展示会の展示って、VRのメリットが分かりやすい――アクトリー

この数年で盛り上がりを見せているVR(Virtual Reality、仮想現実感)技術ですが、いざ自分の現場で使ってみたいと考えると、どう使ったらいいか、いい案が具体的に浮かばなかったりするものかもしれません。これは最新技術における普及期の“あるある”ともいえる状態です。

さてプロノハーツが製造業向けにVRシステムを売り始めて約5年が経ちます。お客さまの事例も増え、活用アイデアについての情報も社内に少しずつですが蓄積されつつあります。プロノハーツのnoteでは、お客さまの活用事例をご紹介しながら、皆さまの「VR、どう使おうか」のヒントがお届けできたらと思っています。ご期待ください。

展示会での活用は、とにかく「分かりやすい」

VR活用の利点の1つが、「実機がその場になくても、実機に近い体験ができること」だと思います。その利点が大いに生かせるシーンの1つが展示会です。

展示会では、展示ブースの小間数が増えれば、それなりにコストはかさんでいきます。コストの他、さまざまな都合から、小間(3m×3mほどのエリア)か2小間ほど狭いブースで展示をしなければならないこともあります。狭ければ当然、展示できる内容も限られてきます。

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   アクトリーのブース:写真右は、プロノハーツの代表 藤森です!

当社のお客さまであるアクトリーは焼却炉や廃棄物処理プラントを研究開発する企業さんですが、再生可能エネルギー研究の一環でユニークな太陽光発電システムも開発しています。「廃棄物処理プラントに植物と再生可能エネルギーを組み込んだ新しい『自然共生型環境プラント』の実現」を目指しているということです。

同社は2019年7月にパシフィコ横浜で開催された「太陽光発電展示会&フォーラム(PV2019)」に出展し、新製品の太陽光発電システムを紹介しました。今回、狭いブースの中で、ユニークな特色を持つシステムをうまく訴求することができるのか……。この課題をVRでクリアしています。

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(左から)アクトリー 営業グループ 東京支店の参事 山田由美子さん、同社のエンジニア 柴垣浩明さん


アクトリーの高機動型追尾式太陽光発電システム「iU-SOALA Wilsom」は、システムが太陽の光を自動で追尾し、かつ時間や気象状況も検知しながら、太陽光パネルが開いたり閉じたりするという、とてもユニークな製品です。

気象のデータは、クラウドサービス上にあるものを取得しています。太陽を追尾する太陽光発電システムは他社製品にもあるそうなのですが、開閉できる仕組みまで備えたものは他には見当たらないとのこと。コンパクトな機体で、モビリティを備えています。自立分散型エネルギーとして、災害の多い日本には、必要なときいつでも活用できるシステムということです。

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製品について説明する展示パネル

さて、どうしてこのように開閉する仕組みを備えるのか。太陽光発電システムは屋外に設置するものです。なので、大雪などの悪天候でシステムが破損してしまったり、機能しなくなってしまったりすることが結構あるそう。そこで、悪天候時などではシステムを閉じるようにすることで、システムを保護することが可能ということです。

アクトリーでは、パネルはもちろん、CGの動画で製品のコンセプトや動作を見せようと考えたのですが、やはりその表現力には限界があります。

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パネルでの製品紹介

やはり、実機のリアルな動きを、お客さまに直接見てもらいたい……。

太陽光発電システムとしてはとてもコンパクトなシステムではありますが、折りたたんでいても3m角程度あります。そもそも、日の光を浴びて動くもので、屋外ではないと動作しません。しかも1日の時間経過とともに移ろう日照の条件に合わせて動くものです。

こういうシステムのため、仮に、広く小間をおさえて実機を展示したところで、動くところを見ていただかないことには、単に実寸大モックを置いているようなもの。それでせいぜい伝わるのは、装置の大きさと雰囲気だけでしょう。

そこで目を付けたのが、VRということで、そのコンテンツ制作を当社にご依頼いただきました。

VR HMD越しに見えるのは、iU-SOALA Wilsomです。VRではかなり高速に1日が過ぎて行きますが、日の出から始まり、正午、日没、そして夜と、システムが開閉する様子を見守ることができます。

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HMD越しに見えているデータ

夜明けと共に起きて開き、日中はずっと太陽を追いかけ、日が落ちるとそっと閉じて眠る、まるで生き物のようです。

そして、デモの最後、上を仰げば星空が……。これ、システムにはあまり、というかほとんど関係がないのですが(笑)。「日々の仕事を楽しもう」というプロノハーツの、ちょっとした遊び心なのでした。

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すみません、画像は実際のデータではなくて、イメージです……。スクリーンショットがとれないんです……(ショボーン)

今回のコンテンツ制作を担当したプロノハーツ山口によれば、「VR上では小さな光ですが瞬いているため認識できるのですが、PC画面上では光が弱いため星はほぼ確認できず、わずかに小さな点がある、真っ暗な画面のスクリーンショットになってしまうようです」ということでした。

(次回に続く)



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