見出し画像

パーキンソン病の特徴と歩行介助のポイント


パーンソン病患者さんの歩行の特徴

 パーキンソン病の代表的な異常歩行に、小刻み歩行、すくみ足、加速歩行があります。小刻み歩行は、前傾姿勢でつま先に重心があり、歩幅が狭く、左右の重心移動が少ないのが特徴です。

 すくみ足は、床に足が前に出せずに止まってしまい、歩こうとしても足が出なくなる症状です。

加速歩行は、歩くうちに自分でスピードをコントロールできずに徐々に速足になり、簡単には止まれなくなります。また、方向転換が苦手で、歩行中に気が散ったり、不安になったり、焦ったりすると余計に歩けなくなるなどの様々な症状がみられます。

環境の調整

パーキンソン病の方にとって、(家でも施設でも)環境調整は非常に大切です。

●スペースの確保

狭い場所での移動や方向転換は難易度の高い動作です。転倒を予防しスムーズな移動を行うために広いスペースを確保しましょう。方向転換の方法は後で解説します。

●歩行目印の設定

よく使用する移動ルートを確認します。ベッドから洗面台まで、洗面台からトイレまでなど、よく移動するルートの床や廊下に歩幅程度に間隔を開けて30〜50cmの養生テープ(後が付き難いです。無ければビニールテープでもOK!)を貼ります。歩幅の目安を設定することで、小刻み歩行・すくみ足を軽減させ、スムーズに歩けるようになることが多いのです。

たくさんテープを貼るのはちょっと…という場合は最初の1歩だけでも十分効果はありますので、ベッドやトイレからの歩き始めに1本だけ貼るのも良いですね。

緊張が強い方は、不安や焦りによってもすくみ足が増強されます。焦らずに済むように、介助するときには時間の余裕をもって行うことが大切です。
 また、トイレのドアを安定した姿勢で開けることができる位置に、立ち止まれるように床に目印を付けたりする工夫も有効です。

●不安要素の解消

動作スペースを広くとったり、視界を遮る家具を移動させたり、カーテンを外して死角をなくすことにより、不安を感じさせる要素を取り除くことも効果的です。カーテンやドアの不安定な状態がすくみ足の原因になることもあるためです。

歩行時の介助のポイント

●動作を止めて安定させる

加速歩行が始まった場合、一時的に動作を完全に止めて落ち着かせることが大切です。姿勢が安定すると、再び足が出しやすくなります。声を掛け、体を支え、姿勢を安定させてから、歩行を再開します。

●ゴールを決める

歩き始めにゴールを決めることと動作がスムーズに行えます。「ベッドから立って、トイレまで歩きます」といった具合に声を掛け、どこまで歩くのか明確にしておくと、歩行に集中しやすくなり、注意力を持続させやすくなります。

●シンプルな声かけ

「大股で歩きます」「かかとをしっかり着きます」と動作の仕方をシンプルに伝えると動きやすくなります。特にすくみ足の出やすい方は、複雑な声かけに緊張し、不安になり、すくみ足を強くすることがあります。動作を極力シンプルに伝える方法が有効です。

●リズミカルな声かけ

歩行介助の際に、「せーの!」や「さん、はい!」と声をかけて一緒に足を出しましょう。また、先ほど書いたように、テープをまたぐなど踏み出しの1歩を大きくすることが大切です。歩き始めたら、小刻み歩行・加速歩行の予防に、「いちに!いちに!」と足を出すタイミングを声掛けします。
それは外ではちょっと恥ずかしい…という方は、「ゆっくり」「大またで歩こう」と時々声を掛けるだけでも効果的です。

●方向転換は大きく回る

パーキンソン病は、無動の症状が生じ、動作が小さくなります。方向転換するときには急に回らず、大きく回って歩くと転倒を防げます。
 狭い場所で回る場合は、時計の針のように片足を軸にして、もう片方の足を高く上げながらステップして回ります。この二つの方法を習得すると転倒はかなり防げるようになりますよ。

パーキンソン病の方に向いている歩行補助具

●杖

症状の軽い方には杖が有効です。「歩くのが怖い」「転倒したらどうしよう」といった不安症状を解消する目的で使います。あくまでも歩行自体は安定して行える方向きです。
 症状の進行している方には、たとえ歩けていても、杖はお勧めしません。先日、加速歩行の症状が強い方が四点杖を持ってショートステイにいらっしゃいましたが、歩行途中から四点杖は持ち上げたまま突進する様子がみられました。(四点杖は一旦お預かりし、車椅子の貸し出し、ケアマネに連絡をしました…)

●歩行器

歩行する場所が、室内(自宅・施設)が多いというパーキンソン病の方にお勧めする歩行器は固定型歩行器(ピックアップウォーカー)です。症状の軽い方であれば前輪型歩行器でも大丈夫ですが、車輪が付いているため、加速歩行の場合に止まりづらくなります。そのため、迷ったら固定型歩行器をお勧めします。
 屋外を歩く場合、通院時や近所の散歩にも使える歩行器は、抑速ブレーキ付き歩行車です。

理学療法士❋花のお勧めする歩行車の紹介はこちらのページへ
http://pt-seikatu.main.jp/2020/09/22/walking-aid/

以上、理学療法士❋花のパーキンソン病の特徴と歩行介助のポイントでした。読んでいただきありがとうございました。
あなたの介護が少しでも安全で楽しい時間になりますように♡


よろしければサポートお願いします♡