ラグビーW杯 イングランド vs アルゼンチン 衝撃のドロップゴールと、スポーツ観戦中の頭の中

ラグビーのワールドカップ。

ワールドカップと正月の学生ラグビーくらいしか見ない身としては、前回までのブームを復習しながらのテレビ番組の連続はありがたい。

開幕戦のフランスvsニュージーランド。

サッカーのフランス代表で、ジダンとかアンリが出てきて、フランス開催のヨーロッパCUPを制して、その後、W杯優勝だったか、そういう流れを思い出したりしていた。フランスは地元開催の強みが加わっている。この前の日本と同じ。優勝候補の筆頭だろう。

ニュージーランド。「ハカ」で知られるオールブラックスだが、ちょっと精彩に欠いた。初戦は強豪でも難しいということなんだろうな。ボーダン・バレットが全くよくなかった。今大会のニュージーランド、負の歴史を刻むのではないか。

イングランド vs アルゼンチン。

日本と同じプールということで、深夜に起き出してLIVEで見た。かなりの衝撃であった。序盤でイングランドに退場者が出たことがきっかけだとは思うが、そのあと、イングランドはドロップゴールを立て続けに3本決めて、主導権を握る。

アルゼンチンが唖然として対処できていないのは明らかで、後半にも立て直せず、最後の方でトライを一本返しただけ。人数が一人多いのを全く利用できず、27-10。これは点差以上の大敗と言っていい。アルゼンチン、後半でチームを立て直せなかったことはこの後にも響くのではないか。そうなると、日本には有利。

ラグビーはかつてよりもスクラムが減って、キックが多くなり、スピード感が出て、ある意味では面白くなったと思うけど、この試合のドロップゴールの連発は衝撃だった。

ゴールを決めたスタンドオフのジョージ・フォードは出場停止中の主将オーウェン・ファレルの代役。そういうことも話題になるだろうが、ラグビーの形を大きく変えるきっかけになるゲームではないか。

もっとも、これが元の形らしいけど(昔はトライは得点がなかったとか)、今大会はともかく、この先、パワーで劣る日本代表の武器になるのは確実だろう。


この試合はJ-Sportsで見ていたのだけど、実況ではイングランドとアルゼンチンの因縁についてはあまり語られていなかった。フォークランド紛争は両国にとっては、そうそう忘れられるものではない。試合の序盤が少し荒れていたのはそういう面もあったのかもしれない。

同じ日、アパルトヘイト後の南アにおいてラグビーが果たした正負の役割とネルソン・マンデラ大統領の功績を辿る番組がやっていた。白人のスポーツを象徴するラグビーが国民の融和に大きく貢献した南ア大会での優勝は感動的だ。

スポーツにはいい役割がある。それだけであってくれれば、それに越したことはない。しかし、オリンピック・パラリンピックを見れば、明らかなように、紛争の当事者の扱いはスポーツの祭典に影を落とす。すぐに忘れてしまうけど。

今回のW杯にはロシア、ウクライナ、ベラルーシは関係していない。仮に数年で戦争が終わったとしても、この3国が同じスポーツ大会で、冷静に戦える日が来るまでには数十年単位の時間がかかるだろう。サッカーにおける日韓のライバル関係は今では少し薄れてしまっているけど、韓国側には日本人の無邪気な対抗意識とは異なる感情があることは忘れがちだ。

ナミビアの試合を見ていたら、選手の中にイスラエルのチーム、テルアヴィヴ・ヒートに所属している選手がいると言っていた。そのイスラエルのラグビーチームはバスケットやサッカーと同じように、アジア枠ではなく、ヨーロッパ枠で活動している。

パレスチナ問題の解決はほぼ不可能と言われているが、イスラエルはスポーツに関して国際交流の方策を見出している。しかし、これは稀有な例だ。

ロシアとベラルーシは将来、中国を仲介にして、アジア枠に入れられるとか、そういう取り止めのない想像をしたりした。

スポーツ観戦はそのものとして無邪気に楽しんでいるんだけど、ちょっとしたことで、いろいろ考えないでもない。

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