半側顔面痙攣(HFS):A型ボツリヌス毒素(BTX-A)による眼圧(IOP)を低下

ブラジルの小規模研究によると、半側顔面痙攣(HFS)に対するボツリヌス毒素A(BTX-A)注射は、片側の眼瞼痙攣と眼圧(IOP)を低下させるという新たな効果をもたらす可能性がある。

治療前の平均眼圧は患眼で11±3.42mmHg、対眼で9±2.98mmHgであった(P=0.012)。しかし、BTX-A注射後は、デジタル経眼瞼眼圧計Diaton(P=0.204)またはGoldmann拍動眼圧計(GAT;P=0.971)を用いても、眼球間の差は検出されなかったと、ブラジルのベロオリゾンテにあるミナスジェライス連邦大学のSebastião Cronemberger医学博士らが報告した。

Influence of unilateral eyelid spasms and botulinum toxin treatment on intraocular pressure measured by transpalpebral tonometer | SpringerLink




Trindade, Danielle Pimenta Viana, Sebastião Cronemberger, Artur W. Veloso, Francisco Eduardo Costa CardosoとTammy H. Osaki. 「Influence of Unilateral Eyelid Spasms and Botulinum Toxin Treatment on Intraocular Pressure Measured by Transpalpebral Tonometer」. International Ophthalmology, 2023年10月21日. https://doi.org/10.1007/s10792-023-02898-6 .

【目的】 眼瞼けいれんは、半側顔面けいれん(HFS)患者の眼圧上昇と関連している可能性がある。ゴールドマン眼圧計(GAT)を用いた眼圧測定は、眼瞼痙攣によってしばしば損なわれる。本研究では、A型ボツリヌス毒素(BTX-A)による治療前後に経眼瞼眼圧計Diaton®を用いた眼圧測定に対するHFSの影響を評価し、BTX-Aによる治療後にDiaton®とGATの測定値を比較することを目的とした。

【方法】 中等症から重症のHFS患者27人について、BTX-Aによる治療前後にDiaton®で眼圧測定を行った。治療後、GATを用いて眼圧を測定し、その結果をDiaton®で測定した結果と比較した。また、緑内障スクリーニングのため、自動ペリメトリー、OCT、パチメトリーを行った。

【結果】 ディアトン®による平均眼圧は、治療前の患眼で11±3.42mmHg、対眼で9±2.98mmHgであった。この差は統計的に有意であった(P = 0.012)。しかし、BTX-Aによる治療後、Diaton®(P = 0.204)またはGAT(P = 0.971)で得られた眼圧に眼間差は認められなかった。GATとDiaton®の測定値の比較では、BTX-A治療後、患眼(P = 0.212)と対側眼(P = 0.971)の間に有意差は認められなかった。

【結論】 BTX-Aによる治療後、HFS患者の患側の眼圧測定値に有意な減少が観察され、眼瞼痙攣が眼圧を上昇させる可能性が示された。BTX-A投与後、Diaton®とGATの測定値に有意差は認められなかった。罹患眼と対側眼を比較した場合、自動ペリメトリー、OCT、CCTに差は認められなかった。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?