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始動宣言(9/18改稿)

オンラインスタジオ、はじめました。

そんなこと急に言われても困りますね。以下、その概要と開設に至るまでの経緯を書き連ねていきます。少々長くなりますが、よろしければお読みください。

Nichecraftについて

ご存じでない方もいると思うので、改めて自己紹介を。

Nichecraftニッチクラフトは辻本直樹・西田麻梨果・秋林彩の3名による、主に小劇場の舞台で使われる小道具の製作をメインとする団体です。

とはいえ辻本は小道具以外にも関係舎という別ユニットで架空の作品をつくり、西田は小道具よりも衣装や宣伝美術・イラストなどのフィールドで多く活躍し、秋林は小道具と作品の関係性に応じて「棟梁」「錬金術」「ジャガイモ大臣」など多種多様な役職を変幻自在にこなしています。ざっくり言ってしまえば、自分たちが感じる面白さのアンテナにどこまでも忠実な人たちの集団であるといえるでしょう。

集団という言葉を使いましたが、基本的には各々が異なる界隈で活動しているため、集団であるという意識も実はそれほど強くありません(ホームページで「独立した個人スタッフの集合体」という言い回しをしているのはこの性質によるものです)。それぞれがそれぞれの分野で人脈を作り、そのバラバラな知名度をひとつに束ねる共通の屋号としてNichecraftの名前がある、といったイメージです。

現行のメンバー構成になったのは2020年の2月からですが、その後すぐに例の災禍が起こり、2年間を通して全員が直接顔を合わせて話したのはほんの数回です。しかし毎年、エイプリルフール直前になると綿密な企画会議をおこなうべく集結し、その都度チームワークの強さを実感するなどしていました。

しんきろうスタジオについて

きわめて個人的な事情により昨年末、それまで情報発信と情報収集の拠点だったTwitterをやめました。その理由については別のnoteに長々と書いたので今回は割愛します(さほど愉快な内容でもないのでリンクは貼りませんが、皮肉にも僕のnote記事の中ではTwitterやめます宣言が最も多く読まれているようです)。以来、精神の安定と引き換えにすっかり世間の動きや公演情報に疎くなってもいたのですが、ただでさえ連絡不精な性格もあって人と話す機会(口頭だけでなく文字で交わす言葉も含みます)そのものが激減してしまいました。

ありがたいことに小道具の仕事は今も継続できていますが、終演後の面会も打ち上げもなく(どちらも元々あまり得意じゃなかったもののはずなのに!)自分で選んだこととはいえSNSからも撤退した今、誰か(いつか一緒にクリエイティブな仕事ができる可能性のある相手や、あるいは単に気の合う知人という意味でもいい)との接点をすっかり失ったような気がしているのも確かです。

このままではよくない。なるべく穏やかに過ごしてはいきたいが、忘れ去られることは本意ではありません。どこかに新しい居場所を構える必要がある…そういった気持ちもあってNichecraftメンバーの力を借り、このたび自分たちのスタジオを持つことにしたのです。

といっても土地や建物を買ったわけじゃなくて、オンラインでのお話です。discord上で、スタジオに似せた機能を持つサーバーを作りましたというご報告です。9月18日現在の間取りはこのようになっております。

ごらんのとおり、各チャンネルを部屋に見立てた仮想のスタジオ空間です。今はまだ小さな集会所くらいの規模で、出入りする人間も少ないですが、まあ広すぎても狭すぎても使いにくいですし。

オンラインスタジオのいいところは、なにより増改築がし放題という点ですね。必要に応じて部屋チャンネルを追加していったり、いずれはここを使いたい人に鍵(一時利用権)を貸出したりなんかして、24時間使えるレンタルスタジオみたいに活用していけたら…という構想もあるのですが、それはまだ遠い当面の目標の話。まずはできることから1つずつ実現していきたいと思っています。

名前は「しんきろうスタジオ」に決めました。普段はインターネット上に所在不明のまま漂っていて、イベントごとがある時にだけ入口が出現するさまが蜃気楼のようだということと、ここから様々な試みが新規に始まっていけばいいなという願いと。あとは、そうだな、何かあるかな……まあ、思いついたらどんどん後付けで足していきます。意味なんかは別にあってもなくてもよくて、ただスタジオという体裁を借りて人の集う場がそこにあればいいやという、今はそのくらいの気持ちです。

スタジオといいつつ、目指したいものは(これは僕の勝手な想像だし「ない原風景」なんですが…)文化系部活動における部室の”あの感じ”です。放課後、とくに急いで帰る理由もない人たちが、ただなんとなく居ついている場所。いつ行っても全員は揃わないけど、いつ行っても誰かがいる、あるいは「あそこに行けば誰かいるだろう」と期待しながら向かう部屋、深い理由なく居ていい部屋。その「いる誰か」は別にあなたを待っていたわけじゃなくても、来たら来たで挨拶くらいするだろうし、話したいことがあれば話すし、そのあとはお互い沈黙のなか別々の漫画を読みふけっていてもいい。そのうち誰かが面白そうなことを始めて、興味を示した何人かがそこに混ざるけど、興味のないやつは相変わらず漫画を読んでいる、みたいな。インプレッション数に翻弄されなくていい世界。バズる必要のない空間。そんな場所への漠然とした憧れを、このサーバーには込めてあります。

皆様にお願い

途中にも少し書きましたがTwitterをやめてしまって久しいため、僕には広報能力がほとんどありません。だから、この試みを少しでも面白そうだなと思ってくれた方にお願いがあります。

拡散希望!なんてことは言いません。オンラインスタジオの理念を踏まえても、誰彼かまわず引っぱり込んでどんどん大規模にしていこうという類のプロジェクトではないからです。そのかわり、あなたの選球眼で構いません、「たぶんアイツこういうの好きなんじゃないかな」と思ったお知り合いに――SNSをやっていなかったり、このnoteが直接目に触れにくいところで暮らしている方に――「こんなのがあるよ」と、そっと教えてあげてほしいのです。できれば直接、お茶したついでとか、別件で電話したついでとか、ばったり街なかで会ったついでとかに。

僕たちが用意するのは、いわば裏山の秘密基地です。まだ楽しいかどうかさえよく分からないニッチな遊びを、あわよくば楽しくならないかなと思いながらする試行錯誤、それ自体を楽しんでくれる人にこそ見つかりたい。このあたりの詳しいことは映画『亀は意外と速く泳ぐ』に出てくるスパイ募集の貼り紙エピソードを参照していただくとして、

それではのちほど、ご縁があったらスタジオで会いましょう。


※この記事は当初、「オンラインスタジオの紹介」と「オンラインイベントの紹介」がごちゃまぜになった状態で書かれていました。わかりやすくするため、前者に特化した形で書き直しております。オンラインイベントに関するお知らせはこちらをご覧ください。


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