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その歩行練習でいいの? セラピストが陥る5つの落とし穴!(スペシャルライター越前谷)

今回のスペシャルライターは越前谷さんです!

ではどうぞ↓

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はじめまして!越前谷(エチゼンヤ)です。

今日はタイトル通り、歩行練習について再考してみたいと思います。
PTとして必須のスキルなのに、養成校でちゃんと教えてもらった記憶がないのは僕だけでしょうか?

早速ですが、皆さんは普段どんな方法で歩行練習してますか?

よくある歩行練習のイメージは…


・単脚支持期を意識した片脚立位
・つま先を上げて踵から接地する練習
・体幹を垂直に保ちながらの前方ステップ


 このように、連続的である歩行の一場面を切り取った練習方法。
 
 そして…

・左足に体重を乗せてから、右足を出すなど重心移動
・「ここでお尻に力を入れて地面を蹴るように〜」



運動を意識させる+口頭指示による指導。

さらに、脳卒中片麻痺の歩行獲得では…


・まずは安定感抜群の平行棒内から開始
 ↓
・徐々にサイドケイン・4点杖へ補助を移行
 

・揃え型歩行ができたら前型歩行へ移行
・麻痺側から出すステップ練習。


はい、どうでしょう。
よく見る光景じゃないですか?

「自分はこんな練習やってないよ!」という方も、リハビリ室で周りのセラピストがやっているところを見たことありませんか?

(ちなみにコレ…僕が新人の時に全部やっていました。)

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でもでも、これらの歩行練習の中に落とし穴が隠れています。何がNGなのか、しっかり根拠を持って説明できないとまずいかも知れません。あなたは大丈夫でしょうか!?

『良かれと思って提供していたリハビリが実は逆効果だった!』

なんて悲しすぎますよね…。そうならないために。

今回は歩行練習に潜む落とし穴ポイントを大きく5つに分類して、その根拠と対策を解説していきます。それでは一緒にチェックしていきましょう!!


● 歩行練習に潜む5つの落とし穴 ●


1.過剰な安定
歩行は重心移動の方法から、大きく2種類に分けることができます。

『静歩行』と『動歩行』です。

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歩行表

 定義として

・静歩行:常に重心が支持基底面内を移動
・動歩行:両脚支持期にのみ重心が支持基底面を通る

いわゆる正常歩行=『動歩行』です。
身体重心(COG)と床反力中心(COP)が水平面上で一致する場面が、一瞬しかないのが特徴です。歩行における安定とは、不安定な姿勢がリズム良く繰り返されることで成り立っているといえます。

あれ、片脚立位って…はい、気づいちゃいました!?
片脚立位は、COPとCOGを一致させる静的な安定を求める運動戦略です。確かに、歩行の単脚支持期のみを切り取ると、片脚立ちしているように見えます。

でも実際は、片脚立位と同じ場面は歩行中一度も訪れません…
現に、片脚立位はできないけど、歩ける患者さん多いです。子供は4歳まで片脚立ちできません。でも、1歳で歩けます。

「私は小さい頃、まず片脚立位の練習したよー!」
って方は多分いないと思います(笑)。

歩行獲得を目的とした場合、運動戦略が異なる練習の必要性は薄いですよね。

【 4点杖・サイドケインについて 】

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4点杖やサイドケインは、片麻痺の歩行獲得の過程で用いられます。
支持基底面が広く、姿勢が安定しやすいのが特徴です。

この2つの補助具を使用した歩行は『静歩行』に分類されます。
支持基底面を先に作ってから、その中に重心を入れる運動を繰り返します。

停滞と運動を繰り返すのでエネルギー効率がとても悪く、推進力を生むために筋力もかなり必要で、努力的になることは避けられません。

では、なぜこの方法が選ばれるのか?


難易度が低いから

しかし、運動戦略がそもそも異なるので、歩行にみえて実は全く別の運動です。

・予後予測から機能改善がどうしても見込めない
・制約上、すぐ自立した移動手段を確保したい


という場合は別ですよ?

でも、機能改善が見込めるのに、最初から静歩行を教え込むのは考えものです。そこから動歩行に切り替えていくのは、なかなか大変ですしね!

【 平行棒のデメリットについて 】

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