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想・霊・隠・喩

スキル的なことや予算的なことを一旦保留にすれば、演劇に不可能など存在しない。
そう思わせてくれた最初の劇団が少年王者舘だった。
だから、不可能になってしまった事がものすごく悔しい。

まだそこにいるの?
いる世
いるの?
否いよ
生か死が
正解か
証明できるかな?
世界は
照明で消えるから
もし、いるのなら
いのるから
もしもし
もしもし
もしもし
もし申し訳ありませんが、上演中の携帯電話の使用はおひか永
遠の3倍濃縮還元。一回性の無限ループ。因果律の逆転。時間軸の混線。次元の断裂。存在の点滅。異空間への接続。並行線の積層。宇宙誕生ビッグバンから宇宙消滅ビッグクランチまでを100分間で2往復するような、そうした魔法が得意な人であり、劇団だった。だから僕は、それなりに虚構と現実の区別がつくようになっても僕は、天野天街さんの不死性を信じていた。いつまでも無邪気に信じていたかった。いや、今でも多分、ちょっとだけ信じている。不謹慎かもしれないけど、上演している間だけはあの人、蘇っていたんじゃないのかな。出役じゃないから、姿が見えないから、僕ら気付けなかっただけで。

1999年か2000年ごろに偶然見た「香ル港」を皮切りに、関西在住期は大阪公演で、上京後は東京公演で、名古屋でしか上演してない時は一度だけ名古屋にも訪問して、ほとんど全公演(さすがに全公演ではない)を見ている。それだけの回数を見ているので知らぬ間に肌感覚レベルの「高等教育」を受けていた僕は、初見の人間には決してできないであろう「開演または終演アナウンスの真偽判定能力」「無限ループのくだりに突入するきっかけ台詞の違和感察知能力」を体得してしまった。こんなもの今後どこで活かせばいいというのだ。寂しい。

あの夏かしい懐はもう
おわったと思ったらはじまっている
端仕舞っている
あの夏は
百一ノ又、くりかえして
揺りかえして
ゆりかご敷いて
謡うように揺蕩う様似やうやうとゆうゆうと夕暮れ
何億何万もマバタキするたび途切れる視界は死か、異化、詩歌、生かして
瞬間をツナギ合わせ手作業で切り貼りした
60fpsで見る爆速走馬灯のような
あの夏はもうおわる
(居な)
(言い得)
糸へんに夏と書く漢字はない
終わるのはいつも冬で
糸なら売るほど編まれているから
まだ続くって遍在するって
言う人がいるなら信じてもいいですか

天街さんがいなかったら僕は初対面の人の名前をとりあえず脳内でアナグラムしてみる癖がつくこともなかったし、大学時代に「回想シーンの途中で回想している本人が死ぬ小説」(未発表)を書くこともなかったし、日本文学専攻なのに卒論のテーマを小説家ではなく少年王者舘について書きたいと言い出すこともなかっただろう。たしか当時やっていた個人ホームページの日記に少年王者舘がすごかったという話を分析的用語ゼロでひたすら「自分は何を見たのか」だけを連綿と綴っていたら、全く一面識もない誰か(劇団員の方か、それとも批評家の方か)にトラックバックで「ワカラナイという感覚についてとても正確に書かれている」と褒めてもらって、多分それでいい気になったのだ。でも教授から「存命の人間について作家論を持ち出すのは(これから作風や方向性が変わるなどの)リスクもあるから、どうしてもやりたければ別のテーマを設けてその具体例の一つとして扱いなさい」とアドバイスを受け、仕方なく井上ひさしと野田秀樹を同時召喚して(よくよく考えたら野田秀樹も存命じゃないか、なんで通してくれたんだ教授は)「演劇における言葉遊びについて」というテーマで三部構成の卒論を書いた。これはある種の熱であり執念だなと、自分でも思う。

図らずも最後の演出作品となった(とはいえ死因が肺がんなので闘病や入院もあっただろうし、実質的な演出をどこまで行えていたかは想像の域を出ない)第40回公演「それいゆ」は再再演で、しかも他の作品より明確なモチーフを擁している。だからなのか、最後の作品なのにとても入門編的で、それでも抜くべき伝家の宝刀は全部抜いてあって(抜いてあるとはつまり含まれているという意味です、日本語って難しいね)不思議なくらい爽やかだった。

演劇に関わるようになった今でも僕は少年王者舘に対してだけは(好きの気持ちが強すぎる故に)同業者だと思えなくて、思いたくなくて、ずっと一ファンの心地のままでいる。なんなら誰とも知り合いになりたくないし、ずっとコトバとカラダの魔術師たちのままでいてほしいし、今回のバックステージツアーも夢のような機会だと知りながら「手品のタネは知らないままでいたい」という気持ちの方が強くて参加しなかった。そういう立場なものだから結局何を書けばいいのか、何を伝えればいいのか、そもそも伝えたいのか(だれに?)、伝わってほしいのかほしくないのか、全然わからなくなりながら今、ただ観劇直後の体内に籠った熱を逃がすみたいにしてこれを書いている。

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