B・モーリス ー 宗教探訪(3)

ブライアン・モーリスは1980年代後半に出版された比較宗教学の入門書をヘーゲルから始めている。

タイラーやフレイザーではなく。

(Brian Morris, Anthrological Studies of Religion. An Introductory Text, Cambridge University Press 1987)

厳密にいうと、その本のタイトルは「宗教の人類学的研究」だが、今日、比較的用いられている学問分野の呼称で言えば、比較宗教学が最も近いだろう。文化人類学などという名称はあまり使われなくなっているようだし。

しかし、いくら80年代だからといって、ヘーゲルから始めなくてもいいのではないかと思わないでもないが、それなりに説得力はある。

日本の宗教学系の入門書では、こういう伝統は継承されていない。新しいことにこそ価値を求める日本の文化は、形のある古いものは継承するけれども、形をもたない古いものを保っておく力が弱い。温故知新という語を一所懸命もち出さないと、その気にならない。

なぜモーリスはヘーゲルから比較宗教学の入門書を始めたのだろうか。

つづきは、いつかどこかで。


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