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4designs株式会社CEOの有山です。今日は私がキャリアの転換点の時に大きな支えとなった禅(Zen)についてその出会いと私なりの理解、そしてキャリア戦略における位置づけについて書かせて頂きました。よろしくお願い致します。

■偉人と変革期における禅

アップル創業者のスティーブ・ジョブズ、ツイッター創業者のエヴァン・ウィリアムズ、京セラの創業者稲盛和夫氏、総合格闘家のヒクソン・グレイシー、打撃の神様の故川上哲治氏、錚々たる偉人の方々ですが共通項は「坐禅」を日々のルーティンに取り入れたということ。

また、グーグル、ナイキ、ゴールドマンサックスなどの大企業では、社員の「メンタルサポート」の一環として坐禅や瞑想を奨励しており、ニューヨーク、ロンドン、パリなど欧米の大都市では坐禅や瞑想の指導を受けることができるセンターがあり、医者、会計士、大学教授など知的な職業につく人が多いようです。

最近では、スティーブ・ジョブズにより知れ渡った禅やそこから派生したマインドフルネスの世界は、ビジネスパーソンにも影響を与えていることは知られているかと思います。2008年のリーマンショックでは、世界が大きく変わる中で資本主義、成長主義からの脱却で新しい思想が求められ、禅が注目されました

そして、現在コロナウィルスによる不況の懸念により「禅の思想」が再び注目されるようになるのではないかと思っています。

■禅との出会い

実は、私もマインドフルネスや禅について興味を頂いたのは数年前からでした。知人に誘われ東京(三田)の仏教伝道会館での坐禅、法相宗大本山 薬師寺東京別院(五反田)での写経を7回、最近は臨済宗妙心寺派乾徳山恵林寺の宿坊に宿泊し、坐禅、写経、禅コンサルティングをやりました。

きっかけは、自分の人生で悪い出来事が重なっていたところに、転職するかどうかの重要な判断をする必要性があったときに、自分自身で心がいま乱れている、ネガティブな思考になっているなと自分でも感じているときがありました。

「本当に自分自身が後悔しない意思決定をするにはどうしたらいいだろう」

そう考えていたときに本当の自分を見つめるツールとして取り組んだのが「禅」でした。

結論から言うと、不思議と冷静に本当に自分に大事にしているものがシンプルに考えられるようになりました。

禅寺に身を置き、姿勢を整え、呼吸を整え、自分自身と向き合う場を実際にやってみると、

・なぜA社にいったほうがいいと思うのか?いまの苦しい状況から逃げ出したいだけではないのか?本当にいまの収入を稼がないとならないか?家族は何を望んでいるのか?自分で思い込んでいないか?制約条件がなかったら自分はどんな人生を歩みたいのか?等々

私なりの表現をさせて頂くと坐禅をしているときは無になろうとするので、心がリセットされて、坐禅終了後は自分自身を客観的に見れることができている感覚です。

人生における重要な決断は、年収だとか退職金がどうだとか、ステータス、肩書とか、家族のためとか、いろんな言い訳・建前を利用して自分を納得させることは簡単かと思いますが、禅は自分と向き合い、どんな生き方をしたいのかを突き詰めて考える本当に良いきっかけになります

■禅によって得られるもの

禅によって得られるものは私は2つあると思っています。

1つは、ジョブズも「スティーブ・ジョブズⅠ(講談社)」のなかで「抽象的思考や論理的分析よりも直感的な理解や意識のほうが重要だと気づいた」と書かれていました。禅はシンプルに自分の奥底にある直感的な理解、意識を知ることができるものかと思います。それは、経営者がなんとなく心がざわついて部下がみんな右と思っているのに左をやろうと言い出すことに似ています。経営で論理的に正しいことを判断するのであれば、多くの人が経営者になれますが、経営において意思決定する問題はいつも論理的に判断ができないことばかりかと思います。そんな時に頼りにするものが、この「直感的な理解や意識」です。

もう1つは、ジョブズが2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行った有名な演説で「私は毎朝、鏡の中の自分に向かって、『今日が人生最後の日だったとしたら、今日の予定をやりたいと思うだろうか』と問いかける。『ノー』の日が続いたら、何かを変えなければいけない」と述べていましたが、まさに生きるということの本質を常に問いかけており、もちろんやりたいことだけをやって人生を生きることはできないわけですが、常に本質的な思考でいまの人生を意識しつつ日々を過ごしていたジョブズ。この本質的な思考が禅を通じて得られる2つ目の効果かと思います。

常に日々今日が最後だったら・・・そんなことを思考しない私も含めた多くの人間は、ビジネスにおいて日々直感よりも論理的な答えを求められる場面が多く、いろんなネット、SNSからの情報の渦に巻き込まれ、振り回されて、自分の生きたかった人生の本質からどんどん離れて日々の出来事を時に他責にしたり、同調圧力等を言い訳にして生活し、直感や本質から離れて生活している、そんな方も多いかと思います。

私達は、全員が「自分の人生の経営者」、判断に迷う際最後に大事にするのは「直感的な理解、意識」であることは同じですし、常に「本質的思考」の観点から客観的に自分を見つめることは大事なことだと思っています。

だから私は「禅」で心をリセットすることで直感・本質力を高めることが自分らしく生きるキャリア戦略にとって大事なツールであると思っています。

■禅とキャリア戦略

最後になりましたが、ここで禅とキャリアについて述べさせてください。

禅はマインドフルネスの瞑想と同じようなものと捉えられているかたもいるかもしれませんが、マインドフルネス瞑想はリラックスする等の目的をもって行うものですが、「禅」は目的意識を持たずにただ坐禅をして、自我意識から離れて無になる。(なかなか難しいですが・・・)もので、「目的意識」があるかどうかが大きな違いのようです。

本題ですが、個人的には、キャリアを通して自身の生き方を見つめるに際しては、リラックスするなどの成果や目的をもって行うマインドフルネスよりも、いままでの自分が持つ常識や思考のフレームワークにとらわれずに無の状態を目指す「禅」のほうが、直感と本質的な思考により自分の人生と向き合うことには向いていると思っています。

また、自分自身と向き合い「いまの自分の人生で本当に大事なことを見つめること」は、企業だとミッション(使命/目的)・ビジョン(ありたい姿/将来像)・バリュー(価値/行動基準)のなかで自社の今の戦略方向性を定点観測するようなもの。

"世界がどう変わろうと、社会がどう変わろうと、自分自身の生きている場所は、今、ここにいる自分。”-古川周賢老大師-

勝手に脳内に蓄積された自分の常識ではなく、フラットに客観的に自分が空から自分を見つめている感じで、いまの自分が大事なものを大事にしているか、生きたい人生を生きているか、今の自分を定点観測する。全ては、ここからはじまると思います。

■プロティアン・キャリア戦略講座

私が代表を務める4designsで提供するプロティアン・キャリア戦略講座では、自身の経験も踏まえて、プロティアン・キャリア理論の大事なコンピテンシーの1つである「アイデンティティ」、つまりキャリア戦略のミッション・ビジョン・バリューの方向性、現在の状態について「禅」を利用していまの自分の確認をすることに試みます。

講師は、山梨県甲州市にある臨済宗妙心寺派乾徳山「恵林寺」の住職である古川周賢老大師です。恵林寺は、戦国時代の戦略家で有名な武田信玄の菩提寺で、あの武田信玄も禅に打ち込んだそうです。古川老大師は慶應MCCの禅による生き方講座の講師であり、信玄も取り組んだという公案(禅問答)も提供して下さいます。これは、老大師との立場から論理的思考では解くことができないものとなっています。

禅というと敷居が高いように思うかもしれませんが、坐禅も写経も何も難しいことはなく大事なのは取り組む姿勢だと思います。ジョブズや多くの偉人も魅せられた「禅」、ポストコロナ時代に自分らしく働くために「禅を通じて本当の自分としっかり向き合うこと」是非一緒に取り組めたらと思っております。

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