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輪廻転生

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輪廻転生に関することを書いた内容をまとめています。
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#連載小説

輪廻転生 ③ 幽女(女の幽霊)の願い

 ・幽女(女の幽霊)の願い (旅を始めてもう二年。 郷里の皆はどうしているだろうか?) いつものように街の風景を見ながら、足の向くまま気の向くままに歩いていた。 『影鷹殿、如何致した?』 『なに、郷里の皆はどうしているだろうと思っただけです』 『左様でしたか』 いつものように傍に寄り添うかのように、つかず離れずの距離を保ちながら歩く稲荷に言った。 「さて、今日はどこで宿を取ることにしましょうかな?」 『ご随意になさると良い』 『おや?今日は珍しく何も言われないのですな?』

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輪廻転生 影鷹物語 ② 稲倉魂命

「さて、今宵の宿はどうするかな」 夕暮れ時を迎えて足早に去って行く、町の人達を見ながら呟いた。 「どこかで宿を取ることができればいいが・・・・どうもそうはいかぬらしいな」 街道筋にある街のせいか行き交う人は多いが、その街道筋を利用する旅人に一夜の宿を提供することを生業としている商家は意外なほど少ない。 そのどれも既に一夜の宿を求める旅人達で賑わっていた。 こうなると到底どこかに宿泊をすることはまずできないと考えるのが普通だった。 『もし、そこの方』 『なんでしょうか?』 声の

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輪廻転生 影鷹物語 ④ 姉妹との出会い

旅を出まして早二年の月日が過ぎ申しました。 皆様はお変わりなくお過ごしでしょうか? 有難いことに影鷹めは息災に日々を過ごしておりまする。 路銀の心配をすることなく旅を続ける事ができるのはひとえに大殿のご配慮と重臣の方々、なにより領民の皆の助けがあるが故と日々、思うておりまする。  是よりは安芸国を経て周防、豊前へと足を向けてみようかと思うておりまする。 「よし、と・・・」 書いた文を綺麗な紙に包んだ。 「無事に届きますように」 祈るかのように言うと丁寧にしまった。 「あ

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