バウムテスト/性格検査・投影法 (診療報酬280点)
1.概要
バウムテストは、1945年にスイスの心理学者コッホ(K.Koch)が開発した投影法による心理検査です。
バウムテストは元は職業適性検査でしたが、産業カウンセラーだったコッホはパーソナリティ検査として使用しだしました。
木を描いてパーソナリティを分析するという、一般の人が思う心理検査のイメージっぽい検査です。
2.検査方法
心理検査の中で最もシンプルです。
木を描くだけの検査なので、3歳頃(つまり教示がはっきり伝わる年齢)から成人まで幅広く検査することができます。
A4用紙1枚と鉛筆1本と消しゴムを用意し(「1ずつ」が大事)、「実のなる木を一本描いてください。」と教示します。
時間制限はなしです。
木を写生するのではなく、自分の心の中にある木を描いてもらいます。
なので窓の外に木があったり、木が写っている写真があったりしたら対応してください。
カウンセリングは細部への注意が必要です。
3.結果の分析
分析はグリュンワルド(Grünwald)の空間象徴理論に基づいて行うのが一般的です。
以下は一般的な解釈例で絶対に正しいというわけではありません。
試験勉強でみられる方はイメージを持つための参考に、臨床で活用されたい方は参考書籍をお買い求めください。
正直私はバウムテストの有効性を疑っていますので、括弧内でツッコミながらお送りします。
・木の位置や場所
木を見上げる視点で描かれているなら謙虚さ、木を見下ろす視点で描かれているなら自信過剰を表します。
大きな木なら積極的な性格、小さい木なら引っ込み思案な性格を表します。
木の位置が紙の真ん中なら情緒が安定、右側なら自己肯定が強い、左側なら内向的とされています。
(利き手によって話が変わってくるやろ!)
・木の状態
左右対称なら抑うつ的、左右非対称なら気分が不安定と言われています。
(いや、絶対どっちかになってしまうがな!)
木が2本なら自身の過去を苦々しく思っている、木が3本以上なら自分の価値観が揺らいでおり選べない状態と言われています。
(確かに自分だったら絶対1本しか書かないな)
木が描かれていないと秘密主義とされます。(書け!)
右から風が吹いているなら社会的にがんじがらめ、左から風が吹いているなら無理にやらされていると解釈します。
(確かに風を受けているという発想は出てこないが、そもそも左右の風の内容かぶってない!?)
・幹の状態
幹がまっすぐなら頑固で意地っ張りで負けず嫌い、幹が右曲がりならお人よし、幹が左曲がりなら引っ込み思案とされています。
(うわあ、頑固だ自分)
幹が細いと疲れている、幹が太いと元気と解します。
幼児は1本の線で幹を描きますが(一線幹)、6歳頃になると2本以上の線で幹を描きます(二線幹)。
これは発達の指標にもなります。
・樹冠の状態
樹冠は、4歳以下は輪郭を描かずに塗りつぶして表します。それ以降は輪郭が描かれ、その輪郭の内部を塗りつぶすようになります。
樹冠が描かれる場合は、枝や葉を固まりとして描くタイプと、枝で樹冠を表現するタイプの2種類があります。
この点を見ることで認知のパターンがわかります。
(樹冠については納得!)
・枝の状態
枝は、知性や情緒とされています。(ほんまかいな!)
枝がたくさん描かれていると高揚感、枝が大きく広げて描かれていると寛容性、枝が曲がって描かれていると執着性、尖った枝が描かれていると批判的で強い攻撃性、枝を描かないと引きこもり傾向を表すとされています。
(なんとなく直感的にわかるが、なんとなくすぎないか?)
・その他
他にも根や地面、実などをチェックします。
さらに木以外にも、天気(太陽や雲)、用紙の使い方の向き、筆圧、描くスピード、どの部分から描くか、といった点に注目して解釈します。
4.製品
バウムテストキットは千葉テストセンターから発行されています。
参考となる書籍は岸本寛史先生と阿部惠一郎先生が多く執筆されています。
感想
そもそも私は絵心がないので、私の絵は解釈が極めて困難だと思います。
バウムテストは投影法の中でもその一瞬の気分にされやすすぎる検査であり、これをもってパーソナリティの解釈を行うことは誤っています。
むしろクライエントとよい関係を築くための導入検査として使用し、そのあとでMMPI-3を実施して一気に抱えている問題をあぶりだすと効果的です。
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