【随筆】我慢の女 最終章
十二年。あっという間だった。この間、顔が見たいと思ったことが無かったわけではい。会いたくて。寂しくて。心配で。心配で。このまま二度と会うことが出来なくなるかもしれない、そう思うだけで胸が張り裂けそうなほどに苦しくもあった。だがどうしても許すことが出来なかった。意地っ張りだと言われればそれまでだ。強情だと言われてもその通りだとしか言えない。四十を越えた今となっては、何にそんなに腹を立てていたのかも忘れてしまった。潮時。私がこうして悩み、泥水をすすり、泥の中を這いずり回りながらも