特発性肺線維症:臨床トライアルの将来
なかなかですねぇ
Spagnolo, Paolo, とToby M. Maher. 「The Future of Clinical Trials in Idiopathic Pulmonary Fibrosis」. Current Opinion in Pulmonary Medicine 30, no. 5 (2024年9月): 494–99. https://doi.org/10.1097/MCP.0000000000001099.
最近の第3相治験
ISABELA 1およびISABELA 2試験では、autotaxinを選択的に阻害する小分子薬剤であるZiritaxestatの有効性と安全性が評価された。両試験は、ジリタクセスタットが強制呼気容量(FVC)の減少速度を抑制せず、全死亡率が増加したため、早期に中止された。
学びとしては、第II相試験の小規模なサンプルサイズと短期間が、第III相試験での成功再現の妨げになった可能性がある。また、Ziritaxestatとニンテダニブの薬物相互作用が試験の失敗に寄与したと考えられる。
STARSCAPE試験では、内因性タンパク質であるPentraxin-2(serum amyloid P)を対象としたジンペンタキシンアルファの有効性が評価されたが、効果が認められず、早期に試験が中止された。過去のデータの後解析では、治療効果が3つの異常値によって歪められていたことが明らかになった。
学びとして、データ監視と感度分析の重要性、そして異常値を除外した解析の必要性が挙げられる。
ZEPHYRUS-1およびZEPHYRUS-2試験では、connective tissue growth factor (CTGF)に対するモノクローナル抗体であるパムレブルマブが評価されたが、FVCの減少に有意差は見られず、試験は中止された。
学びとして、早期段階の試験におけるデータの欠損が効果推定に過度に影響を与える可能性があり、第III相試験では効果の大きさを保守的に見積もる必要があることが指摘された。
エンドポイントの選択
革新的な臨床試験デザイン
外部対照群
外部対照群(ECAs)は、過去のRCT、登録データ、または電子健康記録(EHR)からのデータを用いるもので、治療効果の評価に使用される。試験期間の短縮、費用削減、結果の一般化を図ることができる一方で、過去のデータの適切性に注意が必要である。適応型多治療試験プラットフォーム
従来のRCTの制約を克服するため、適応型多因子試験プラットフォーム(REMAP)が提案されている。これは、複数の介入を同時に評価し、試験デザインを柔軟に変更できるため、より効率的な試験が可能となる。
エンリッチメント戦略
IPF試験では、進行が早い患者を特定し登録することが、治療効果の評価に不可欠である。機械学習や人工知能を活用したCT画像の解析が、より進行が早い患者の特定を可能にし、試験の成功を促進する。また、遺伝学的、プロテオミクス的アプローチも今後の試験デザインに重要な役割を果たすと考えられる。
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