見出し画像

脳を理解すれば整形外科疾患の見方が180度変わる!(スペシャルライター高山)

今回のスペシャルライターは高山さん!( ^ω^ )

整形外科疾患しかみたことがないから脳のことはよくわからない!!

という人は絶対見てね!!

ではどうぞ↓


はじめに

運動器の疾患(人工関節置換術後やACL再建術後など)を見ている際に、解剖学や運動学の部分で動作分析を実践し、そこから得られた情報から徒手的な介入、運動療法を行うことは必須です。


では皆さんは「姿勢制御」の部分を見ることはあるでしょうか?


おそらくバイオメカニクス的な観点(重心位置や関節モーメント・床反力など)から、姿勢をコントロールするかは考えます。


ではその姿勢制御のメカニズムはどのようにして生まれるのでしょうか?


それを考える際、固有感覚フィードバックやフィードフォワード機構のことを解釈することが大事です。


今回の内容は私が普段臨床やスポーツ現場で実践し、クリニカルリーズニングに応用している部分です。神経生理学的な解説を行なっていきます。

ではいきましょう!


運動に必要な姿勢制御はどんなメカニズムで成り立っている?

スクリーンショット 2020-12-24 12.40.25

例えば皆さんが、「飲み物を飲む」というタスクを行うとき、通常であれば以下の通りに動くと考えられます。

① 上肢を挙上して手先をもの形に合わせる
② 容器(コップやペットボトル)を把持する
③ 容器を口元へ運んでくる

この際働いている筋肉としては

・上肢を挙上(肩関節屈曲)する三角筋
・手をリーチする際に肘を伸展させる上腕三頭筋
・手関節背屈を保持するための手根伸筋
・物の形をシェーピングするために使う指伸筋
・把持する総指屈筋
・口元に運ぶ際に肘を屈曲させる上腕二頭筋

など様々な筋が用いられます。


さらに細かいことを言えば、肩甲骨周囲筋・肩インナーマッスルなどももちろん用いられますが、この際の重心移動に着目したことはあるでしょうか?

画像1


リーチ動作を行うと身体重心は前方に変位します。この際、脊椎椎間関節や股関節など各関節には前方への回転モーメントが発生して、前に転倒してしまうことになります。


実際は、リーチ動作に先行して下肢〜脊柱の後面にある筋肉や、腹横筋などのいわゆるコアマッスルが筋活動を行うことで姿勢は前方に倒れることなく制御されます。


Hodgesらが、肩関節屈曲・外転・伸展運動の際に三角筋に先行して腹横筋が収縮することを報告しています1)。


こうした予測的な姿勢保持のシステムによって、随意的な精緻運動が実現すると言われており2)、運動の計画やプログラムも予測的な姿勢制御に反映されるとされています3)。


つまり我々が普段何気なく行なっている日常生活上の動作や、スポーツ動作などの意識的な運動は全て

「予測的(先行性)姿勢制御:Preparatory APAs【pAPAs】」

のもとに成り立っていることになります。

スクリーンショット 2020-12-24 12.41.58


先ほどの「飲み物を持つ」というタスクで考えると

1運動で生じる重心移動を予測
2先行的に体幹〜下肢筋によって安定化をはかり
3その後リーチ動作が行われる

という流れになります。リーチの際に起こる重心移動によってバランスが崩れることなく安全に運動が実行されるということになります。


つまり、

1目的とする動作に関わる部位のみのアプローチで改善が得られない場合
2pAPAsの部分に着目すること

で改善のヒントが得られる可能性があるということです!

ここから先は

2,563字 / 5画像

¥ 390

理学療法士最大級のオンラインサロンFree PT salonを運営!知識・技術を学ぶのはもちろん、発信力をつけて、みんなとコラボしてプロダクトを作る!やりたいことを実現する場所!→http://reha-basic.net/free-pt-salon/