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0317 - 無いと無いで欲しくなる

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ノートPC(またはスマホ)があればどこでも仕事できる身として、外出中にコーヒーを飲みつつ作業する機会が多い。

いろんなお店(施設)を利用していると、居心地いいなと感じる場所に行く回数が自然と増えるのだが、その1つがモスバーガー。

居心地いいと感じる大きな理由は「ガヤガヤしている率が圧倒的に低い」から。あとは、コーヒーがおかわり100円だったり、シェイクが飲めたり、お腹の好き具合や気分によって食べるものの選択幅が広かったりするのも良い。

で、ここからが本題。

生活圏内に何箇所かあるモスの中で最も利用頻度の高いお店では、どんなメニューを注文しても「水」を添えてくれるのだ。

バーガー+ポテト+ドリンクのようなセットにも水を。モスチキン+ドリンクでも水を。シェイクだけでも水を。なんならコーヒーだけ注文した場合でも水を添えてくれる。

別に薬を飲むわけでもないし、こちらからリクエストしているわけでもない。注文した品を乗せて席まで運ばれてくるトレーには必ず、グラスに注がれた水、いわゆる「お冷」がセットになっている。

注文した品を運んでくる時点でトレーに水が乗っているので「いや、いりません」と断るとせっかくの好意を気持ち的にも物理的にも無駄にしてしまうので受け取るしかない。注文する際に「お水はいりません」と言えばいいのかもしれないが、そもそも「水を添えること」がお店にとって必須なことなのか、特定の店員さんによるお気遣いなのか、その確証が持てない限り、わざわざ事前に断るのも何か変だ。

正直、添えられたお水に口を付けることはほとんど無い。完全に添えられ損となってしまっている。だって、ドリンクも注文してるんだから、水分はそちらで充分に満たされる。口直しで水を飲むという習慣も自分の中には無い。

モスに入る時は基本的に1〜2時間ほど作業をするので、帰る時にはグラスの中の氷は完全に溶けてしまっている。冷んやりとしたたっぷりの水を、返却口にある「飲み残しはコチラ」の穴へ注ぐのが通例だ。その度に少しだけ申し訳ない気持ちを抱いてしまう。

しかし人間とは不思議でワガママな生き物のようだ。別のモスに行くと水が添えられていないことが当たり前なのだが、そうなると途端に寂しくなる。飲みもしないのに水が欲しくなって店員にお願いしたくなる衝動に駆られてしまう。

普段は全くどうとも感じない。むしろ申し訳ない気持ちを抱くため軽く疎ましく思っているはずだが、すっかり僕の中で、モスでは「トレーの上には水もある状態」がデフォルトな感覚になってしまったようだ。慣れとは恐ろしい。

人は、最初は何とも思っていない存在でも、繰り返し顔を合わせていると好感(安心感)を抱くようになると言われている。しかもその好感は、繰り返し顔を合わす頻度が減ったことで「実はそうなのか」と気づくことが多いらしい。

もしかしたら僕は、行きつけのモスの「水」に好感を抱き始めてしまったのかもしれない。普段は冷たく接してしまっているが(お互いに)、次に会う時には少しばかり歩み寄ってみようと思う。

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