『暗黒大陸中国の真実』アメリカを反日に駆り立てたのは宣教師の偏見だった


20世紀初頭の中国の裏側をアメリカ人の目から赤裸々に描いた『暗黒大陸中国の真実』(ラルフ・タウンゼント:芙蓉書房出版/2004)という本の中に、興味深いくだりがある。国民党の迫害によって国外退去させられながらも中国人に肩入れすることをやめない外国人宣教師たちを皮肉った一節である。

「1927年から28年、中国領土にいた八千人に上る外国人宣教師のうち五千人が退去させられている。どこへ退去したのか。日本である。しかし日本に避難したものの、日本人が好きになれない」(170P)。

なぜ日本人が好きになれないのか。著者はこう続ける。

「可哀想な人間がいないからである。アメリカ人とは不思議なもので、可哀想だと思えない相手は好きになれない人種である。宣教師は特にこの傾向が強い。可哀想な人間を見ると、我が身の危険をも顧みず、救ってあげようという殉教精神が湧き上がるのである。だから中国人は全く有り難い存在なのだ。ところが日本は、ドイツに似て、規律正しく、町は清潔で落ち着いている。これでは宣教師の出る幕がない。だから宣教師に好かれないのである」(同上)。

当時、なぜアメリカがあれほど日本を憎み、中国に肩入れしたのか。その答えのヒントがここにある。

中国人は貧しく、可哀想な人たちであり、その中国人を日本人はいじめている。われわれ正義を愛するアメリカ人は日本人をやっつけ、中国人を助けなければならないー。アメリカの町々で宣教師が日曜礼拝の度に、そう繰り返し説教したならばどうなるだろうか。もともと宗教心にあついアメリカ人のことである。多くの人は疑うことなく真に受けたであろうし、なかには十字軍にも似た強い宗教的使命感にかられる者が出てきてもおかしくはなかっただろう。

その結果、どうなったか。日本を倒して中国を救え、という信者たちの声が国中に響き渡り、やがてアメリカ全体がそうした反日ムード一色に染め上げられたのである。

これを裏づけるように、満州事変の際に日本を一方的に悪玉と決めつけるアメリカのマスコミを著者はこういって非難する。

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