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重加算税の要件を明示

税務調査で最重要な論点の1つとして「重加算税」が挙げられます。

重加算税の要件については、「税務調査で重加算税と言われたら・・・」

で解説しましたが・・・

重加算税の要件は、法律で「隠ぺいまたは仮装」と規定されていますが、これだけでは「結局のところ、どんなことをしたら重加算税が課されるのかわかりにくい」ので、国税庁はホームページで重加算税の要件について、詳しくガイドライン(事務運営指針といいます)を明示しています。

「法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

※この他にも、所得税・相続税・消費税・源泉所得税など、税目ごとに事務運営指針が定められていますので、ご興味ある方は検索して国税庁のホームページをご覧ください

目次
1. 事務運営指針
2. 調査官は重加算税と指摘してくる
2.1. ①言い返されなければOK
2.2. ②事務運営指針を知らない
3. 良いことなど1つもない

1. 事務運営指針

事務運営指針とは、約56,000人いる国税職員が、税務調査においてバラバラの対応をしてはならないので、国税庁が制定・明示・開示しているもので、調査官全員が「守らなければならないルール」のことです。

上記の事務運営指針には、このように明示されています。

帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない場合                  「売上げ等の収入の計上を繰り延べている場合において、その売上げ等の収入が翌事業年度の収益に計上されていることが確認されたとき。」

難しく書いていますが、簡単にいうと「今期の売上に計上すべきものが、翌期の売上に計上されていた場合は、重加算税を課さない」ということです。

一般的にいう「期ズレ」と呼ばれるもので、売上の計上時期がズレていただけであれば、35%の重加算税は課されないと、はっきり明示されているのです。

にもかかわらず、税務調査の現場では期ズレでも重加算税と言われることがあるので要注意です。

また、同事務運営指針には、このようにも明示されています。

帳簿書類の隠匿、虚偽記載等に該当しない場合                               確定した決算の基礎となった帳簿に、交際費等又は寄附金のように損金算入について制限のある費用を単に他の費用科目に計上している場合。

ただ単純に、勘定科目を間違って税金の計算に誤りがあったような場合も、重加算税は課されないのですが、調査官には同じように重加算税と言われるケースが多いのです。

これは明らかに調査官の誤りだというわけです。

重加算税と指摘を受けた場合は、「事務運営指針のどこに該当するのか?」と、その根拠を明示してもらうことが重要になります。

2.調査官は重加算税と指摘してくる

このように、重加算税の詳細が「事務運営指針」として、国税庁のホームページで開示されているにもかかわらず、現実として調査官が重加算税と平気で指摘してくる理由は2つあります。

2.1. ①言い返されなければOK

調査官は、重加算税を課した割合=「不正発見割合」で評価されています。

調査官が自分の評価を上げたければ、どんな否認指摘にでもとりあえず「重加算税ですね」と言っておいて、反論されなければ重加算税を課してしまうのが効率的なのです。

実際に何か悪いことをしているわけでもないのに、税務調査で「重加算税です!」と強く言われると、「そうなのかな・・・」と思ってしまうものです。

すでに書いているとおり、重加算税には「隠ぺいまたは仮装」という要件があるわけですから、この要件に該当しないと考えられる場合には、きちんと調査官に対して反論すべきです。

2.2.②事務運営指針を知らない

調査官の多くは、重加算税について上記の事務運営指針があることを知りません。

知らないからこそ、調査官自身の曖昧な基準で「不正=重加算税」と言ってくるわけです。

こういう現実があるからこそ、経営者の皆さんにも重加算税の事務運営指針を知っていただき、税務調査で「これは重加算税ですね」と言われた際には、事務運営指針を提示して、「この取引のどこがこの事務運営指針に該当するのですか?」と反論していただきたいのです。

3. 良いことなど1つもない

また、重加算税でもっとも気をつけなければならないことは、重加算税を課されると今後税務調査に入られやすくなるという事実です。

税務署からすれば、過去に「隠ぺいまたは仮装をした会社」と判断するわけですから、当然の結果でしょう。

こういった意味でも、追徴税額のリスクだけではなく、本当は重加算税ではないのに、重加算税を課されてしまうということは、会社にとっていいことなど1つもないということを肝に銘じておく必要があるのです。


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