【動作分析】立ち上がり動作をリハビリへ
こんばんは!よしもとですっ!!
さて今日のテーマは・・❣️
【 起立動作の動作分析 】です。
最近、このテーマ通り、
起立時に膝が痛い方を担当していて、その方も私も本気で膝の痛みを軽減させるべくリハビリに臨んでいます。
今日は起立時の動作に絞っていきます。
どうぞよろしくお願い致します。
変形性膝関節症の病態を簡単に
もう何度か「変形性膝関節症」の記事を書いているので、今回は簡単に説明させて頂きます。
発症・進行
→ 大腿骨内側顆と脛骨内側関節面で形成される
内側コンパートメントの荷重量増加が関与する 1)。
変形性膝関節症とは、
身体の合理的な関節運動連鎖と筋活動が障害され、
→膝関節が有する機能解剖と運動の合理性が失われ
→膝関節内に異常な圧縮・回旋負担が作用
→膝関節の症状を主症状とする運動連鎖機能不全の一病態に至ります 2)
もっと膝を詳しく知りたいという方は、7月の【膝関節月間】でも
31日の間あらゆる角度から膝について書かれています。
こちらも併せて参考になさってください。
起立動作のポイントを簡単に抑える
起立の身体重心(Center of Mass:以下,COM )は、
まず前方へ移動し,その後は上方へ移動します 3)。
重心移動には、どんな要素が必要か?
COMの前方移動に関与するのは、
・体幹前傾運動と足関節背屈運動。
COM の上方移動に関与するのは、
・股関節伸展および膝関節伸展運動。4)
大枠で、どんな関節運動が起きているのかを確認できると、
より起立の特徴を把握でき、比較しやすくなり前後評価も捉えやすくなります。
そして、いろんな方の立ち上がりを見ていると、
起立には圧倒的には難しいフェーズがあることに気がつくかと思います。
それは、【重心を前方移動させるフェーズから上方移動させるフェーズ 】
に移り変わる臀部離床直後です。
こんな人多くないですか・・?
・殿部が一度挙がっても、また座面に戻ってきてしまうひと。
・下肢だけでは体重を支えきれず、手を使って「よいしょ」っと身体を持ち上げるひと。
👉 支持基底面が【殿部と足部】にある状態から
【足部】のみの狭い支持基底面へ前方移動しなければならないため、
起立動作の中では難易度が高めのフェーズです。
この大きく支持基底面が変化するときに、制御が行えないと立てません。sit- backの呼ばれる現象が出現します。
なぜ起立ができないのか?
上の場合を例に、考えられる原因を記載していきます。
支持基底面が【殿部と足部】にある状態から
【足部】のみの狭い支持基底面へ前方移動する必要があるためです。
「殿部離床直後」は、足部のみの狭い支持基底面にCOMがある必要がありますが、支持基底面より後方にCOMが存在してしまうためです。
すると・・
後方への回転モーメントが発生してしまいます。
歩行や走行と違って、立ち上がる動作には、
・座面からお尻を離れる瞬間にも、
支持面を押して動きに加速をつけるようなpush off機能がないことです5)。
歩行などの動作なら地面を足部で蹴り出して前方に進む推進力があります。
これらのことを考慮すると、殿部離床を効率よく行うためには,
体幹前傾によって速度を獲得させ、
→ 前方への回転モーメントを発生
させることが重要となります!!
ただ姿勢によっては、この力を効率よく発揮できない場合があります。
殿部離床の際に弊害となるもの
あっじゃあ、、「体幹前傾によって速度を獲得させ、前方への回転モーメントを発生」させれば良いんだね!!と思いますよね。
しかし、高齢者に多く見られる「円背姿勢」があると簡単にはいきません。
その理由は、
回転モーメントの発生には、より体節を長く保つことによって、
股関節を中心とする回転運動エネルギーを効率よく利用できるからです。 6)
ポイントは【 体節を長く保つこと 】
👉 つまり、円背によって体節が短くなった状態ですと、
十分な回転運動エネルギーを効率よく利用することができません。
【復習】モーメントとは、力(N)と距離(m)の積。
モーメントを生み出すためには、力(頭の重さ)を変えることは
不可能なため、距離の部分を変更させなければなりません。
円背によって距離(座高)が短くなると、
より多くの力を作り出さなければ立つことはできません。
ある研究では、こんなことが言われています。
COM 前方移動期における胸部および骨盤前傾角度変化量は対照群に比し,膝OA群が有意に大きかった。
→ 膝OA群では体幹をより前傾をさせることによって足部に限定される支持基底面へCOMを近づけ,安定性の保証を得ようとしていること、また 殿部離床に必要な股関節伸展モーメントを多く得ようとしていることが示唆されています。
です。円背+膝痛がある方の起立動作は、
難しく工夫が必要ということがお分かり頂けると思います。
なので、それらの手段について、下記にまとめました。
ご覧ください。👇
まとめ
・体幹は、できるだけニュートラルに保ち座高は長く保てるように。
・前方移動に関与する体幹前傾と足関節背屈の動きを出せるように。
・上方移動に関与する股関節伸展と膝関節伸展運動の動きが出せるように可動域を確保。
・筋力は、多くの筋群が活動するため下記参照。ただ複合動作なので参考程度に。動作からできる、できないと確認してみる方が良いかと。
8)より引用
今回は起立時に、よく見られる症状に対して考察して見ました。
いかがでしたでしょうか??最後までありがとうございました‼️
よい週末をお過ごしください^^
参考文献
1) 木藤伸宏,石井慎一郎,三輪 恵:変形性膝関節症の理学療法の加速的アプローチ.理学療法,2003, 20: 429-438.
2) Knecht S, Vanwanseele B, Stüssi E: A review on the mechanical quality of articular cartilage—implications for the diagnosis of osteoarthritis. Clin Biomech, 2006, 21: 999-1012.
3) Kelly DL, Dainis A, Wood GK: Mechanics and muscular dynam- ics of rising from a seated position. International Series on Biome-chanics, University Park Press, Baltimore, pp127-134.
4) Yu B, Holly-Crichlow N, Brichta P, et al.: The effects of the lower extremity joint motions on the total body motion in sit-to-standmovement. Clin Biomech, , 6: 449-455.
5) 冨田昌夫:立ち上がり動作の介助・誘導.運動分析(黒川幸雄,他編),三輪書店,東京,2000, pp138-146.
6) 佐久間誠司,平田 学,中条麻理・他:椅子からの立ち上が り動作分析.神奈川県総合リハビリテーションセンター紀 要,19: 1-6.
7) 木藤伸宏,石井慎一郎,三輪 恵:変形性膝関節症の理学療法の加速的アプローチ.理学療法,2003, 20: 429-438.
8) 後藤淳,立ち上がり動作,力学的負荷に着目した動作分析とアライメント,2002 2-25-40
ライタープロフィール
( よしもと りか )
・理学療法士
・PT国家試験対策予備校講師
・PHIピラティスインストラクター
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