見出し画像

電気製品をはじめて扱うときの悩みごと 1

「電気用品安全法(PSE)対応のこと」 その1

 私達の生活において、なくてはならない電気製品。世の中には便利で素敵な製品がたくさん出まわっていますが、ビジネスとして新規に電気製品の取り扱いを始めることになった場合、心配になったり戸惑ったりすることも多いかと思います。その中の(もっとも大きな)一つは、法規制。何か守らなくてはならない法律があるのか、大変気になりますよね。
 実は、一般的な家庭用の電気製品の場合、電気用品安全法という法律で規制されています。略称からPSEと言われることもあります。
 ここでは、新たに電気製品を取り扱う場合に、この電気用品安全法(以下、PSEとします)とどのように向き合うか、何をしていったら良いのかをお伝えしたいと思います。またこれまでに電気製品を扱ったことがある方でも、PSEについて少し勉強してみたいと思ったら、お読みいただければ幸いです。

【まずは確認しよう どんな電気製品がPSEの対象になる?】

■コンセントに差して使うものは多くが対象
 まずは、ご自宅にある家電製品を見てみてください。製品の裏側などの目立ちにくいところに、メーカ名や製品の型番などが書かれていますが、ここに○や◇の中に「PSE」と書かれているのが見つかると思います。
例えば、冷蔵庫(ドアの内側)、電子レンジ、トースター、炊飯器、テレビ、アイロン、掃除機などなど、私達の身の回りにある電気製品のほとんどでは、○の中にPSEと書かれています。また、ノートパソコン用のACアダプターやスマートフォン用の充電器には、◇の中にPSEと書かれていると思います。
 PSEの対象となるのは、これらのようにコンセントに接続して使うものです。法律では、家庭用に限らずコンセントにプラグを差して使われる電気製品の多くが、PSEの対象になるとしています(デスクトップパソコンやプリンターなど対象になっていないものもあります)。逆にいうと、乾電池を入れて使うような製品は、PSEの対象にならないことになりますね。

■充電式製品は対象外 でもリチウムイオン蓄電池が対象になることも
 ここで気をつけたいのが、充電式の製品です。充電式製品では、充電器が付属されている場合は充電器が◇PSEの対象です。しかし充電器が無く、USBなどから電源を取って使うようなものは、PSEの対象にはなりません。
 原則的には、PSEの対象になるのはコンセントに差して使う製品ですが、例外としてリチウムイオン蓄電池(製品から取り外しできるもの)やモバイルバッテリーが○PSEとして対象になっています(単位体積あたりのエネルギーにより対象にならないものもあります)。

■電気配線用の部材は対象
 電気配線用の部材を扱う場合は、多くが◇PSEの対象になります。例えば屋内配線に直接接続されるような、コンセントや壁スイッチ、ブレーカやもちろん屋内配線の電線も対象。これらを商材として扱う場合は、PSEを意識してくださいね。

■エンジンで発電する発電機も対象
 お祭りの露店で電気を使うときなど、エンジンで発電している装置を見かけることがあるかと思います。実はこれもPSEの対象。コンセントに差して使う製品ではありませんが、この発電機にはコンセントが付いていて電気製品に電源(AC100V)を供給しているため、PSEの対象とされています。災害時の備えなど非常用に使用する製品として取り扱う場合は、ご注意ください。なおエンジンで発電するのではなく、バッテリーが搭載されていて、充電したバッテリーが発電(正式には発電ではなく、バッテリーの電気エネルギーからAC100Vを作っている)しているものが最近は出回っていますが、こちらは(今のところ)PSEの対象にはなっていませんよ。

■PSE対象かどうかは自己判断しないこと
 ここまで、対象になる製品を大まかに例示しましたが、実は対象かどうかを自己判断することはおすすめできません。というのも、間違った判断をしてしまうと法律違反になる危険性があるからです。対象製品を扱う場合に、法律でいろいろと行わなければならないことが決められており、それを知らずといえども怠ると罰則があります。また電気製品によって行わなければならない内容も変わってきますので、これから扱おうとする製品がPSEの対象かどうかは、まずは次のような方法で確認するようにしましょう。
・経済産業省に聞く(無料)
・電気安全環境研究所(JET)のような専門機関に聞く(有料)

「経済産業省に聞く」というと、だいぶ敷居が高い感じがするかもしれませんね。でも実際にはそれほど構える必要はないと思います。電話をする、または直接出向いていくと無料で教えてくれるのですが、しかし何か書いたものをくれるわけではありません。教えてもらった内容を、しっかりメモしてくるとともに、念のため教えてくれた職員の方のお名前と日時などをメモしておきましょう。ちなみに問い合わせるのは霞が関の本庁ではなく、都道府県ごとに管轄している局(経済産業局)になりますので、注意してくださいね。
 都道府県ごとの管轄局は、こちらから(https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/contact.html)

 一方、電気安全環境研究所(JET)などの専門機関に聞く場合、有料になりますがコメントを記載したものを発行してくれます。こちらも慣れないと敷居が高い感じがするかもしれませんが、カスタマーサービスなどに問い合わせすれば丁寧に教えてくれると思います。ちなみに料金は一万円前後のようですが、実際の費用については問い合わせの際に確認してみてください。
JETの問い合わせ先:https://www.jet.or.jp/contact.html

 なお、どちらの方法で問い合わせる場合も製品の資料が必要です。どのような用途に使うのか、どんな構造をしているのか、どんな仕様なのかがわかるよう、できるだけ以下のような資料を事前に揃えておきましょう。
・製品の説明が書かれているパンフレットなど(自分で作成してもOKです)
・製品の電気的な仕様がわかる仕様書(電源電圧や周波数、消費電力など)
・製品の図面や構造が説明できるドキュメントなど
 これらの資料が無いと、正しく判断してもらえない恐れがあり、せっかく問い合わせをしても無駄になる可能性があります。しっかりと資料を入手しましょう。

 また問い合わせの際には「PSEの対象かどうか」だけではなく、もし対象になるとのことでしたら「電気用品の区分」と「電気用品名」も併せて教えてもらってください。馴染みのない言葉ですが、これらはPSEの法律で決められていること(次回記事でご説明します)を行う際に、大変重要になります。

【PSEでは誰が規制されるのでしょう?】

 PSEの法律は、日本で電気製品を使う人(一般消費者ですね)の保護を目的とした法律です。電気製品は家電量販店の店頭だけでなく、ネットでの通販などさまざまなルートで購入することができますが、どんな方法であれ購入した製品は感電や火災などの心配がない安全なものである必要がありますよね。この安全を保証するのは、電気製品を流通させる企業。例えば海外メーカの製品であれば、製品を輸入する商社が該当します。PSEでは「輸入事業者」と呼ばれます。
 一方、メーカが日本国内で製造する場合は、製造メーカが安全を保証しなくてはいけません。PSEでは「製造事業者」と呼ばれます。なおメーカでも、自社製品を海外の工場で製造して輸入する場合は、「輸入事業者」になります。
 また、国内で流通している製品を仕入れて国内で販売する場合、その企業は「販売事業者」と呼ばれます。
このように商材の流れによって「輸入事業者」「製造事業者」「販売事業者」に分かれるのですが、それぞれ立場によって対応しなくてはならないことが決められています。

【PSEは安全の証としてのマークです】

 このPSEマーク(○PSE、◇PSE)ですが、対象となる製品にはこのマークを表示することが法律で決められていますが、単に表示すればよいというものではありません。それぞれの事業者に求められることを正しく対応した「安全な製品」であることを示すものとして、このPSEマークというものがあるのです。
 ですので、海外メーカの製品でPSEマークが表示されているからといって、それを鵜呑みにして輸入することはしないようにしましょう。
また逆に、PSEの対象ではない電気製品には、PSEマークが表示できないことになります。
 PSEは電気用品安全法という日本の法律。海外の製品で、例えばCEとかUL、CCCなどのマークが表示されていたとしても、それとは別ものですので、注意してくださいね。

 ここまで、電気用品安全法(PSE)について、おおまかにご説明しました。次回の記事では、電気製品を扱う事業者の方が何をする必要があるのか、概略をご説明します。


【「PSe accompany」は】
 
 私ども「PSe accompany」では、PSE対応の経験が少なく不安に思っている方々に寄り添う形で、お手伝いをしたいと考えています。PSE対応は、あくまでも事業者の方の責任。自社でその責任を果たせるようにするために、どのように対応したらよいか悩むときもあるでしょう。そんな時、貴社と一緒に解決方法を考えたいと思います。ぜひ一度、私ども「PSe accompany」にご相談ください。
 ご希望の方には、電気用品安全法の対応の実務についてご説明した資料をお送りします。輸入事業者、製造事業者ごとに分けてありますので、どちらが必要かメールでご請求ください。なおご請求の際には、
・貴会社名
・部署名及び役職
・お名前
・お電話番号
・メールアドレス
・事業の概要
・輸入事業者用、製造事業者用のどちらが必要か
を必ずご記載ください。ご記載が漏れていますと資料をお送りできませんので、ご協力をお願いします。
 なお、検査認証機関様、電気用品安全法など製品安全のコンサルタント企業様、届け出業務の代行業者様など、電気用品安全法に関する業務をされている企業様は、ご遠慮ください。

■ 資料のご請求先 Email: pse.accompany%gmail.com
(アドレス中の「%」を「@」に変更してください)

お送りいただいた情報は、貴社へのご連絡以外の目的では使用いたしません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?