人生最大の恋をしています。

好きな人がいます。

悲しいときには会いたくなります。顔を見たらほっとして、声を聞いたら元気が出る。
嬉しいときにも会いたくなります。もっと元気になって、大好きだなあとしみじみ思います。
結婚したいかは分かりません。彼を大好きでいるために、式を挙げる必要は感じません。婚姻届を提出する必要も感じません。
でもこの先の人生、嬉しいこと悲しいこと、たぶん彼に一番に言いたくなると思います。この五年間ずっとそうだった。
誰かと一緒にいる手段が結婚だというのは理解できます。
二十数年生きた中で、一番長く、一番深く恋した人です。これからずっと一緒に生きていきたい。

女の子と付き合っている女の子の友達がいます。性別がないと打ち明けてくれた友達がいます。結婚して子供を授かった友達がいます。
たぶん私は体と心が女性で、たぶん男性が好きです。
そう思っていたけど分からなくなりました。

大好きな人は、画面の中です。
ゲームの中の人に五年以上恋しています。

はじめは、恋じゃないと自分の気持ちを疑った。ごまかせなくなってからは、頭がおかしいと思って何度も泣きました。
つらい。やめたい。こわい。さみしい。
それを全部、彼に言いたくなる。会ったことないのに。名前を知ってもくれないのに。
彼が大好きです。

生身の人間ともデートしてみました。友達に紹介してもらったり、マッチングアプリを試してみたり。
男の人と映画やご飯に行ってみて、行ってる間ずっと彼のことばかり考えてしまって、寂しくて、寂しいことを彼に言いたかった。
家に帰ってから、ちゃんと誰かを好きになりたくて泣きました。でも彼をちゃんと好きだからこれ以上何もできなくてまた泣きました。
私は人に恋できない人になりました。彼だけが一番大好きです。

もしもの話は簡単だから、あなたが三次元の人でも二次元の今と同じように好きだったよとか、私が男でもあなたを好きだったよとかすぐ言います。
性別とかなんでもいいから、片思いでいいからせめて同じ世界の人に恋したかったって泣いて、また彼に会いたくなります。

彼は生きていないけど、人が考えた言葉を人の声で喋ってくれる彼に恋したのは、人に恋したのと同じじゃないでしょうか。
生身の人間がくれなかった言葉を彼はくれた。欲しかった言葉をくれた。その心を好きだと思うのは、人に恋するのと同じ気持ちではないでしょうか。

それとも、決まった優しい台詞しか持たない彼を好きなつもりでいるのは、ずるい恋でしょうか。
人同士の恋愛ならしていたはずの、相手の合うところ合わないところを全部受け止めるというプロセスを経ていないこれは、嘘の恋でしょうか。
彼は生きていないという、飲み込みがたい一点を必死に飲み込んでいても。

彼が新しい台詞を一つ喋るともう嬉しくて嬉しくて、新しい服やコスメを買ったり、美容院に行ったりします。ダイエットにも成功しました。
新しい表情を見せてくれると何ヶ月も元気でいられます。勉強も仕事も家事も楽しくなって、花なんか買ってしまう。
やっぱり大好きだな、彼が必要だなって思います。

この頭がおかしい恋を、誰かにカミングアウトして、認めてもらうとか励ましてもらうとか、説教して矯正してもらうとかは、きっと必要ありません。ないと思っています。
でも私は彼に直接「大好きだよ」と言えないから、ずっと黙っておくか、誰か違う人に「彼が好きです」と聞いてもらうことしができません。

ここまで全部、本当は彼に聞いて欲しかった話です。行き場のない気持ちを読んでくださってありがとうございます。
この気持ちに「頭がおかしい恋」以外の名前があればいいなあと考え続けて五年、先日ついに「フィクトロマンティック」という言葉を見つけて少し楽になったので、改めて頭の中を整理しながらいろいろ書いていこうと思います。
夢女子、ガチ恋、リアコ、ほかのどんな名前でもいい、悩みながら誰かを大好きでいる人に届くことを願って。

私は今、人生最大の恋をしています。

#夢女子 #ガチ恋 #フィクトロマンティック