介護保険で単位が足りないケースでは訪問看護事業所がめちゃくちゃ自費リハビリをやってます。ここの表現の方が実質濃いめのグレーです。

法律は、何もないところで「想定」で決まるものではありません。何かしらの「事実」があり、それが社会にとって悪だとなれば規制され、善であれば白と規定されます。一部の既得利益をのぞいて...。なので、こういった新しい分野に関して行政がいきなりはっきり「白」と言うことはありません。と、知人の弁護士が言ってました。

実際に厚労省に確認してみました。

いろいろ考え調べた上で、でもやっぱり今の現状は自分で聞いてみないとわかりません。自費リハ関連の事業を考えていた時、厚労省に確認してみようと思い問い合わせてみました。

...

...

結果、見事なたらい回しでした。涙

厚生労働省→地方厚生局→地域の保健所→区の生活衛生課→担当者が保健所に確認→協議の上「制度がない」

といった具合。つまり、前述の通り「今これを規制する法律はない」ということが示唆された感じですね。ちなみに念のため神奈川と東京の二つの市・区で確認しました。

実際の電話での反応として、東京のある区は「黒ではないけど、行政としては望ましくない」とのこと。神奈川のとある市は「判断できません」という形でした。

ここで「行政として望ましくない」と言った区の担当者に対して、上に挙げた「国の指針」としての話を振ってみたものの、「知らない」とのことでした。
それに加え担当者曰く、「理学療法士を名乗れるのは医師の指示があった場合のみ」と言っています。予防リハビリという分野では医師の指示が不要(理学療法士を名乗っても良い)というのは厚労省からちゃんと通達がありましたが、それも知らなかったとのことです。

確認する地域、また担当の知識量によって反応が変わるのが現状。ただ「制度」というくくりでは「規制されない」と判断して良いかと思います。

法律上まずい表現は?

自費リハそのものは別に良いのですが、まずい表現はたくさんあります。

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