長母指屈筋の評価と治療

参考引用文献

1)中村隆一,齋藤宏,他著,基礎運動学 第6版,医歯薬出版,

   2008,p227

2)坂井建雄,松村讓兒,監訳:プロメテウス解剖学アトラス

      解剖学総論/運動器系,医学書院,2007,p277,292

3)青木隆明,林典雄,著:運動療法のための機能解剖学的触診

  技術 上肢 第2版,メジカルビュー,2013,p317-321

4)河上敬介,磯貝香,他著:骨格筋の形と触察法 第2版,

  大峰閣,2017,p213-220

5)Donald A.Neumann,著:筋骨格系のキネシオロジー,

 医歯薬出版,2010,p232

6)皆川洋至,著:超音波でわかる運動器疾患 診断のテクニック,

  メジカルビュー,p22-29

長母指屈筋:Flexor pollicis longus m.

1.起始停止

 起始:橈骨前面、前腕骨間膜 停止:母指末節骨底

 神経:正中神経 髄節:C6~7、(8)

 作用:母指の屈曲(主にIPの屈曲) 手関節の掌屈

 筋連結:深指屈筋(骨間膜),円回内筋(腱膜),回外筋(骨間膜),

     短母指伸筋(骨間膜),長母指伸筋(骨間膜),長母指外転筋(骨間膜)

     および示指伸筋(骨間膜)と連結している

2.解剖学的特徴

 ・前腕掌側にある屈筋群(浅指屈筋)の深層に位置し,筋腹は

  ほぼ橈側半分に位置する半羽状筋である

 ・長母指屈筋の筋腹の多くは,腕橈骨筋と橈側手根屈筋の深層に

  位置するが,遠位部の筋腹の一部は腕橈骨筋と橈側手根屈筋に

  覆われていない領域がある

 ・長母指屈筋の筋腹の近位端は深指屈筋より遠位方から始まる

 ・筋腹の幅は長母指屈筋より深指屈筋のほうが広い

  ・副頭(Gantzer筋)の出現率は工藤らによると54.6%,

  Morimotoらによると58.8%

 ・内転筋と短母指屈筋,母指対立筋との間を通過する

3.機能的特徴

 ・長母指屈筋固有の筋力評価には母指IP関節屈曲の筋力をみる

  ※母指IP関節を屈曲させる唯一の筋

 ・母指MPとCMC関節,手関節において屈曲トルクを発生させる

4.臨床症状

 ・フォルクマン拘縮で障害を受ける筋のひとつ

 ・長母指屈筋腱の皮下断裂は,非常にまれとされているが,橈骨遠位端

  骨折後の変形が原因で生じる遅発性長母指屈筋腱断裂には注意が必要

 ・前骨間神経麻痺(正中神経麻痺高位)

○エコー画像

 ・FPLはfibrillar patternを示す

画像1

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