むべ


西日避けのため植栽している


ムベ/むべ/郁子


ムベ - 庭木図鑑 植木ペディア (uekipedia.jp)

山形県及び福島県以西の本州、四国、九州及び沖縄に分布するアケビ科の蔓性木本。別名「トキワアケビ」のとおり常緑性のアケビで、かつては暖地の海岸や山間のみに見られたが、温暖化とともに東北地方でも育てることができるようになってきた。日本以外では朝鮮半島や中国に分布。

・葉は5~7枚の小葉が一組の手のひら状になり、蔓から互い違いに生じるが、若い株では葉が3枚単位になる。このため七五三で縁起が良いとされることもある。小葉は長さ6~10センチほどの楕円形。漢方では葉や蔓を「野木瓜(やもっか)」と呼んで薬用する。葉や蔓はアケビに比べると堅い。

・ムベの開花は4~5月で、葉の脇から伸びた長い花柄に房状の花を咲かせる。雌雄同株で、雄花は淡い紅色。3~6輪が集まって咲き、6本の雄しべがある。雌花は雄花より大きいが数は少なく、花弁のように見える白い萼の内側に、暗い赤紫色の模様が入る。雌しべは淡い緑色で3つあり、これらが果実になる。果実は長さ5~8センチの楕円形。雰囲気はアケビに似ており、10~11月になると紫色に熟すが、アケビのように自然に割れないため、蔓にぶら下がっている期間が長い。

・ムベの実は種子が多くて食べるところが少ないため、現代人にとっては魅力に乏しいが、果肉はアケビよりも甘い。大昔は貴重な山の幸であり、砂糖が輸入される前は代表的な甘味料として重宝され、朝廷に献上されることもあった。ムベという名は天智天皇が近江でこれを食し、「むべなるかな」と言ったことによるという説がある。




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