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学会発表は嬉しい楽しい大好き?!

 数年ぶりの学会発表,思った以上に楽しかった!ただただ楽しいだけではなく,知的にいろいろと刺激されたので,所感を記しておこう。…と思い立ってはや1ヶ月…、ときの流れははやいですなぁ……。


9月2日(金)午後

 この日はほぼ移動日,明日のメインイベントを控えて無理をしないのが目標。会場の確認と,ホテルのチェックインができれば合格。とは言え,久しぶりの対面参加、楽しみたい気持ちもある。
 昼食をとってまず向かったのは,ポスター発表会と書籍販売。ガッツリ事例発表聞こうか…と思ったけど,小心者で明日の悪いことしか考えなさそうだったのでやめた(後でやっぱり何か聞いておけばよかったと後悔)。
 金曜日の午後と言うこともあって,会場は人が少なかった。混雑してても見にくいけど,少なすぎても発表者の目線が気になって見にくい…,すみませんコミュ障なんで……。書籍販売コーナーもさらっとみておしまい。最近老眼もあいまってあまり読書しなくなったこともあり,本を買いたい熱があまりない。まぁ残り2日間,何度か来て欲しいものがあったら買おう…。
 それでも…と思って,会員企画シンポジウム1『心理療法の共通性を探る―それぞれのオリエンテーションに共通する要素について―』を聴講した。学派や技法の違いがあるけど,共通項ってありますよね?って内容で,それぞれ登壇の先生方が自身の依って立つところを確認し,心理療法の共通性のついて討論するというものだった。当たり前といえばそうなのだけど,結局のところ「クライアントのためになることをする」というのは共通するよね,でもアプローチは違うよね,というのを再認していて,個人的にはこういうシンプルに互いの認識を確認するの大事だよね,とほっこりして会場を後にした。アホには難しい議論は耐えられんの…,それが何かの役に立つならいいんだけど,飯の種にもならん机上の空論するくらいなら,真摯に臨床に向き合う方が性に合うしな…など専門家らしからぬことを思ったり思わなかったり……。
 この日はこれにて終了。夕食後,無事にホテルにチェックインし,部屋に籠って明日の準備……。滑舌が悪すぎて,何で口頭発表にしたのかなぁ…と思いながら,0時くらいまで発表の練習をし,最後は諦めて寝た。諦め大事。

9月3日(土)午前中

 口頭発表当日,緊張しすぎて会場にたどり着けないかも…と思いつつ会場へ(マジで貧血で倒れそうなほど緊張していた)。とりあえず会場係の方にご挨拶し(大事),注意事項の説明を受ける。上の空で覚えてなかったけど…。司会と指定討論の先生方は未着だったので,とりあえずプロジェクターに投影できるようPCをセッティング。「プロジェクターに投影できなかったらどうしよう」「PPT開けなかったらどうしよう」と謎の妄想が発動していたので,PCを接続しPPTが開けプロジェクターに投影できて一安心。そこから司会と指定討論の先生方を待ちつつ,知り合いに挨拶しながらウロウロして過ごす。なお,このときの様子はSNSでお知り合いになった方にしっかりキャッチされていて,恥ずかしかった。動物園の檻の中のゴリラよろしくウロウロしていた自覚はある。
 司会と指定討論の先生方が到着し,事前の打ち合わせ。このときが緊張のピークだったかも…。指定討論の先生にあれこれ声をかけていただいたのは,本当に助かった。ありがとうございます。
 広い会場にはそこそこ人が入って,時間になっていよいよ発表開始。一瞬,クソ真面目モードでいこうか迷ったが(何で迷ったか不明),こういうときはバカっぽいこと言いながら楽しく発表した方が自分らしくていいのでは…と思い直し,バカっぽいことをいいつつ話し始めた。合間合間でうちのおにゃんこ様画像を箸休め的に入れていたのだけど,ありがたいことにこれをいろんなところで誉めていただいた。本来の目的は私の緊張緩和と息継ぎのためだったのだけど,フロアの方々にも同じ効果があったみたい。発表前に指定討論の先生にハンドアウトをお渡しした際「これは何?」と言われて一瞬ヒェッとなったけど,結果よければすべてよし,今後も使おうと思う。
 正直,前夜に練習してた際,考察がちょっとずれているなぁという自覚はあった。けど,今さら直している余裕はまったくなく,そのまま発表をしたわけだけど,フロアの方や指定討論の先生方にいい感じでそこをいじって貰えて,いい議論ができたと思う。途中からそれが楽しく感じられ,結果,発表者の私がいちばん得るものがあった発表だった。完全に自画自賛だけど,さんざんな結果に終わらなかったのがいちばん。そうできたのは指定討論と司会の先生はじめフロアのみなさんのお陰である。本当にありがとうございました。何より、事例提供を許可してくださった患者さんのお陰である。「いいのよ、おほほ」と笑っているのが目に浮かぶ。Aさん,本当にありがとう。お空の上で見守ってくれているかな。

9月3日(土)午後

 簡単にお昼を済ませたあと,ポスター発表と書籍販売を再び見に行った。
ポスター発表は結構盛況で,コロナ禍前を思わせる風景をあちこちでみた。議論が盛り上がっているところ,院生か新卒者か緊張した面持ちでポスターの横で笑顔を作っているところ…、活気があって楽しい。午前中の発表に刺激され,私もやる気に満ちてあちこち覗く。来年度はポスター発表をする予定なので,似ているようなテーマに目を引かれて発表者に声をかけたり,事例のポスター発表者を取っつかまえて持論をぶつけたりして(迷惑ですね…すみません…),楽しい時間を過ごした。
 その合間に書籍販売のコーナーを物色。Amazonの欲しいものリストをチラ見しながら,読みたいと思っていたのを購入。買ってから,別の方がQRコード決済していたのを目にして,悪魔の手法を知った気分になった(翌日さっそく使った)。お財布の紐の概念がなくなるかもしれない……オソロシイ。
 その後,最後のセッションは,調査研究の発表を聞きに行った。3本一緒のフロアでやるあれ。内容的には賭けというか,面白くもなるだろうし爆散するかもしれないし…というもの,個人的には興味があるものだけどメインストリームじゃないというか…(誉めてます)。しかしなぜあの括りになったか未だ謎。3本まとめてのテーマというか,括りの題目というか,そういうの明記してくれんかなぁ…といつも思う。
 で,いつもなのだけど,ベテランさんの「言いたいことを言う」系の発表,面白いといえば面白いのだけど,あれはどうなんだろうか…。個人的には,ひとりで腑に落ちたからいいっちゃいいんだけど,フロアで議論にならないのは消化不良だった。対して,フレッシュマンの発表は,いろんな連想が湧いてフロアの議論も活発で楽しかった。司会の先生が苦心されているのがよく分かったし,あの形式の発表は司会の先生の腕にかかっているところもあるので,どの発表を聞くかは賭けだなぁといつも思う。三題のうち聞きたいやつだけ聞けばいいという考え方もあるけれど,途中で席立つの,何となく嫌なんだよね…面倒だし。

9月3日(土)夜

 その日の夜はSNSでお知り合いの方に声をかけていただき,お腹の調子に少々心配があったものの,楽しく食事会に参加してきた。いわゆるオフ会である。こういうの,mixi以来かも…。地方住で普段はまったく関わることがない,SNS上だけのお付き合いだった人たちと臨床の議論(という名の愚痴)を交わすの,本当に楽しかった。忖度なく事例やその周辺事情について話し合うの,自助効果えぐい。またやりたい。幹事の先生,ありがとうございました。
 心理職は仕事内容そのものが個人経営みたいなところがあるので,職場以外で同じ志がある人とつながる大切さをしみじみ感じました。
 みんなでコロナ仲間になったのは,今となってはいい思い出です。

9月4日(日)

 午前中はまたまたポスター発表&書籍販売に足を運び,ぶらぶら…。自分の興味関心があることに,気が向くまま足を向ける自由さがポスター発表のよいところ。それを存分に満喫してきた。書籍販売でも,今日が最後だから!みたいな謎の使命感に燃えて,積読の肥やしを増やすことに邁進。いいんです,楽しいから。
 午後の最後のセッションは,事例検討を聴講。このとき,発表の方から前日の自分の発表のことで声をかけていただき,少しお話をした。これも対面の醍醐味…。自分の発表がいろんな人に興味をもってもらえたことを実感し,とても嬉しかった。調子によっては全方位シールド張って学会に臨むことも多いけど,こういうことがあると,ちゃんとコミュニケーションした方が楽しいよなぁ,とは思う。それが永続的にできるかというのは,また別の話なのだけど。
 このときお聞きした事例は,司会者と指定討論の先生と演題で決めたのだけど,ちょっと失敗したなーと思った。それは,発表がよくないとかそういうことではなく,アホな私が発表者,指定討論者の思考についていけなくてですね…,頭から煙が出ていました。一応頑張ってコメントしてみたけど,何となくモヤモヤが残ってしまった。多分,それは私自身の力不足…うぅ……。
 終わりよければすべてよし,にはならなかったし,何となくモヤモヤが残って終わったのは残念だったけど,まぁ学会とはそういうものだろう。「全部よかった!」は幻想に過ぎないのだし。

学会参加を終えて

 改めて,対面の学会楽しいな,というのが私の総論(語彙力)。加えて,発表は楽しいよ!と,声を大にして言いたい。防衛的な態度に気を付けて,フロアや指定討論の先生方の意見を柔軟に取りいれよう,よりよい臨床活動のために有益な議論をしようという姿勢が保てれば,という条件付きだけど。そのために,発表者はもちろん,司会者や指定討論者をはじめフロアも含め,会場全体で協働できるような雰囲気づくりは大切だと,しみじみ思う。学術的な議論やエビデンスの提示ももちろん重要だけれど(学術大会なので),心理職通しのつながりや支え合いが体験できる場としても機能することも必要なのではと感じた体験だった。
 学会参加から1ヶ月以上経過し,当日のパッションは薄れつつあるけれど,自分の進む方向性を確認し,背中を押してもらった機会だったと思う。この記事が,来年以降発表しようかなぁと考えている方の後押しになれば幸いである。
 ちなみに,来年はポスター発表をする予定である。楽しく,ためになるような発表になるよう,またコツコツ準備をせねば…。

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